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無色透明  作者: 夜桜菫
Xデー篇
41/41

束の間の休息

また間が空いてしまいすみません。

前回の続きです。


5月27日。

 靴下を買いたかったらしく、服屋に入るなり(あおい)はどこかへ消えてしまった。

 すぐに戻っては来たが、デートあるあるのどっちがいいかな?というイベントは無かった。

 そんなのが有ったとしても何も変わらない。

紅音(あかね)お昼はどこで食べようか」

 蒼が言った。

 ショッピングモールのマップを見る。ファーストフードの店が多い。が、今日は朝食を抜いたのだ。そんなものじゃ足りない。

「揚げ物以外がいいな……」

 太ったし、最近。

「ハンバーグとか食べる?」

 私は魚より肉派だ。しかもステーキよりハンバーグ派。蒼にはそのことを話していない。察したとしたら此奴は超能力者(エスパー)かもしれない。

「ハンバーグにする!」

 フードコートは四階だ。



 やはり混んでいる。

 予想通りではあったが生気を吸われている感覚がある。

 店に到着した頃にはもう干物だった。

「ドリンク何頼もうか」

 私が干からびているのは喉が渇いたせいだと思ったのか、蒼はそう言った。

「コーラ……」

 喉に冴え渡るあの炭酸の感覚がたまらなく好きだ。蒼は甘い……と言っていたが、それもまたコーラの魅力の一つだ。

 ドリンクを頼んでからハンバーグを注文した。

 コーラが届いた頃には私も既に枯れ朽ちた草のようになっていた。グラスを口に近づけて一気に飲み干す。

「生き返る〜!」

「美味しいね、ここのドリンク」

 蒼は少しずつジンジャーエールを飲む。

「ハンバーグも期待しちゃうな」

 そんな会話をしていたらハンバーグが運ばれてきた。肉汁が弾けて、それがたまらなく愛おしい。涎が垂れそうだ。

 普段は母さんが家にいないせいでこんな豪勢な食事には有り付けない。でも金は母さんのだから感謝しないとな。連れてきてくれた蒼にも。

「いただきまーす」

 美味しい……なんてもんじゃない。美味しすぎてこっちが溶けそうだ。

「美味しい?」

 蒼が聞く。

「うん!」

 また来たい、という言葉は飲み込んだ。

 そんな頻度高く来られるほどハンバーグ屋のハンバーグってのは安いもんじゃないし、このハンバーグは価値が高すぎる。


 普段はあんなに食べないのに、というほどに食べた。美味しかった。

 お互いの所持金のことを考慮して会計は折半にした。

 デートだと男が奢ることが多いらしいがそれでは男はただの財布じゃないか。と思う。

「今度は別の料理屋さんも行ってみよう」

「今度来るときはパスタがいいなぁ」

「パスタいいよね〜!」

 少しゆっくり歩いてショッピングモールの出口に向かう。


 ショッピングモールの外に出た。少し日差しが弱まっており、いくらか過ごしやすい気候になっていた。

「そうだ写真!」

 私が言うと蒼がそうだった、と相槌を打った。

「ここの壁の色割と綺麗だよね」

 蒼が言うのでショッピングモールの裏で写真を撮ることにした。ここなら逆光もなくいいと思う。

 こう言うときは女子が自撮りで二人の写真を撮るんだろうか。うん。そうだよね。

「じゃあ撮るよー」

 スマホを出しシャッターボタンを………押せない。押そうとするも手がずれてしまう。

「できないー」

 今日一番に落ち込む気がする。

「貸して」

 蒼がスマホを持ち、シャッターボタンを押した。上手く、撮れてる。なんなんだ此奴の女子力の高さは。


 帰り道、他愛もない会話をして、家に着いた。

 蒼がまたね、と言って歩き出す。

 私は部屋に急いで向かい、写真立てを出した。

 特に何の写真も入れていなかった。祖母がくれたのはいいが、その祖母はこれをくれた直後に亡くなってしまった。しかも私は昔から写真写りが最悪だったので写真という写真は撮ってない。撮ったとしてもすぐに捨てている。

 私は写真立てに写真を入れた。

「ずっとこうして、笑顔でいられますように」

挿絵(By みてみん)

遅れたのは絵描いてた所為です。死にました。

下手すぎた。何よりも色塗るのが(線画もダメダメだろうが)


とりあえず紅音の異常なまでのハンバーグへの愛が伝わったでしょうか。


彼に残された時間、残り54日。

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