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無色透明  作者: 夜桜菫
ウサギ小屋の怪篇
33/41

終焉ラビット

今回でウサギ小屋の怪篇終わりです

「誰だよ俺たちのこと呼び出しやがったのはよぉ」

 ゴム風船?!なんでゴム風船がこんなところに……。

「マジでなんなわけー?」

 マリネ……。

「絶対シメてやる」

 ゴーヤまで……。

「……………」

 カンフー野郎もいるのかよ!石川(いしかわ)聖斗(せいと)。無口で腕が立つ。

「もー。今日男とデートすんのにー。遅刻しちゃうじゃん」

 ヒッチじゃねえか。顔はまあまあと言ったところだがビッチなんだよなぁ、此奴。西川(にしかわ)百合(ゆり)

「は、早く出てこいよ!」

 フンコロガシが震えた声で叫んだ。

 誰だ…誰なんだ……。犯人の野郎……出てこい……。

紅音(あかね)!』

 (あおい)が声を出した。

 制服姿の少女が、こちらに向かって歩いて来る。ズリ……と不気味な音を立てている。斧を持って引き摺っている。。

「お待たせしました!」

 この声って……。嘘でしょ……なんで……なんであの子が……。

 なんでなの……?雪乃(ゆきの)ちゃん……。

「此奴パシリ女じゃん」

 マリネが口を開いた。雪乃ちゃんは不気味にニヤッと笑い、マリネに向かって斧を振りかぶった。

「雪乃ちゃん!」

 私はその手を後ろから抑えた。あの日、蒼が私にそうしたように。

「紅音……ちゃん?」

「落ち着いて」

 彼女を一通り宥めたところで、此奴らが邪魔だ。

「死にたくなければさっさと消えて」

 私はゴム風船に言い放つ。

「あ?舐めた口きいてるとタダじゃ……」

 私は斧を握り締めた。

「そんなに死にたいなら殺してあげるよ」

「ううっ……」

「か、帰ろ……亮太郎(りょうたろう)……」

仁科(にしな)てめぇ覚えとけよ……!」

 彼奴らの足音が消えた。

 聞こえなくなった瞬間、頭の中で何かが切れる音がした。

「なんでこんなことしたの?」

「最初の三人は……モカを殺そうとしたから。モカは紅音ちゃんとの思い出だから……消されたくなかった……」

呉橋(くれはし)は?」

「彼奴は……貴女(あかねちゃん)を侮辱したから」

「そんな理由で?」

「私にとっては初めてできた友達だったの。初めて声をかけてくれた時、すごく嬉しかったの。憧れだったんだよ、紅音ちゃん」

「そんな……理由で……」

「紅音ちゃん……?」

「蒼は……溺死体で発見された」

『………』

「蒼は……暴行を加えられてボロボロだった」

『紅音……』

「散々殴ったり蹴ったりしたのはあの三人だった」

『紅音』

「プールに沈めたのは彼奴だ。呉橋だ。呉橋が沈めようって言い出して必死にもがいた蒼を押さえつけて殺したのは……!」

『紅音!』

 悲鳴のような声だった。

『それ以上言わないで』

 ごめん……。

「私が同じように殺してやるって決めてた!なのになんであんなあっさり殺しちゃうの!私が殺そうと思ってたのに!」

『紅音……彼奴らと同じ人殺しになんてならないでよ』

「…………」

 雪乃ちゃんが黙り込んだ。

「ふざけんな……」

 私は嗚咽のような声を漏らした。



 数時間後、私が呼んだ警察が到着し、時間は終焉を迎えた。

「蒼……帰ろう……」

『うん!帰ろ!あ、そういえば名前呼んでくれたね!すごく嬉しいよ!』

「そ、そう……」

 正直、元気になんてなれるわけがなかった。雪乃ちゃんが犯人だったなんて。しかもあんなに依存されてたなんて。

 生きてるのも、楽じゃないな。

雪乃ちゃんか……

次回からXデー篇ですよ!

幽霊系エピソードをあと何話か書いて無色透明も終わっちゃうんですね……切ないです

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