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第十一章・ダンジョン
僕たちはダンジョンの内部を進んでいる。
「フウ、敵が――」
「ウインド」
フウはあっさりとモンスターを倒す。
「ドルより私のほうが強いんだから、こんな敵にはやられないわ」
「そ、そうだね」
それを言われると痛い。僕もそろそろEランクを目指そうかな?
するとフウが、
「ドルはやっぱり武器について悩んでいるの?」
「うん。基本的に合う武器がなくて――」
「フレア兄さんが渡したのって確か剣と槍だったわよね?」
「うん。けど、どっちも僕には重くて――」
「それなら鍛えればいいのに」
そうは言うが、僕だって鍛えてはいる。なかなか成果が出ないのだ。
(涙さんのトレーニングメニューはしんどくて、さすがに出来なかったけど…)
涙さんは一時期、自分のトレーニングメニューを知っている人全員に渡していた。
悠さんだけはそれを頑なに受け取らなかったけど…。
「フフ」
それを思い出して、少し笑ってしまう。
「どうかしたの?」
「別に何でも」
僕たちは引き続きモンスターを倒し、ダンジョンの奥を目指す。