時間の浪費
紅音がイライラする回ですwww
裏で姑息にいじめをするより直にぶつけるほうがいいですね
私は雪乃ちゃんと学校に登校した。
裏門からウサギ小屋の辺りを覗いてみる。
放置された腕の前に少女がしゃがみこんでいた。先日会ったあの子だ。
「どうしたの?大丈夫?」
何食わぬ顔をして私は声をかけた。
「あ…あ…………」
先日のように逃げることはなく、ただ言葉にならない嗚咽を漏らしている。私と雪乃ちゃんは少し怯えた声を出した。
「警察呼んだほうがいいよね……」
我ながら白々しい演技だ。
ところで、この子は警察に此処にいる理由をどう説明するのだろう。
「第一発見者は君かな」
「……いいえ」
えっ。あんたでしょうが。
「私たちは違いますよ!この子がしゃがみこんでいるのを見つけただけです!」
私は慌てて刑事に伝える。
めんどくさい事情聴取なんか受けられるか!
「あんなに冷静だったじゃない!一回見たからでしょ!」
少女が怒っている。この子も相当な警察嫌いだな。
「見てなんかない!腕だけだったからそこまで怖くなかっただけ!変な言いがかりつけないで!」
「言いがかりなんかじゃないわ!事実だわ!」
「濡れ衣着せてんじゃねーよクソガキ!」
『紅音……だいぶ言葉が汚い……』
第一発見者は犯人にされちゃう。先日の父がそうだった。私は冤罪で捕まりたくなんかない!
「誰も濡れ衣なんか着せてないじゃない!」
「第一発見者ってのが濡れ衣だって言ってんの!私は昨日此処に来た後は一度も来てない!」
こんなところで時間食ってたら学校に間に合わないじゃないか。
「嘘つき!嘘つき!」
「これはダウトじゃねーんだよ!じゃあ言ってみろよ!私が第一発見者だとして通報しなかった理由はなんだよ!」
「そんなの私が知るわけないでしょ!」
「なんかまともな答え出したら第一発見者ってことにしてやるよ!」
「やり方が卑怯だバカ!」
「バカとはなんだよ年上に向かって!」
「歳食ってんのがそんなに偉いのかよ!」
『紅音、落ち着いて』
「はぁ………。なんで認めないわけ?」
私は小学生のガキに聞く。
「あんたが第一発見者だからでしょ」
「どっちも第一発見者ってことにしたらどうかな?」
雪乃ちゃんが言う。
「「は?!」」
二人の声が揃った。
「二人とも事情聴取がめんどくさいから違うって言うんでしょ?この際どっちでもいいから事情聴取始めちゃいなよ」
雪乃ちゃんそりゃないわ………。
「じゃあ自分の通ってる学校と名前を……」
「調べりゃわかるでしょ」
私が言う。
「瑞樹が学校に遅刻しちゃうんで早くしてください」
瑞樹…?この子の名前か。
「それ答えてもらわないと進めないんですが……」
「仁科紅音!」
「本条瑞樹!」
早くしてよ。間に合わないじゃない。
「雪乃ちゃん、今何時?」
私は小声で雪乃ちゃんに聞いた。
「今七時五十分だよ」
マジかよ。
「「質問するなら早くしてください!始業に間に合わないんですけど!」」
完璧にシンクロした。
「ええっと次に……」
新人の刑事なようでトロい。遅い。さっさとしやがれ。
私は強く拳を握り締め、イライラを必死に抑えた。
口論やばい。
紅音の身の回りで、紅音に口喧嘩で勝てる人はいません。
次回に続きます。