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転生時に女神に呪われたが、どう考えてもそれがチートスキルな件について  作者: さっちゃー
第二章 旅立ち~冒険者へ
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2-9

『E.G.コンバット』という秋山瑞人先生の作品が非常に面白いです。しかし、最終巻である4巻が出ない・・・

 ひと通り、自警団の実力は把握した。一旦俺は村長宅に戻り、荷物からスキル鑑定紙を取り出して、団員全員に使ってもらった。各自のステータスとスキル構成から、役割を決めていくためだ。今日は鑑定紙を使ったところでお開きとなった。

 ちなみに鑑定紙は家に余っていたのを、両親に「使わないから」と大量に持たされたものだ。


 その日の夜。夕飯時に村長へ今日のあらましを説明し、モンスターの間引きと防衛に自警団を使うことの了承を得た。

 自警団を鍛える時間が必要になるため、俺の滞在が伸びてしまうことについても、了承を得られた。これについてはむしろ感謝されたくらいだ。

 そうだ。報酬代わりに、村長に1つお願いをしよう。


「慰霊碑、ですか?」


 村長が訝しげに訊いてくる。


「そうです。厳密にはちょっと違うかもしれませんが、村の広場か入口など人目のつく場所に、9年前に戦った人達を英雄と称えた碑を作りたいのです。それを許可してください。」


「それは……別に構いませんが、何のために?」


「村長や村の人は皆、戦った人達に深く感謝しているとは思います。それを改めて、きちんと形にしたいのですよ。自警団の若者に、お前達の両親は立派だったんだと、自信を持たせたいのです。村の人達がその碑に向かって感謝の意を示せば、報われるものもあると思うのですよ。」


 村長はしばらく考え、深く頷いた。


「分かりました。……確かに、口では感謝していると言ってましたが、それに報いる行動はして来なかったかもしれませんな。勿論、彼らの忘れ形見である子供達に、愛情は注いできたつもりです。しかし、彼らの両親の死について負い目のあるわしら自身、目を背けようとしていた部分もあるのかもしれません。」


 村長は沈痛な面持ちで続けた。


「シンク殿。ご提案、感謝致します。だが、その碑を作るのはシンク殿ではない。わしら、この村の大人達の役目です。」


 言葉に力を込めてそう言った。ちなみに隣の席のルイスは、会話には入らずに「ほぇ~」と心底感心したように俺を見ていた。そんなに見られても何も出ないぞ?

 食事を終えて、与えられた部屋で自警団の育成計画を練る。備え付けの机の上に自警団員の鑑定紙を広げて、適性を考えていく。見比べながら唸っていると、ラグさんが音も無く机上に飛び乗り、広げた鑑定紙の1枚を前足で指した。


『この子は”火術”と”力UP”と”回避”の適性があるわね。』


「え!?」


 驚く俺を放置して、次々と適性を言い当てていく。


『こっちの子は”神聖術”に適性があるわ。こっちは”気配察知”と”隠密”に”罠術”……レンジャー向きね。』


「ちょ、ちょっとラグさん! 何でそんなこと分かるの?」


『そんなのどうでもいいでしょ? さっさとメモしなさい。2度は言わないわよ?』


 やっぱりラグさんは”鑑定”スキル持ちなのだろうか? それとも別のスキルなのか? まぁ聞いても答えてくれないのだろうけど、せっかく教えてくれた情報だ。大事に使わせてもらおう。スキル鑑定紙を使って分かるのは所持スキルまでで、どういった方向に適性があるのかまでは分からないから、正直、かなり助かる。

 教えてくれた情報のメモをせっせと取り、明日からのスケジュールをまとめた。ひと段落した頃、部屋の扉がノックされた。


「し、シンク。ルイスだけど、ちょっといいかな?」


「おう、鍵は開いているぞ。」


 扉を開け、ルイスが入ってくる。その姿に俺は目を見張った。フリルのついた何とも可愛らしいピンクのパジャマを着ており、風呂上がりなのか瓶底メガネは外れている。顔は上気し、頬は薄っすら赤く染まっている。そして何故か手には枕を持っていた。……何でそんな全力で男の娘になっているんだ? こいつは。


「もうちょっとシンクとお話したいんだ。一緒に寝ちゃダメかな?」


 その上目遣いをやめろ! 庇護欲をそそられるというか、何というか。無駄に色気のある奴だな……。


「別に構わないぞ。この部屋にはベッドが2つあるしな。しかし、何でまたそんな格好なんだ?」


「これは! おばあちゃんに頼まれて……似合ってるよって言われたんだけど、変かな?」


「うん、似合っては……いるな。」


 ただ、普通の男はそんなパジャマを着ないし、着たところで似合わないけどな。


「それでルイス、話って?」


「そ、その……。ありがとうを、言いたかったんだ。」


「うん? あぁ、モンスターから助けたことか? 別に気にしなくていいぞ」


「それもありがとうだけど、それじゃなくてさ。バン達はいつも、暗い顔してたから。今日、シンクが話をしてくれて、すっごくいい顔になったと思うんだ。だから、ありがとう。」


 そう言って、ルイスは頭を下げた。


「お前、あれだけ邪険にされていたのに、あいつらのために頭下げるのか?」


「シンクだって、バンにあれだけ馬鹿にされたのに、彼らのために頑張ったじゃないか。」


「それは、村の自衛に彼らが必要だからだぞ。……まぁ、あいつらの境遇に思うところがあったのも、事実だけどさ。」


 話してたら恥ずかしくなってきたな。思わずルイスから目をそらし、頬をかいた。ルイスは穏やかな笑顔になり、再び話し始めた。


「バンの両親が亡くなるまでは、バンと僕は兄弟みたいな仲だったんだ。何をする時も一緒にいて……あの頃から弱虫だった僕を、いつも守ってくれていたんだよ。」


 ルイスは懐かしそうに目を細める。


「僕の両親はね、冒険者なんだ。でも、僕が3歳くらいの時に冒険に出て、それっきり消息不明なんだ。1年くらいで戻ってくる予定だったそうなんだけど、冒険者組合を通して帰ってきたのは、指輪1つだけだった。寂しくて泣いていると、いつもバンが慰めてくれたんだ。」


 ルイスは恥ずかしそうにしているが、寂しくて子供が泣くのは全然恥ずかしいことじゃない。そう思ったが、俺は黙ってルイスの話を聞いた。それにしても、ルイスの両親も9年前に戦って死んだのだろうと勝手に思っていたんだが、違ったんだな。


「それなのに僕は9年前、怖くて戦うことができなかった。バンのお父さんとお母さんも『子供が戦う必要なんてない。俺たちに任せておけ』って、言ってくれたんだけど……やっぱり、思うんだ。僕があの時戦っていたら、結果は違うものになったんじゃないかって。」


 ルイスは目に涙を溜めて、少し、震えている。


「僕は、どうしたら良かったのかな? これから、どうすれば良いのかな? 」


 そんなもん自分で考えろ、と突き放すのは簡単だ。しかし、それで前に進める奴ばかりじゃない。むしろ、それは少数だ。自警団連中を鍛えるついでにルイスにも、その答を見つける手助けをしてやろう。……ルイスが望む答じゃないかもしれないけど。


「ルイス。その答えを知るためには、まず『戦う力』を手に入れることだ。俺はルイスをかなり弱いと思っている。精霊の力込みで100回戦っても、俺が100回勝つだろう。何故だか分かるか?」


 弱いと言ったが、数値やスキルだけ見ると全然弱くない。ルイスのステータスやスキルは鑑定紙ではっきりしている。レベルは15もあるし、MP、魔力は俺以上にある。ただ、他は平均より低く、随分尖がった能力配分だ。スキルも”MP超回復”を含めてまさに魔法使い、って感じのものが多い。

 しかし、問題はそこではないのだ。今のルイスは、自分の弱さにばかり目を向けている。剣士に憧れているってのもあるかもしれないけど、このままじゃ強みを生かしようがない。


「う、うーんっと、それはシンクが強いから?」


 漠然とした答が返ってきたな。まぁそうなるよね。分からないから、漠然とした答しか出せない。具体的な課題が見えていない。つまり、勝ち筋が見えないのだから、勝ちようがない。


「違う。まぁ、明日から自警団の連中と一緒に訓練を受けてみろ。そしたら答は分かる。」


 これは口で説明しても伝わらない。自分で実感する必要があるからな。自警団の連中にしてもそうだ。

 不思議そうに眉根を寄せるルイスに、条件をつける。


「ただし、剣を使うのは一旦やめておけ。さすがに時間がかかり過ぎるからな。まずはスタッフ……棒術からだ。剣はマンティコアの件が落ち着いてから、バンに習うといいだろう。」


 納得してくれたのか、ルイスはこくりと頷き、背筋を伸ばした。


「分かった。明日から、宜しくお願いします。」


「任せておけ! ルイスが悩みを思い出せなくなるくらい、追い込んでやるよ。『血のしょんべん流しながら、母親の股から這い出てきたことを後悔させてやる』から安心しろ!」


「……えっ?」


 俺の言葉が脳に浸透するまで、随分時間がかかったようだ。まぁ、そこまでスパルタにはしない……、多分……、きっと。


最後の主人公のセリフは『E.G.コンバット』からのパク・・・オマージュです! こんなセリフが飛び交う作品! 面白いですよ! 完結してないけど! 完結してないけど!! 

お読みくださりありがとうございます。

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