表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色透明  作者: 夜桜菫
ウサギ小屋の怪篇
31/41

時間の浪費

紅音がイライラする回ですwww



裏で姑息にいじめをするより直にぶつけるほうがいいですね

 私は雪乃(ゆきの)ちゃんと学校に登校した。

 裏門からウサギ小屋の辺りを覗いてみる。

 放置された腕の前に少女がしゃがみこんでいた。先日会ったあの子だ。

「どうしたの?大丈夫?」

 何食わぬ顔をして私は声をかけた。

「あ…あ…………」

 先日のように逃げることはなく、ただ言葉にならない嗚咽を漏らしている。私と雪乃ちゃんは少し怯えた声を出した。

「警察呼んだほうがいいよね……」

 我ながら白々しい演技だ。

 ところで、この子は警察に此処にいる理由をどう説明するのだろう。



「第一発見者は君かな」

「……いいえ」

 えっ。あんたでしょうが。

「私たちは違いますよ!この子がしゃがみこんでいるのを見つけただけです!」

 私は慌てて刑事に伝える。

 めんどくさい事情聴取なんか受けられるか!

「あんなに冷静だったじゃない!一回見たからでしょ!」

 少女が怒っている。この子も相当な警察嫌いだな。

「見てなんかない!腕だけだったからそこまで怖くなかっただけ!変な言いがかりつけないで!」

「言いがかりなんかじゃないわ!事実だわ!」

「濡れ衣着せてんじゃねーよクソガキ!」

紅音(あかね)……だいぶ言葉が汚い……』

 第一発見者は犯人にされちゃう。先日の父がそうだった。私は冤罪で捕まりたくなんかない!

「誰も濡れ衣なんか着せてないじゃない!」

「第一発見者ってのが濡れ衣だって言ってんの!私は昨日此処に来た後は一度も来てない!」

 こんなところで時間食ってたら学校に間に合わないじゃないか。

「嘘つき!嘘つき!」

「これはダウトじゃねーんだよ!じゃあ言ってみろよ!私が第一発見者だとして通報しなかった理由はなんだよ!」

「そんなの私が知るわけないでしょ!」

「なんかまともな答え出したら第一発見者ってことにしてやるよ!」

「やり方が卑怯だバカ!」

「バカとはなんだよ年上に向かって!」

「歳食ってんのがそんなに偉いのかよ!」

『紅音、落ち着いて』

「はぁ………。なんで認めないわけ?」

 私は小学生のガキに聞く。

「あんたが第一発見者だからでしょ」

「どっちも第一発見者ってことにしたらどうかな?」

 雪乃ちゃんが言う。

「「は?!」」

 二人の声が揃った。

「二人とも事情聴取がめんどくさいから違うって言うんでしょ?この際どっちでもいいから事情聴取始めちゃいなよ」

 雪乃ちゃんそりゃないわ………。

「じゃあ自分の通ってる学校と名前を……」

「調べりゃわかるでしょ」

 私が言う。

瑞樹(みずき)が学校に遅刻しちゃうんで早くしてください」

 瑞樹…?この子の名前か。

「それ答えてもらわないと進めないんですが……」

仁科(にしな)紅音!」

本条(ほんじょう)瑞樹!」

 早くしてよ。間に合わないじゃない。

「雪乃ちゃん、今何時?」

 私は小声で雪乃ちゃんに聞いた。

「今七時五十分だよ」

 マジかよ。

「「質問するなら早くしてください!始業に間に合わないんですけど!」」

 完璧にシンクロした。

「ええっと次に……」

 新人の刑事なようでトロい。遅い。さっさとしやがれ。

 私は強く拳を握り締め、イライラを必死に抑えた。

口論やばい。

紅音の身の回りで、紅音に口喧嘩で勝てる人はいません。


次回に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ