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無色透明  作者: 夜桜菫
ウサギ小屋の怪篇
30/41

もう誰にも奪わせない【雪乃】

雪乃ちゃん視点は今回で終了。

「冷めたとかそういうわけじゃ……」

「そうですか」

「ちょっとした出来心で……」

 先輩は目を泳がせた。嘘つきだなぁ。

「本当のことを話してください」

 先輩は大きく溜息を吐いた。

「騙されてくれねーのな」

「どういう意味ですか、それ」

「ダチと彼女が何人できるか勝負してたんだよ。まあ、お前一人減ったところであと十八もいるし余裕で勝てるけど」

 あぁ、そういうことか。

「そうでしたか」

「怒らねーの?」

「怒ってますよ。騙されてきた自分に腹が立ちます」

「……?」

「私は、全部妹に奪われてきました。私は自分から物を捨てたことはありませんが、初めて何かを捨てようって思えました」

「どういう意味だ……それ……?」

 私は先輩の机の上のカッターを握った。

「さようなら、先輩」


 ぐちゃぐちゃになった死体の隣で、私は泣いていた。

 先輩の前では平静を装ったが本当に悲しかった。あんなに愛していたのに。冷めてしまった自分にも、最初から好きなんかじゃなかった先輩にもショックだった。

 幸せだった日常を返してください、先輩。


 私はその場で服を脱いでゴミ袋に詰めた。

 先輩の服なんて穢らわしくて着られない。先輩のお母さんの服でも借りるとしよう。

 私は先輩の家を出て、何食わぬ顔で自分の家まで帰った。



 翌日、家に遊びに行った凛音が、先輩の死体を発見した。

 若干トラウマにもなったようだ。しばらく妹は引きこもりがちになった。ざまぁみろとしか言いようがない。

 まぁ、すぐ出てきた訳だが。



 あれから二年。私は高校生になった。

 私は社交的な性格じゃないために、友達を作ることができなかった。

 そんな私に、彼女は声をかけてくれた。

夏河(なつかわ)さんだよね。よろしくね」

 私の席の後ろに座る彼女は、仁科(にしな)紅音(あかね)と名乗った。

「よろしくね!紅音ちゃん!」

 やっと、私にも、友達ができる。私もやっと幸せになれる。

 彼女とはたくさん話をしたが、彼女には既に彼氏がいた。彼氏の存在を羨ましいとは思わなかった。私が欲しいのは彼氏(おとこ)じゃない。私物(わたしのもの)だ。

 他愛もない話をたくさんした。その時間が私の全てだった。


 わたしが飼育委員になってからというもの、彼女はよくウサギ小屋の掃除を手伝ってくれた。

 彼女はウサギ好きでどのウサギも可愛がっていた。

 彼氏君は名を(あおい)君と言って、紅音ちゃんとは幼馴染らしい。彼もウサギ好きらしく、雑種っぽいと嫌われていたモカを一番可愛がっていた。

 普段は無愛想な紅音ちゃんだが、ウサギの前では心からの笑顔だった。

「可愛いなぁ……」


 紅音ちゃんが虐めにあっていた。私は必死に考えた。どうやってこいつらを潰そうか。

 ぐちゃぐちゃにしてやりたい。あの日の先輩みたいに。

 彼女を傷つける奴は許さない。誹謗中傷は受け付けない。

 蒼君は助けられずに亡くなってしまった。私がその思いを……引き継ぐのだ。



 血に染まった腕を見ながら、私は思った。

「こんな汚い手で何を守れるの……?」

 気付いた時にはもう遅かった。私が彼女に抱いたのは、友情なんで綺麗なものじゃなかったんだ。汚くて醜い……独占欲だった。

時間ぶっ飛んでない?!って方、大丈夫です。

これは回想なのでちゃんと次回から日付戻ります。


幼少期の子供の教育って大事ですよね。ちゃんと愛してあげないと作者や雪乃ちゃんのように腐ります。

紅音と蒼は例外です。あの二人はお互いを補い合う仲ですので、ちゃんといい子に育ちました。

時々私の年齢がよくわからないと友達に言われますが、大人になれない子供ですね。


愛する、を意味する言葉にはいろいろありますが、愛欲とか情欲とかは好きになれません。

私の愛し方は心酔、紅音は情愛、蒼は慈愛、雪乃は陶酔、そんな気がします

参考:http://hyogen.info/groupw/list/5475

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