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無色透明  作者: 夜桜菫
自分至上主義篇
8/41

歪んだ殺意のテーマ曲

自分至上主義編はあと1話で終わる予定です

この次過去編入ります。



 私は図書館で眠ってしまっていたらしい。

 時刻は十三時十分。クラスは先にHRが終わり、私は約束した図書室で彼を待っている。

 先に声をかけてきたのは彼なのに。

 そんな文句を垂れながらもう一度寝ることにした。

 マリネの告白、振ったって言ってたけどゴム風船に目をつけられてないだろうか。いや、今は私っていう標的がいるんだし、大丈夫だよね。

 私しかいない図書館のドアが開いた。ゆっくりと誰かが入ってくる。私の方へ近づいてくる。

 他にも席あるのに、と思って振り返ると、そこにいたのは私だった。

 無愛想な顔、手入れのしていない黒髪。やる気のない無地のTシャツ、ジャージのズボン。私より若干身長が高く見えた。

 その「私」は思いもよらないことを口にした。

「お前が(あおい)を殺したんだ」

「私」が手に持っていた刃物を振り上げ、視界が真っ赤に染まった。



 ベッドから飛び起きた。

 なんて夢を見たのだろう。今日は厄日に違いない。

 枕元の時計を見ると十八時半。日付は変わってない。

 今日はいろいろなことがあったな。彼奴が暴れまくったせいで及川が全治三ヶ月の大怪我、マリネは完治二週間の深い切り傷を負った。

 顔を洗うべく、洗面所に向かう。

 鏡の自分と目が合った。鏡に映った私を見て腰が抜けた。

紅音(あかね)?』

 私の服装は、紛れもなくあの夢の中で私に近づいてきた「私」だった。

『大丈夫?』

「うん、大丈夫……」

 私は立ち上がる。

『それならいいんだけど……』

 その時、ドアがノックされた。

「仁科さん?」

 と声がする。聞いたことのない声だ。

「いらっしゃるのはわかってますのよ。居留守なんかしてないでこの扉開けて頂戴な」

 誰の声だろうか。このお嬢様口調。

 おそるおそる廊下に出る。

「松戸。この扉開けて頂戴」

 一秒も経たぬうちにドアが倒れた。

「マンガじゃないんだから……」

 とツッコミを入れた。

「松戸」

 大男が一歩前に出る。その後ろからゾロゾロと黒い服の集団が銃を構え一斉に撃つ。

 高いヒールを履き、秋だというのに露出の多い黒いドレスを着た女は男の後ろでほくそ笑んでいた。

『紅音、もう少しの辛抱だから』

 と彼奴の声がする。この声、いつ聞いても落ち着くなぁ……。なんて不謹慎なことを考えてみる。

「申し訳ございません、奥様。弾切れです……」

 男たちが口々にそう言った。どうやら乗り切ったらしい。此奴がが銃弾を防いでくれたから私はかすり傷一つ負っていない。

「使えないわね!」

 女は怒鳴り何かを構えた。刃物だ……。夢の「私」を思い出してしまう。首を小さく振って恐怖を追い払う。

 女が怒りと憎悪と殺意をごちゃ混ぜにしたような表情で襲いかかってきた。

 私はその脇腹を思いっきり蹴り飛ばした。女が崩れ落ちた。

『紅音?』

 驚いている。だってやられてばっかりじゃ負けてるようなものでしょ?此奴はそうは思わないんだろうけど。

ガチで紅音が殺したんですかねw


それはさておき、今までの登場人物の中で私と同名の人がいますよ。あの人です。字は違いますがね。

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