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転生時に女神に呪われたが、どう考えてもそれがチートスキルな件について  作者: さっちゃー
第二章 旅立ち~冒険者へ
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2-3

本当に更新が遅れて申し訳ないです。

 訓練が中途半端になってしまったので、レンファさんが引き継いでくれることになった。殺気を込めた拳や蹴りを繰り出してくるのだが、避けたり受けたりと、やはり防戦一方になってしまう。1発食らうと頭が吹っ飛びそうな感覚に襲われるし、レンファさんの攻撃は多彩だ。肘、膝、拳、蹴り、ありとあらゆる場所から攻撃が迫ってくる上に、攻撃の回転が速い。受けるにしても、ただそのまま受けると剣がへし曲がりそうになるので、魔力を込めて受ける必要がある。これも武器スキルの付随技の”魔染”ってやつだ。”魔染”された武器や防具は、その強度や性能を上げることができる。”魔染”は弱いものなら地級クラスで使えるのだが、流石に極級の”魔染”になると、こちらが攻撃を受けるだけでも相手にダメージを与えてしまう。なので、ここでは極級は使わずに天級のもので攻撃を受けている。

 この攻防を見ていたとーちゃんが、やはり俺がやる、と言い出した。見ているとやはり心が痛むとの弁に、ほれみろとギースさんが肩を竦め、出発までの最後の追い上げとして、以降はとーちゃんに鍛えられることとなった。狂戦士化していた状態よりはプレッシャーは低いものの、気を抜けないのは同じことだ。だが、結果としては、良い訓練になったと思う。


 15歳の誕生日。この村での最後の晩は、家族水入らずで過ごすこととなった。

 夕方、イーナが訪ねてきて、喫茶店で出すケーキの試作品を置いて行ってくれた。そのまま一緒に祝ってくれと言ったら、「私がいちゃ、存分に甘えられないでしょ?」と帰っていった。……しっかりしている。

 旅立ちを前にして、俺は1つ迷っている。前世の記憶について、両親に知らせるべきかどうかだ。このまま何も言わずにいるのも1つの手だろう。しかし、俺をずっと見守り、育ててくれたとーちゃんとかーちゃんに黙ったままというのも気が咎める。

 かといって、俺の気を晴らすためだけに言うってのも、何か違うよな。俺自身は2人の子供だと思っている。2人にも実の子だと思われている。ただ、前世の記憶云々が無ければ、ぐちゃぐちゃ考えずに実の子だと胸を張って言えたのに、と思うと今の境遇が恨めしい。


 迷っているうちに夕食の時間となった。かーちゃんが腕によりをかけて作ったご馳走の数々が食卓に並ぶ。


「「誕生日おめでとう」」


「ありがとう。とーちゃん、かーちゃん。」


「明日旅立つシンクに、俺たちからのプレゼントだ。」


 そう言って渡されたのは、ネックレスだ。


「これはな、即死の状態異常を防ぐアミュレットだ。シンクがリッチと闘うなら必要になるだろう。……できることなら、出会っても戦わずに逃げてくれ。」


「わかった。とーちゃん達5人がかりでも倒せなかったなら、俺1人じゃ到底戦えないだろうし。勝てる見込みがなければ、さっさと逃げることにするよ。」


「それとな……」


 とーちゃんが真剣な表情をして続けた。


「シンク、お前に何か特別な事情があるのは薄々感じてはいた。特別な力があることもだ。……もし、その力を使わなくてはいけないような試練が待ち受けているなら、俺たちにも協力させてはくれないか?」


「パパったら、その話はしないって約束したじゃない。シンクちゃんを信じましょ。」


 ……そうかぁ。そりゃそうだわな。”天才”で片づけるにしても限度があるし、2人は俺のことをよく見ている。俺は気が咎めるだとか自分のことばかり考えていたけど、2人は心から俺のことを心配し、だからこそ協力したいとも言ってくれているのだろう。


 やはり、黙っていることはできない。何より、安心させたい。そんな大層な使命なんてなくて、ただモンスターを倒していればよいのだと伝えたい。


「……とーちゃん、かーちゃん。話したいことがあるんだ。聞いてほしい。」


 こうして俺は、前世の記憶があること、善良なる光の女神に力をもらったこと、償いのことを話した。


「今まで黙っていて、ごめんなさい。」


 俺はそう言って、頭を下げて締めくくった。とーちゃんは、難しい顔をして顎を撫でている。


「その善良なる光の女神とやらに、何か妙なことを頼まれているとかじゃないのか? 危ないことをさせられようとしてないか?」


「頼まれているっていうか、モンスターを倒して”償い”をしろとしか言われてないよ。」


「シンクが冒険者になるっていうのも、その”償い”ってのが目的なのか?」


「それもあるけど、かーちゃんを治したいのもあるよ。”償い”は、いつまでにどれくらいやらなくちゃいけないってノルマは無いから、なるべく長生きして、たくさんモンスターを倒した方が良いかなって思っているんだ。」


 黙って聞いていたかーちゃんが、目を潤ませて微笑んだ。


「シンクちゃん。せっかくだけど、私は治らなくてもいいの。私にはもうシンクちゃんがいるもの、これ以上の幸せはいらないわ。だから、無理してアムリタを手に入れる必要はないわ。ベンノのことだけよろしくね。」


「……かーちゃん。俺はちゃんと、かーちゃんの息子でいられただろうか? 前世の記憶なんてあるから、変に小賢しかったと思うんだけど。」


「何を言っているの? シンクちゃんは私が産んだんだもの! 誰が何と言おうと私の息子なんだから! シンクちゃんの前世の記憶にあるお母さんにもあげないわよ?」


「……前世での俺の両親は、毎日のように喧嘩をしていたんだ。喧嘩というか、父親が一方的に酔って暴れていたんだ。夜になると怒鳴り声が聞こえて、びくびくしながら過ごしていた。早くこの家から出ていきたい、ってそればかり考えていたよ。」


 あの頃は、アニメなんかで見る、幸せな家族の情景が本当に羨ましかったものだ。

 とーちゃんとかーちゃんが、痛ましそうな表情を浮かべている。何てこった、と小さく呟いたとーちゃんに、俺は小さく首を振りながら、続けた。


「でも、この世界でとーちゃんとかーちゃんの間に産まれて、毎日が幸せだった。”償い”が無ければ、ずっとここにいたいとも思う。けど……実は純粋に、この世界を旅してみたいって欲求もあるんだ。ずっと幼かった頃、皆で村の丘の上から見た、空に浮かぶ島に行ってみたいとかね。それに、フィーとレオとの約束もあるし。」


 俺の説明に、2人は納得してくれたようだった。深く頷いて、それぞれ笑みを浮かべる。


「……とりあえず、シンクは自分の意思で冒険者になりたい、ってのは変わらないんだな? シンクの実力なら、普通に冒険者やるだけなら何の問題もない。もし何か困ったことになったら、いつでも頼ってくれよ。」


「フィーちゃんとの約束、ね……うふふ、そうよ、いつでも頼ってね? シンクちゃんも成人なのよね。初孫は男の子かしら? 女の子かしら? 楽しみだわ。」


 とーちゃんとかーちゃんの言う『頼って』の内容が随分違うな……。かーちゃんのこの手の発言に突っ込むと長いから、スルーしよう……。


「うん。ダメそうならすぐ帰ってくるね。」


 ここは本来なら、「そんなことにはならないよ!」とか強がるところかもしれないが、俺の目的は両親を安心させることだ。変に強がることもなく、すぐ帰ってくると言っておけば、無理をしないってことが伝わって安心できると思うのだよね。


「話し込んでいたら、いい時間になっちまったな。それじゃぁ、ご馳走を頂くとしよう。シンクも成人したのだし、皆で乾杯しようじゃないか。」


「そういえばとーちゃん、レオが送ってきてくれた酒があるんだ。それを飲もうよ。」


「お、じゃぁ、そいつを頂くとするか。」


 俺はレオに貰った高そうな酒を出してきて、皆の杯に注いで回った。


「それでは、シンクが成人まで健やかに育ってくれたことを祝って、乾杯!」


「乾杯! シンクちゃんおめでとう、元気に育ってくれてありがとうね。」


「乾杯! とーちゃん、かーちゃん、育ててくれてありがとう~!」


 前世の記憶があるおかげで、この両親がすばらしい両親だと実感できる。何も知らなければ、これが当たり前と思っていたかもしれない。そういう意味では、前世の記憶があって良かった。

 俺は心に引っ掛かっていたことを両親に話せたのもあり、お酒が進んだ。とーちゃんとかーちゃんも、美味しいと言ってぐいぐい飲んでいる。そして……


「とーちゃん、俺、背が低いじゃんかぁ。フィーに嫌われないかなぁ?」


「フィー嬢ちゃんなら、背なんかにこだわらないと思うぞ。それに、シンクもこの先まだ大きくなるかもしれないだろう?」


「フィーちゃんなら大丈夫よぉ! あー、早く孫の顔が見たいわぁ。」


 酔った勢いで情けない相談をしている。恥ずかしさもあって更に酒が進んだ。

 そして夜が明けて……俺は見事に二日酔いになり、出発を翌日にずらすこととなった。


 両親に見送られ、家から出発した。村ですれ違う人達に「あれ? 昨日出発じゃなかったのか?」と聞かれては、二日酔いという恥ずかしい理由をその都度説明し、呆れられた。なるべく人に会わないよう、こそこそと村を抜ける。村の入口にはイーナが待っていた。


「ケーキの感想を聞こうと思って待っていたんだけど、その様子じゃケーキの味なんて覚えてないでしょ?」


「いやぁ、面目ない。」


「はぁ、シンク兄がモンスターにやられる姿は想像出来ないけど、美人局とかに引っ掛かって身包み剥がされるのは簡単に想像出来るよ。本当に気をつけてね。」


 うぐぅ、俺もそう思う。気をつけよう。


お酒を飲む時の注意点。腹が立っているときにお酒を飲むと怒りが増幅されます。というか理性の押さえが弱くなります。腹が立っているときはぐっすり寝るのが効果的。お酒を飲んで忘れるって話もありますが、寧ろ逆効果だと私は思います。最悪、怒りを暴力へ転換してしまう可能性があるので注意しましょう。

お読みくださりありがとうございます。

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