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無色透明  作者: 夜桜菫
追憶篇
13/41

文句は知ってるから言えること

初めて1日で1話書けました!ダメ作者ですwww


今日は時間はズレてますが、3話更新です!いぇい!

 入学式前日、(あおい)が発作を起こして入院したと母さんから聞いた。

 蒼は入学式をとても楽しみにしていた。みんなのグループができてからじゃ蒼も友達できないじゃん。ただでさえ社交的な方ではないのに。

「何言ってんの。蒼には私がいるじゃん」

 私は誰もいない部屋で一人呟いた。笑みが止まらない。



 怠い入学式が終わって教室へ向かう。

 担任が適当に話をし、ものを配って写真を撮ったら解散。蒼はこんな日のどこを楽しみにしていたのだろう。蒼に渡す教科書やプリントが入った紙袋を持ちながら私は母さんに手を引かれ、帰っていく。

「蒼君のお見舞い行こうね」

 母さんが言う。

「そうだね!」



「蒼〜!」

 母さんは売店行ってくるね、と言って病室を出てしまった。今思えば気を使ってくれたのだろう。

「来てくれてありがとう!ねえ紅音(あかね)!入学式ってどんな感じだったの?」

 確か蒼は入園式にも出席できなかった。

 こんなにも目を輝かせて聞かれると『怠かった』なんてとてもじゃないが言えない。

「まずね、校長先生がお話してその後にクラスに行って教科書とかもらうの。それで……」

 私は紙袋の取っ手に手を伸ばす。

「そうじゃなくて」

 え?流れを聞きたかったんじゃないの?

「楽しかった?」

 それが聞きたかったのか。ごめんね。

「正直に言うと怠かったかな」

 怠かった、は出来たからこそ言えること。出来ない人は知らないからこそ目を輝かせる。怠かった『何か』に期待する。そんなこと……知ってる。

「そっかぁ。そうだ。その紙袋何?」

「あ、これ?教科書」

 私は紙袋から教科書を出す。蒼は恐る恐る手に取り眺めた。いや、教科書は眺めるものじゃなくて見るものだよ。

「学校で使うから破っちゃダメだよ」

 とか言いつつ私は暇潰しに教科書に切り込み入れてたんだけど。

「うん!大事にする!」



 蒼が退院したのはその2ヶ月後だった。動物園の遠足の班決めをする時期。

「おはよう……」

 と小声で入って来た。

 みんなから「あの子誰?」と声が上がる。これは単純な『関心』なんかではなく『興味』だ。

 蒼が声をかけて来ようとしたのを遮って、私はぶっきらぼうに言った。

「おはよ。後で話がある」

「う、うん。わかった」

 私が不機嫌と考えたのか蒼の声は震えていた。



「は、話ってなな何?」

 怯えすぎ、と私は吹き出した。蒼はぎこちなく笑った。

「単刀直入に言うね。学校では私に話しかけてこないで」

「えっ……なんで……?」

 虐められてる、なんて誰が言えるか。

「いいから!約束!じゃあ」

 六年間耐えてしまえば終わるんだから。

何か心に残ってもらえるものがあると嬉しいです。

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