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無色透明  作者: 夜桜菫
追憶篇
24/41

おとぎ話の続きは……

過去編はとりあえずここで終了です。

肝心な高校篇が無いって?ちゃんと書きますから!

 軽く降る雪。若干だか肌寒い十二月。

「中学校ももう卒業かぁ」

 近所の公園のベンチに座って、私は呟いた。隣に座る(あおい)はそれを聞いて何かを数え出した。

「何を数えてるの?」

「僕の年齢だよ」

「蒼の誕生日は七月二十一日だから今は十五歳でしょ」

「そっか……」

 蒼はなんだか寂しそうだった。

「蒼は志望校決まってるの?」

「うん、一応は」

 蒼は近所の公立高校の名前を口にした。実はもう蒼の志望校は知ってるのだ。敢えて聞いただけ。

「私もそこ目指してるんだ。一緒だね」

 蒼は嬉しそうな顔をして「そうだね!」と言った。



 一月二十五日。受験会場に到着した。

「なんかみんなピリピリしてるね……」

 会場に入って行く生徒を見ながら蒼は言った。

「仕方ないよ。試験なんだもん」

「それもそっか」



 手応えは無いに等しかった。きっと落ちた。蒼とはもう一緒にはいられない。悔しかった。

 合格発表の日、私は蒼と学校へ向かった。

 自分の受験番号を探す。蒼のは先に見つかったのに肝心な自分の番号が見つからない。

 期待と不安が入り混じって、涙が出そうになった。

「高校も一緒だね」

 蒼が言った。

「え……?」

「ほら。ちゃんと番号あるよ」

 私の番号は……あった。蒼の番号のすぐ下だった。

「良かった……!」

 高校も一緒だね!嬉しいな……!



 明日は卒業式だ。楽しみだ。

 テレビをつけると女優にキャスターが質問をしていた。

 どうやらその女優は屋上から飛び降り自殺をしようとしていた子役の子を助けたらしい。

「やってしまった後悔よりもできなかった後悔の方が辛いと思うんですよね。助けられなかった…助けなかったというよりも、その子に助けないで欲しかったって言われる方がいいですからね」

 やってしまった後悔よりも、できなかった後悔の方が辛い。言ってしまった後悔よりも言わなかった後悔の方がより自分を苦しめる。

「単なる自己満足ですけど」

 言おう、明日。蒼に……ちゃんと……。



「おはよう紅音!今日は桜が舞ってるよ!綺麗だよ!」

 蒼の能天気な声に起こされた。蒼はいつも早起きだ。

「おはよう」

 私は淡々と朝食を摂り、着替えを済ませた。



 卒業証書を何度も眺めては幸せそうに抱える。側から見たら変人だ。

 怠いことが多すぎる。小学校の時もそうだったが返事だの歌だのウザいだけだ。

 私にはこの後、とんでもないビッグイベンが待っている。

「蒼……あのさ……」

 改めて蒼を見ると色々気づくことがある。蒼はこの三年間で身長も伸びたし、元々可愛かった顔が綺麗に見える。

「どうしたの?紅音」

 いつものノリに流されるな。

 私は、私の本音をぶつけるだけ。蒼がどう受け取るかは気にしない。

 言えないよりは……後悔しないだろうから。

「大好きだよ、蒼」

 蒼はノーコメント。引いたんだろうか。

 どうして昨日のうちに言葉を考えておかなかったんだ。まぁいい。とりあえず続きの言葉を考えよう。

「僕でよければ……」

 えへ、と蒼は笑った。

「改めてよろしくね、紅音」

 私は頬を赤らめた。


 こんな幸せな時間がずっと続いてくれる、と私は信じていたんだ。

 破滅は、すぐ後ろに。

不穏な気配が……

ネタバレするとここから2人とも人生下り坂。


蒼視点は取り敢えず置いておきます笑笑

次篇もお楽しみに!


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