奪い盗られたなら盗り返せ【雪乃】
雪乃ちゃん視点は次回で終わりかな???
「雪乃はお姉ちゃんなんだから」
母の口癖だった。
最初はおやつだった。ケーキ、ポテチ、チョコレート。
「雪乃はお姉ちゃんなんだから我慢して」
母はそう言って全部妹にあげた。妹、と言っても双子の妹だ。
次は友達がくれたアクセサリーだった。
「かわいいー!あたしも欲しい〜!」
妹がそう言ったら、母は私に言った。
「雪乃はお姉ちゃんなんだから凛音にあげて」
「これは友達からもらったの!」
「雪乃!」
頰を引っ叩かれた。母は私からアクセサリーを奪い取り、凛音にあげた。
私は、奪い取られてばかりだった。
中学校に入り、私には、好きな人ができた。
一年上の先輩だったが、みんなに優しくてかっこいい先輩だった。
眺めているだけで、幸せだった。
私が二年になった時、妹が言った。
「ママ!あたしね、鈴木先輩に告白しようと思うんだ!」
鈴木先輩は、私が好きになった先輩だった。
「頑張って!ママ応援してるから!」
私が部屋に戻ろうとすると、母が後ろから言った。
「雪乃はお姉ちゃんなんだから凛音を応援しなさいね」
「嫌だ」
私はそう言って逃げ出した。
翌日の放課後、私は屋上に呼び出され、告白された。鈴木先輩だった。
もちろん付き合った。私は幸せ者だ。今まで奪われた分、私にも幸せがやってきた。
その日の夜、妹が母に言った。
「ママー!お姉ちゃんが盗ったー!鈴木先輩お姉ちゃんに盗られたー!」
「雪乃!お姉ちゃんなんだから譲りなさいって言ったじゃない!」
嫌だ……盗られたくない……。
その数日後のことだった。先輩が、浮気した。
学校の裏でキスしてたんだ。見ちゃった。
浮気相手は妹だ。それも許せない。
酷いよ。幸せだった日々が崩れ落ちる音がする。
「許さない……」
所謂体の関係らしい。私には意味がわからなかったが、浮気は許したくなかった。
発覚した数日後、私は先輩の家を訪ねた。
浮気が発覚したからというもの、私の愛情は冷めつつあった。自覚もしてた。
私がここにきた目的は、別れ話だ。もうお互いに冷めちゃったんだ。だったら終わりにしてしまおう。
私はインターフォンを鳴らした。
「先輩、ちょっといいですか」
私が言うと、すぐに先輩が出て来た。
「雪乃!来てくれたんだ!」
歓迎するフリをして期待させる。嫌だよ、嫌いになれないじゃないか。
「ちょっとお話がしたくて」
私は笑ってみせた。
「入って入って!」
先輩は部屋に入れてくれた。
「単刀直入に言いますね。別れようと思うんです」
「えっ……?」
「先輩、凛音と浮気したでしょう?」
顔が青ざめていく。
「冷めちゃったんですか、先輩」
出来心ならまだ許せる。自分に言い聞かせて、許すことができる。
先輩、少なくとも、私は冷めてきました。
先輩も冷めちゃったなら、終わりにしましょう、私たち。
浮気されたとか可哀想すぎる。先輩の反応は…。
出来心ならまだ許せるって、雪乃ちゃん凄すぎる。普通なら浮気発覚時点で別れる!ってなりますよね。
私は彼氏いないんでわからないんですけど笑笑