多重人格者、蒼(前編)【蒼】
土曜の夜はホラーだよ!(嘘
あとがきがグロ注意
「なんだお前」
うわぁ。大きい人だなぁ。大丈夫かなぁ、僕。
いや言うしかない。大丈夫。
「……紅音から離れて」
怯えてしまって声が小さくなった。きっと誰にも聞こえなかっただろう。
「紅音を傷つけないでよ」
もう一度言い直した。今回は聞こえたはずだ。
「正義のヒーロー気取りだ」
女子たちに嘲笑された。
僕は正義のヒーローなんかじゃない。ただ、僕を認めてくれた紅音の力になりたいだけ。
床に横たわる紅音に視線を移す。ボロボロだ。
紅音が今までどれだけ苦しかったか。家でも痛い思いをしているのにどうして学校でも傷つけられなきゃいけないんだろう。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうして。
それを考えていたら頭の中で何かがプチっと切れた音がした。
「君達には痛みなんてわからないんだろうね。同じ痛みを味わったらわかるのかなぁ」
きっと紅音は痛いって泣いた。やめてって言った。それでも此奴らはやめなかったんだろう。むしろそれを楽しんだんだろう。
人の痛みがわからない奴なんて全員……
「××××××××××××××××××××××××××」
小声で僕は漏らした。誰にも聞こえてないはずだ。
虐めっ子が顔を真っ青にして逃げていく。無様だなぁ。
「次はないからね」
覚悟しておいてね。
ハッタリはどうやら成功したようだ。紅音は?紅音は大丈夫かなぁ。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃありません……」
紅音、その冷や汗どうしたの。
「大丈夫じゃない?!ええっと……どこか怪我……」
紅音は笑った。
「助けてくれてありがとう」
「ううん。もっと早く助けられなくてごめんね」
もっと早くこうしておけばよかった。
「そんなことないよ。でもいつから気づいてたの?」
「一年の時から。でもあんまり変なことするとエスカレーターするから」
「エスカレートだね」
「そうそうエスカレート!」
そうだよ!そうそう!エスカレート!あれ?僕なんて言ったっけ。まぁいいや。
「帰ろっか」
僕は手を差し出した。あの日紅音が僕にしたように。
紅音はその手を取って立ち上がった。
左足に気を使っている。痛いのかなぁ。
「肩掴まって」
「ありがとう」
「こういう時にお姫様抱っこができればいいんだけどなぁ」
そういうシチュエーションってかっこいいよね!
以来、紅音は虐められなくなった。あの虐めっ子たちももう虐めはしていないらしい。
あの大統領さんには大統領選で票を入れることはできないけど感謝してるよ!
でもなぜか、僕は色々な人から怯えられてたけど僕は何かしたんだろうか。
「×××××××××××××」に入るのは「半殺しにしてやる」でした。
「社会的な死」も良かったんですが
蒼の裏の鶴の一声で半殺しになりました。
「亡命されたら終わりだしアメリカ行けば証人保護プログラムがあるから個人情報も変えられる。
反省させるようなことしないと意味ないでしょ。
そんなこともわからないの?アホなのバカなのゴミクズなの?」
「すみませんでした」