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無色透明  作者: 夜桜菫
ウサギ小屋の怪篇
29/41

奪い盗られたなら盗り返せ【雪乃】

雪乃ちゃん視点は次回で終わりかな???

雪乃(ゆきの)はお姉ちゃんなんだから」

 母の口癖だった。


 最初はおやつだった。ケーキ、ポテチ、チョコレート。

「雪乃はお姉ちゃんなんだから我慢して」

 母はそう言って全部妹にあげた。妹、と言っても双子の妹だ。

 次は友達がくれたアクセサリーだった。

「かわいいー!あたしも欲しい〜!」

 妹がそう言ったら、母は私に言った。

「雪乃はお姉ちゃんなんだから凛音(りんね)にあげて」

「これは友達からもらったの!」

「雪乃!」

 頰を引っ叩かれた。母は私からアクセサリーを奪い取り、凛音にあげた。

 私は、奪い取られてばかりだった。



 中学校に入り、私には、好きな人ができた。

 一年上の先輩だったが、みんなに優しくてかっこいい先輩だった。

 眺めているだけで、幸せだった。

 私が二年になった時、妹が言った。

「ママ!あたしね、鈴木(すずき)先輩に告白しようと思うんだ!」

 鈴木先輩は、私が好きになった先輩だった。

「頑張って!ママ応援してるから!」

 私が部屋に戻ろうとすると、母が後ろから言った。

「雪乃はお姉ちゃんなんだから凛音を応援しなさいね」

「嫌だ」

 私はそう言って逃げ出した。



 翌日の放課後、私は屋上に呼び出され、告白された。鈴木先輩だった。

 もちろん付き合った。私は幸せ者だ。今まで奪われた分、私にも幸せがやってきた。


 その日の夜、妹が母に言った。

「ママー!お姉ちゃんが盗ったー!鈴木先輩お姉ちゃんに盗られたー!」

「雪乃!お姉ちゃんなんだから譲りなさいって言ったじゃない!」

 嫌だ……盗られたくない……。


 その数日後のことだった。先輩が、浮気した。

 学校の裏でキスしてたんだ。見ちゃった。

 浮気相手は妹だ。それも許せない。

 酷いよ。幸せだった日々が崩れ落ちる音がする。

「許さない……」

 所謂体の関係らしい。私には意味がわからなかったが、浮気は許したくなかった。


 発覚した数日後、私は先輩の家を訪ねた。

 浮気が発覚したからというもの、私の愛情は冷めつつあった。自覚もしてた。

 私がここにきた目的は、別れ話だ。もうお互いに冷めちゃったんだ。だったら終わりにしてしまおう。

 私はインターフォンを鳴らした。

「先輩、ちょっといいですか」

 私が言うと、すぐに先輩が出て来た。

「雪乃!来てくれたんだ!」

 歓迎するフリをして期待させる。嫌だよ、嫌いになれないじゃないか。

「ちょっとお話がしたくて」

 私は笑ってみせた。

「入って入って!」

 先輩は部屋に入れてくれた。

「単刀直入に言いますね。別れようと思うんです」

「えっ……?」

「先輩、凛音と浮気したでしょう?」

 顔が青ざめていく。

「冷めちゃったんですか、先輩」

 出来心ならまだ許せる。自分に言い聞かせて、許すことができる。


 先輩、少なくとも、私は冷めてきました。

 先輩も冷めちゃったなら、終わりにしましょう、私たち。

浮気されたとか可哀想すぎる。先輩の反応は…。

出来心ならまだ許せるって、雪乃ちゃん凄すぎる。普通なら浮気発覚時点で別れる!ってなりますよね。


私は彼氏いないんでわからないんですけど笑笑

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