霜月、秋の音、大冒険
大冒険、この話で終わりです。
ペース上げなきゃヤバいですね
後90話を約60日で?文字に換算すると90000文字を1292時間で?頑張ります。死にそうだ。とてもじゃないが漫画の新刊読んでる場合ではないですね(笑笑)
並木道を抜け、大通りへ出た。
私は後ろを振り返った。何もない。おじさんはついてきていない。
蒼は?蒼はどこ行ったの?なんで蒼がいないの?蒼だけ捕まった?いや、一緒に走ってきたはず。走って……病気が悪化してしまった?探しに戻らなきゃ。
「紅音……次どこ行くの……」
足元から声がする。蒼は座り込んでいた。それほどに疲労させてしまったのだ。
「ごめん……また……」
「それは大丈夫」
大丈夫なんかじゃないのに……。
「紅音?」
聞き慣れた声がして私は振り返った。
「あら蒼くんもじゃない。どうしたの?こんなところで」
「おさんぽ」
家に帰れと、言われるだろうか。
「でも夜遅いからこの近くのホテルに予約取ってるから行きましょ」
「蒼、行こう!」
「うん!」
その夜は暖かい布団で寝た。久しぶりだった。
いつも寝てると部屋に父が入ってきて私に罵声を浴びせたり寝てる私を殴りつけたりするから布団で寝ずに風呂の浴槽で寝ている。
翌朝、いつもと違い自然に起きることができた。いつも蒼に起こしてもらってばかりで自分で起きることがほとんどなかったから。
時計を見ると午前七時。もう起きなきゃいけない時間だ。
机の上には
『朝食はルームサービスを頼んだからそれを食べてね。幼稚園にはお休みするって連絡したから今日はゆっくり休んでね。できればお家に帰って欲しいけど嫌だったらそこにいてね。またお出かけするときはお母さんに電話してね。じゃあ行って来ます』
と書いてあった。
蒼が起きて来たのは暫く経った後だった。眠そうに目を擦りながら私におはよう、と言った。
直後にルームサービスが来た。
朝食セットと呼ばれるものらしい。美味しそうな食パンの横にスクランブルエッグとソーセージが置いてある、という実にシンプルなものである。
「いただきまーす」
嬉しそうに蒼が言う。私も
「いただきます」
と言った。
その時、蒼に食事制限があることを思い出した。
「蒼!蒼は何食べちゃダメなんだっけ!」
蒼の食事制限はきっと本人も把握しているはずだ。
「食べちゃダメなもの……。あっ」
蒼はポケットの中をごそごそと探りボロボロの紙切れを取り出した。
「これに書いてある」
『こむぎ(パンとか)、たまご、だいず、オレンジ、りんご』
と書いてある。多すぎる。これじゃ蒼はソーセージしか食べられないじゃないか。母さんは蒼の食事制限のことを知らない。
「蒼、これとこれダメって書いてある」
パンとスクランブルエッグを指し私は言う。
「えーっ」
蒼は項垂れた。当たり前だ。朝食がソーセージだけだなんて。
「蒼、ごめんね」
私ではどうすることもできない。
「ううん。大丈夫」
蒼は悲しそうに笑ってソーセージを食べた。私は必死の思いで二人分のパンとスクランブルエッグを食べた。
昼食は和膳だった。まさかのマグロ丼のみ。
でも蒼の食事制限に引っかかるようなものもないのでありがたい。
朝食が少なかったこともあり蒼はよく食べた。
私は逆で朝食が多かったせいで殆ど食べられず蒼にあげた。蒼は喜んでいた。
「今日はお母さん家帰るから紅音も蒼君も一緒に帰りましょ」
夕方、母さんは帰って来てそう言った。
「わかった」
園児時代の一番の思い出である。
蒼の食事制限は病気によるものではなくアレルギーです。パンが食べられないのは苦労しそうです。
私の朝食?食べませんよ。