第十三章・シーサーゴン
僕たちはモンスターと戦いながら、ダンジョンの奥深くを目指す。
「この先に扉があって、そこにボスモンスターがいるらしいわ」
「フウは何でそこまで詳しいんだろうね」
(飛鳥さんにでも聞いたのかなぁ?)
僕がそう思いながら歩いていると、重厚な扉が現れる。
「この先にシーサーゴンがいるの?」
「確かそうらしいけどね」
実際には僕たちはベヒモスもシーサーゴンも見たことがないので、よく分からない。
二人で扉を開けると、そこには獅子の顔と体にドラゴンの翼がついた生物がいる。
(あれがシーサーゴン!)
大きさは僕たちと同じだが、見るからに俊敏そうだ。
「ゴアッ」
シーサーゴンは僕たちを見ると、襲い掛かってくる。
「ドル、合成技をやってみましょう!」
「分かった!」
僕たちは息を合わせ、
「「ソイル+ウィンド!ソイルウィンド!」」
ソイルウィンドをシーサーゴンにぶつける。
「グオァー!」
そのソイルウィンドをシーサーゴンは、炎のブレスで掻き消す。
「「なっ」」
シーサーゴンは僕たちの合わせ技を軽々と消したのだ。
(そんなことって――)
僕がぼーっとしていると、
「ドル、何やってるの!私は右に避けるから、左に避けて!」
シーサーゴンが僕たちに飛び掛ってくるので、僕は左にフウは右に避ける。
「風弓・ソラリス!」
フウは武器を取り出し、
「ウィンドアロー!」
シーサーゴンへと矢を撃つ。
(僕は――)
土魔法は基本的に地面にいる相手を攻撃する魔法だ。飛んでいる相手には効果が無い。
何も出来ない自分に歯噛みしていると、
「予想以上に苦戦してますね」
開いている扉から誰かが現れる。
「私が助太刀しましょうか?」
「あなたはもしかして――」
そこにいたのは十年前に旅に出たマリエスさんだった。