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無色透明  作者: 夜桜菫
追憶篇
18/41

蒼流・虫の追い払い方

タイトルで大体想像がつくかと思いますが、今回も蒼の恐ろしいエピソードです。

 遅いなぁ、(あおい)。いや、十中八九カップル成立して帰ってくるんだから私はいない方がいいか。

 イヤホンを押し込んでウォークマンの音量を最大にして、録音してたあの声を流した。音が大きすぎて慌てて小さくした。

 荷物を持ち立ち上がる。ドアを開けて歩き出した。この後、コンビニでお菓子でも買って食べようかな。

紅音(あかね)!」

 耳元で大声出すなよ……。とイヤホンを外すとそこには蒼がいた。

「彼女はどうしたの?」

「あのね……紅音」


 とりあえず私たちは教室に戻って適当に席に座った。

「いや、あのね!勢いに押されたというか、断り切れなかったというか……」

「うん」

 オーケーしたんでしょ。いちいち言わなくていいよ。聞きたくない。

「いや、僕も断ろうとは思ったんだけど……」

「結局どうしたの」

 聞きたくない。知りたくない。でも、ここで聞かないのはおかしな反応だと思う。

「逃げちゃった」

「は?」

 そこはオーケーしちゃった、てへぺろ的な流れじゃないの?

「逃げてきちゃったの」

「お前はバカか」

 私の心配返せ!

「い、今から謝りに行ったほうがいいよね……」

「なんて言って逃げたかにもよる」

「ごめんなさいって言って逃げてきた」

「明日でいいんじゃない」

「そうだよね!明日改めて言えばいいよね!」

「うん。今度は逃げちゃダメだからね。じゃあ今日は帰ろっか」

 私は席を立つ。安堵したせいか異様に荷物が軽く感じられる。

「待って〜」



「ねぇ蒼くん!昨日の考えてくれた?」

 朝一で昨日蒼に告白した苗木(なえぎ)真由美(まゆみ)は教室に乗り込んできた。

「屋上で答え聞かせて」

「わかった。準備していくから外で待ってて!」

「うん!」

「紅音……一緒に来て……」

「え?私も?」

「一人だと怖くって……」

「はいはい了解」

 私は屋上までついて行きドアの陰に隠れた。

「ごめんなさい」

 着くなり蒼は口を開いた。

「え…?」

「逃げちゃったこともそうだけど、付き合うのは無理だよ」

「なんで?彼女いるの?」

「いないよ」

「じゃあ好きな人?」

 耐えろ、蒼。女はしつこさだけが取り柄なんだ。

「いや……いない」

 いない、ね。予想通りだが笑えてきた。正確にはちょっとショックで笑っていなきゃ耐えられなかった。

「じゃあなんで」

「無理なものは無理なんだ。ごめんね」

 作り笑いが崩れてきてるよ、蒼。

「親しくないから?」

「それもある」

「これから仲良くしようよ!」

「無理」

 イライラするな、蒼。笑え。無理だよね、知ってる。

「ごめんね。だからもう諦めて」

 言葉に棘がありすぎるよ!

「無理だよ……」

「僕も無理なんだって」

 お前はサボテンか!

「そんなこと言わないでよ……なんで……私じゃダメなの……」

「ハッキリ言うよ」

 言うな蒼!それを言ったら其奴泣き出すぞ!

 私は蒼に向かって手でダメと伝える。

「やめておくよ。言ったら傷つくだろうし」

 どうやら蒼に届いたらしい。

「じゃあね」

 蒼はスタスタと歩き出した。

「待ってよ……」

泣き(じゃく)って苗木は蒼の袖を掴んだ。

「離して」

蒼はその手を振り払い歩き出した。

「お待たせ紅音!紅音がいてくれたから怖くなかったよ!」

「私は蒼が怖い」

「えっ、なんで」

「無自覚か。余計怖い」

「えっ待って!なんで?なんで!」

「いや、だってさ。怒ってたのが怖かった」

「ちょっとイラっとしただけ」

「蒼、一つ言っとく」

「うん」

「多分毎日あんな感じだよ」

「えっ。嫌だ……」

*注意事項*

蒼に告白して振られた場合、蒼がイライラする前に諦めましょう。


「待たせる男は嫌われるわよ」

某漫画のV氏より

しつこい女はもちろんのこと、待たせる男も嫌われるそうなので気をつけてください。

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