認めてくれた君のために【蒼】
ほのぼの回は心が温まります
並木道を抜け、大通りへ出た。
僕は走り疲れて地面に座り込んだ。紅音が後ろを振り返る。
紅音は僕に気づき謝った。紅音は悪くないんだから謝らないで。
その時紅音のお母さんが通りかかり、お母さんが泊まるというホテルに行った。
その夜は暖かい布団で寝た。家の布団より暖かかった。
翌朝。僕が目を覚ましたのは七時半だった。眠い目を擦りながら僕はおはよう、と言った。
直後にルームサービスが来た。
アレルギーのものがほとんどで僕はソーセージしか食べられなかった。
昼食はマグロ丼のみ。これはアレルギーのものはなかったから完食。紅音の残した分まで食べた。
「今日はお母さん家帰るから紅音も蒼君も一緒に帰りましょ」
夕方、紅音のお母さんは帰って来てそう言った。
「わかった」
僕のお母さんとお父さんはあの大冒険の日以来帰ってきてない。棄てられたのだ。
親戚は誰も親権を取らなかったため、僕は里親に引き取られることになった。里親は住む家を決めていない夫婦だったため元のうちの家を使うことになった。夫婦は名字が同じ廣瀬だったのでちょうど良かった。
小学校に上がり、紅音は虐められるようになってしまった。僕は体調を本格的に崩してしまい学校にはほとんど出席できなかった。
紅音からは話しかけないで、と言われてしまった。きっと僕に火の粉が降りかかるのを恐れてのことだったのだろうが、僕はその方がまだ良かった。
退院した四年生のある日、僕は家に帰って考えてみた。紅音との約束を守ったまま虐めを止める方法。
その時たまたまつけたテレビで流れていたニュース。どこかの国の大統領が自分を批判するマスメディアに
「言いたいことがあるなら直接言ってみろ」
と言っていた。
直接……か。直接……。直接虐めっ子にやめてって言えばいいんだ!そうだよ!
どうすればいいかなぁ。弱い僕に何ができる?無力な僕に何ができる?いや、紅音は僕のことを認めてくれたんだ。なんとしてでもそれに応えなきゃ。
ハッタリをかけてみよう。うまくいかなかったらターゲットを僕に変えて貰えばいい。
いつも紅音は裏庭で虐められてた。
僕は帰りの会が終わると階段を駆け下り裏庭へと急いだ。
誰もいなかった。おかしいな。あと考えられるのはプール?
プールもやはり誰もいない。
息が上がっちゃって喉の奥から鉄の味がこみ上げる。心臓の動悸が止まらない。吐き気がする。苦しい。嫌だ……。早く……紅音の……ところに……行かな…………。
目が覚めたのは保健室だった。ベッドから飛び起きた。
「蒼君、お医者さんに走っちゃダメって言われたでしょ。何か急いでたの?」
保健の先生が言う。急いでたこと……。あっ。
僕はベッドから飛び降りて走り出した。早く行かなきゃ。倒れてる場合じゃない。
階段を駆け上がって紅音のクラスへ走る。
四年三組。此処だ。
「紅音!」
僕はドアを勢いよく開けて叫んだ。
次回グロ注意。
ヤンデレ注意報発令しておきますね