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無色透明  作者: 夜桜菫
Xデー篇
40/41

自由気ままな平日デート

平日デートwww

私は平日は外に出ません。休日遊びます


今日の日付、5月27日。

 恐喝、暴行、脅迫。

 終わらない地獄に終止符を打つには……。


 いじめに遭った主人公がそう言って二十階建てのマンションの屋上から飛び降りた。

 地面を見下ろすとぐちゃぐちゃになった死体。これじゃ誰なのかすらわからない。



 テレビの電源を切って部屋に籠る。

 一週間前の校外学習の日だけは何もなかった。そんな普通の時間を追い求めて私は不登校になった。

紅音(あかね)……外、出ない?」

 (あおい)がドアの外で言う。

「うん」

 一度制服を着ることを試したが着ることすらできなかった。でも別に外に出ることは嫌いじゃないのでたまに外に出るようにしている。

「今日はどこ行こうか」

 絶賛デート満喫中だ。きっと蒼はそんなこと意識してないんだろうけど。でもそういうところが好きだ。デートだけ着飾るようなのは嫌だ。

「新作ソフト買いに行きたいな」

 カーレースゲームの新作が出たという情報は昨日ゲットしている。そして今日発売セールをしている、ということも。

「どこで売ってるの?」

「ここ」

 私は右手にあるショッピングモールを指した。

 蒼が店内案内板、と書かれたボードを見て売り場を探した。

「何階かなぁ」

 それは調べてくるの忘れた。私は急いで検索した。

「「五階だ」」

 声が揃った。

 二人で照れて、笑った。

「行こっか」

「うん」

 手を繋いで、歩き出した。


 ショッピングモール内は騒然としていた。

 新作ソフトがそんなに売れてるのかと思ったがどうやら違うようだ。後三十分後に有名なバンドが三階でライブをするらしい。興味ない。

 エレベーターに乗った。三階に行く人でごった返していた。吐きそうだ。

 三階に着いて人がたくさん降りていった。

 エレベーター内には私と蒼の二人だけ。心臓の音がうるさい。

「紅音……」

「はい!」

「えっ。どうしたの?」

「なんでもない……!それで……?」

「あ、うん。何処かで写真撮ろうね」

「うん!」


 五階で降り少し歩くと新作発売、と書かれた看板を見つけた。

「ここだね!」

 誰も並んでない。信じられなかった。でもホッとした。

 ソフトを持ってレジに並ぶ。店員が少し驚いたような表情をした。ライブに行かないのか、ということなのだろうが生憎私は興味ない。

 店を出た後腕時計を見た。十一時、か。

「映画でも見に行く?」

「何見よ……なんかいいの上映してるかな」

 映画館は確か二階だったはずだ。


 二階に着き、映画館で受付をする。

 確かホラー映画があったはずだ。デートの定番だとどこかで聞いたことがある。

 受付を済ませて中に進もうとすると蒼に呼び止められた。

「ポップコーン買わない?」

 これから見るのゾンビ映画だぞ。

「じゃあコーラ飲もうかな」

 私はコーラ、蒼はジンジャーエールを頼み、ポップコーンのLを注文して席に着いた。ガラガラだ。

「楽しみだね」

「うん」

 正直に言うと怖いです。



 映画が始まってからというもの、私はゾンビが怖くて直視できずにいた。蒼の手を握って二時間経つのをひたすら待った。

「面白かったね!」

 当の蒼は意外とそういうのは平気なようで、上映中も楽しんでいた。

「あそこまでリアルだと思わなかった……」

 映画館デートあるある現象はほとんどと言っていいほど起きてはくれなかった。

 時刻は午後一時。

「お昼食べに行く?」

「この流れで?!」

「うん。あ、それともお店とか回る?」

「そっちの方がいい!」

「洋服屋さんとか面白そうだよね〜」

 何が?!蒼に人の試着室を覗くような趣味はなかったと思う。ほんとに何が楽しみなんだ。

 確かに夏物のTシャツは小さくなってしまったのが多いだろうから……。

「服屋行こうか!」

「そうだね!」

 手を繋いで、歩き出した。

カラオケ行かないの?


デート編、次まで続きます



彼に残された時間、残り54日。

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