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見回り(ウィル)

「ウィル、今日も平和だねー」



俺はおうと答える。

聖都の巡回は俺たちビビアン聖騎士団がメインで行われている。

ビビアン聖騎士団は支援を目的とした部隊であり、非戦闘部隊も揃っているので他の聖騎士団と比べると数は1番多いが戦闘に関しては最弱であると言うのは共通の認識だ。



そういう聖騎士団だからか、雑務の仕事ばかり回ってくる。

剣を捧げた慈悲の教皇も民の為になる事は良しとして、戦いよりも日常の中の平和を守る事に賛同して仕事が俺たちに巡り巡ってやってくるわけだ。


コネで入ってきた貴族の坊ちゃんが多いので雑務の中の雑務は俺たち平民出に回ってくる。



なので書類業務と見回りが日課になっている。

俺も多少は戦いの心得があるがのんびりと見回りしているのが性に合っている。

戦いたい奴が戦えば良いと俺は考えている。

しかし、人間退屈だと刺激を求めてしまう。

見回りに何か面白い事がないか考えるのは仕方ない事だ。



「今日はターニャさんはいるかなー?」



同僚の一言で孤児院の先生である彼女を思い浮かべてた。

同僚はターニャさんを気に入っている。数少ない同性の友達だそうだ。

まぁ、すぐに手が早いので自然と野郎の方が気が合うようだ。

まぁ、俺もその1人だろう。



「今日も居るだろう。ガキ達の面倒で忙しいはずだしな」



「だよねー。お土産にリンガを買って行こっか」



同僚はそういうと露店に駆け寄った。

俺はやれやれと苦笑しながらゆっくりと露店へ歩く。

露店で買い終えた同僚は俺の方を見ると目を見開いた。

何故びっくりするんだ?っと思い同僚をマジマジと見つめると俺の背後に視線が行っているのに気がついた。

恐る恐る振り返ると居ないはずの人物が背後に居た。

凍りついた空気の中、その人物が話す。



「随分と楽しそうだな。お前達は見回りをしているのか?」



淡々と話す彼は冷めた視線を俺たちに向ける。威圧感と視線に耐えれなくなった俺は愛想笑いを浮かべ一歩下がった。



「はっ!私達は巡回しております!リカリオ様は討伐の帰りでしょうか?」



「うむ、討伐はすぐに片付いた。しかし、見回りは理解したが大量のリンガを買ってどうするのだ?見回りしているのならもしもの場合も考えて買い物すべきだぞアーシャ」



目の前の冷めた表情の男こそ名高い【聖剣】リカリオだ。

国内最強の聖騎士様でもある。

そんな人物と同僚は気さくによく話している。俺なんか目の前にしただけで固まってしまう。

常につまらなさそうにしており、気を緩めると一瞬で命を奪われそうな雰囲気。それに笑うのは悪魔の情報を聞いた時のみらしい。口数も少なく人に興味が無いのだろう。話しかけづらい。



「分かってますよー!このリンガは巡回ルートに孤児院がありますのでおそそわけで持っていきます」



話しかけづらい雰囲気を出しているリカリオに空気を読まずに話しかけるのは同僚くらいだ。

普段はつまらなさそうにしていて、悪魔の事となると冷徹で惨忍になる方だ。その徹底ぶりは非戦闘員であるもの達も知っているし、俺は何度か目撃してので怖さが勝ってしまう。

皆が畏怖しているリカリオに不思議と同僚は気に入られて会話が成立するようだ。

同僚が間に入ってくれたのでどうにか緊張だけで済んだが空気になる様に徹底しよう。



「……孤児院か。ふむ、アーシャの手も塞がっているし俺も巡回に参加しよう」



まさかの参加に俺は顔を見るのを避けていたのにすぐに目を向けた。

同僚も動揺したのが伝わった。



「リカリオ様の手を煩わせる訳にはいけませんので大丈夫です!」



俺も便乗して言葉にする。



「お疲れのリカリオ様に時間を割いて頂く訳にはいきません!私達に任せて下さい!」



「ウィルそうよね!リカリオ様疲れてるはずですからゆっくり休んでください!」



「……何故、ついて行くのを嫌がる?やましい事が無いのなら断る必要はないよな?」



目つきに鋭さが増して、俺たちはすぐに降参した。



「そ、そうですよー。やましい事ないから大丈夫です」



目が泳ぐ同僚にただの首振り人形とかした俺。

俺たちの説得は虚しくリカリオを連れて孤児院に向かう事になった。

孤児院に行くのは問題ないが彼女にだけは合わせてはいけない。



何故なら彼女はーー

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