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異世界に住む姫はどんな旅を?  作者: 葉月 いつか
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ドラゴン襲撃

私達は喫茶店でのんびりと紅茶を飲んでいました。


『ここの紅茶は美味しいねー』

『ああ、香りも良いし好みだな』


そんなゆっくりとした休憩時間はあっという間に邪魔されました。

誰に?そう、ドラゴンにです。


爆弾が落ちてきたかのような物音が響き渡り、外から叫び声が聞こえてきました。


『ドラゴンだあああ、なんでこんな所に!!!』

『逃げろおおお!!!』

『助けてくれえええ!!!』


私達も紅茶を飲んでいる暇はありません。

外に出ると、それは信じられない光景だでした。

緑色のドラゴンが町中で大暴れをして建物を破壊し、

火を吹いて町は燃やされていた。

しかも、結構近くにいましたので驚きました。


『リリー!逃げるぞ!!』


スフィアに強引に手を引っ張れながら逃げましたが、

振り向くとドラゴンは大きな翼を広げ、物凄い速さで人を狙って飛んで来ました。

生きている心地がしなかったです。


『スフィア!ドラゴンがこっちに来てる!』

『伏せろっ!リリー!』


私達の真上を飛んでなんとか回避出来ましたが、

前にいた人は襲われてしまいました。

大声を張り上げる前に、ドラゴンに噛まれて食いちぎられてしまった。

ドラゴンの口からは大量に血が溢れて、こちらを睨んでいました。


『戦うしかないな、リリー下がっていろ!』

『えっ、いくらスフィアでもドラゴン相手は』

『逃げても襲ってくるさ、だったらやるしかない!』


スフィアは槍を構え、戦闘態勢入りドラゴンを睨みました。


『リリーには指一本触れさせない!』


私も戦いたいけど、ダガーナイフしかないし何よりも怖い。

でも、もしスフィアに何かあったら・・・

不安な気持ちで見守るしかありませんでした。


ドラゴンは鋭い牙で襲いかかり、スフィアは冷静に避け、

その隙に頭を攻撃し、足を突き刺したり、振り回して反撃をします。

しかし、致命傷まではいかず簡単には倒せません。


『くっ、やはりこの程度では倒せないか』


ドラゴンが怒り狂って空を飛び、長い尻尾を振り回し反撃をしてきた。

スフィアは避けきれずに建物に押し付けられた。


『がはっ!!!!!!』


口から血を吐き出してしまった。


『スフィア!!』


私は急いでスフィアの元へ駆け寄ろうとしたが止められました。


『逃げろ、リリー!!このままでは2人とも・・・!!』


その時でした、ドラゴンが大きな口を開きスフィアを食べようとしていた。


『辞めてえぇぇぇ!!!!!』


私は咄嗟に太ももに隠してあるダガーナイフを取り出し、

ドラゴンに投げつけました。


『グオオオオオオン!?』


投げたダガーナイフはドラゴンの目玉に刺さり、悶えていました。

今のうちに逃げなきゃ!スフィアを助けに行き、

肩を貸してその場から急いで逃げました。


『リリー、なんて無茶を・・・』

『スフィアに言われたくないわ、

それにスフィアを置いて逃げれるわけないじゃない』


しかし、ドラゴンは悶えながらもこちらに襲って来ました。

大きな口を開き、鋭い牙で私達を食べようとした時に、

スフィアは私を守る為に突き放した。


槍を構えてドラゴンの口の中に槍を突き出した瞬間に、

頭に貫通して鋭く刺さりましたが、

同時に右腕が牙に刺さり出血をしてしまいました。


『ぐうっ!!!!!』

『・・・スフィア!!』


ドラゴンを殺すことは出来たが、深い傷を負ってしまった。

その場に倒れ込み、右腕を抑えるが流れる血は止まらない。


『今止血するからね!』


応急処置をして早く病院に連れて行かないと。

着ている上着を一枚脱いで破り、スフィアの右腕に強く巻いて止血をしました。


『スフィア!しっかりして病院に連れて行くから!』


スフィアの意識は朦朧していました。


『リ、リー・・・』



目が醒めると私はベッドの上にいた。

ここはどこだろう、病院かな?


『・・・そうだ!リリーは!!』


急いで起き上がると同時に右腕に激痛が走りました。

しかし、左手は暖かい温もりがあり見てみるとそこには、

手を繋ぎながら寝ているリリーがいた。


ずっと側にいてくれたのかな?

微笑みながら寝顔を見ていると、リリーが目を覚ました。


『・・・スフィア!良かった、気がついたのね!』


リリーは泣きながら私に抱きついてきた。

少し痛がったが、相当心配だったんだろう。


『ごめんな、心配掛けて』

『本当に心配したんだからね・・・』

『私は大丈夫だから、もう泣かないで』

『うん・・・』


リリーの顔を見ると、涙に溢れていて可愛い顔が台無しになっていた。

私は彼女の涙を左手で拭ってあげた。


『リリー、助けてくれてありがとう。

だけど、もうあんな無茶はしないでほしい、

私がもっと強くなって君を守れるように頑張るから・・・』


『うん、でもそれはお互い様ね。

私だってスフィアが傷つく所なんて

見たくないもの、だから無茶しないで・・・』


『ああ、約束するよ』


二人で約束を交わしたあと、恥ずかしい台詞を言ってしまったので気恥ずかしくて誤魔化してしまった。


『しかし、この怪我だとしばらくは安静にしないとな』

『そうだねー・・・』


すると、リリーが何かを思い出して突然立ち上がった。


『あっそうだったわ! スフィアが目を覚ましたら、お医者さんに

報告しないといけないんだった! ちょっと行ってくるね』


急に思い出したリリーが、慌しく病室から出て行く姿を見て思った。

リリーを守れて本当に良かった。

それと、自分も死ななくて本当に良かったと。


そんなことを考えていたらリリーが医者を連れてきた。

医者は念のために骨にヒビが入っていないかを腕を触って確認し、

それを隣でじっと見守るリリーがいた。


『スフィアは大丈夫でしょうか・・・』


診察が終わった所で医者に以上はないがしばらくは安静にしなさい、

と言われて自分よりも安心していた。

また涙目になっているのに気がついて私は、リリーの頭を撫でた。


『本当に心配性だな』

『だって・・・』


その後、医者に今日は病院に入院しろと言われた。

私の荷物が宿に置きっぱなしなので、リリーが病院まで運んできてくれた。

一つ荷物が多い気がするけど?


『私も今日は、隣のベッドで寝るよ、許可貰ったから大丈夫!』

『いつの間に許可貰ったんだ?』

『今日はスフィア側にいたいもの』

『いつも側にいるだろう?』

『ふふ、それもそうね』


2人で静かになった夜を病院で過ごした。



後日、どうしてこの町にドラゴンが突然襲ってきた理由が判明された。

この町に住んでいる戦士達がギルドの依頼で、

ドラゴンの卵を壊しに行ったのが原因だった。


そんな事をしなければこんな事態にならなかったと言うのに・・・本当に迷惑な話だ。

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