青の女騎士
この町は「ウィロード」と言い、特に変わった建物や珍しい物があるわけではありませんが、
私はいつも以上に辺りをキョロキョロとして歩いていました。
『何でこんなに戦士の格好をした人が多いんだろう?』
そうです、辺りを見渡せば鎧を纏い、
剣や斧や大きな盾などを持っている戦士が沢山いて何か看板を持っています。
んー気になります。
けど、何だが怖そうな感じがしますので近づいたりはしませんでした。
とっととこの町から離れ、次の町に向かうために門から出ようとした時でした。
『おい、そこの君』
門番の人に呼び止められました。
この人も当然鎧を身に纏い、大きな斧を背負っていました。
何だが怖いですね。
『はい?何でしょうか』
『君は見た所剣士とかじゃないよね?
この先はモンスターが出るから護衛をして貰わないと行けないぞ』
え?そうなの?私は門番の人に聞き返しました。
『えっ、この先は誰かに護衛をして貰わないと駄目なの?』
『ああ、そうだ。戦士や騎士の格好した奴に頼んでから来なさい』
そういえば、この街に来てから鎧を纏って看板を持っていた人が居ましたね。
なるほど、だから護衛の依頼を受けるためにあんなに居たんですね。
早速誰かにお願いをしてみましょう。
戦士を探すと確かに居ますが看板を見ると、金貨5枚、銀貨と金貨3枚ずつなど
書いていますのでタダではないみたいです。
少し高いですが仕方がありませんね。
しかし誰に護衛を頼みましょうか?悩みますね〜・・・。
すると、青い鎧を纏って鋭い槍を背負い。
凛とした、青髪の女性が歩いていました。
あの方も騎士ですかね?看板は持っていませんが、訪ねて見ましょう。
『あの、突然すいません、騎士の方ですか?』
『そうだが、どうしたんだ?』
『通りたい道があるのですが、警備の人に護衛をして貰わないと行けないと
言われ、探しているのですが護衛をお願いできませんか?』
青髪の女性は少し考え込み悩んでいました。
『すまないな、私は騎士だけどこの町の住人ではない、
冒険者なんだ。護衛は引き受けていない』
『そうだったんですか、すいません。失礼しました』
諦めて他の方に頼もうとした時に、
先ほど話していた青髪の女性が私の肩に手を置き、
呼び止められました。
『待て。やはり君みたいな可愛い女性にあんな男共に任せれられん。
私が護衛をしよう』
『えっ、いいのですか?』
『ああ、任せろ。しかし明日でいいかな、今日は泊まる宿を予約してしまって』
『はい、大丈夫です、ありがとうごさいます!
あっ、お金はいくら必要ですかね?』
『いや、いらない。善意だ。それに、私もあの道を通る予定だったからな』
凄く優しい方です、美人だしカッコイイし憧れるなー。
『そうだ、名前を聞かせて貰っていいかな?』
『私の名前をリリーです、よろしくお願いします』
『私はスフィア、よろしくな』
待ち合わせの場所と時間を決め今日はその場で解散しました。
彼女が泊まる宿屋の前にと、集合は朝の10時から。
遅れないように今日は早めに寝ましょうか。
それにしても、護衛が見つかって本当に良かったです、
女性の方なので心配もありません。
しかし、お金はいらないと言ってましたが何かお礼はしたいので、
いい物がありませんかね?色々探して見ますか・・・。
数件のお店に入り、良いものがないか探しました。
冒険者だから荷物にならない物が良いよね?
そして、ようやく良さそうな物を発見しました。
『これなら、喜んでくれるかも!』
◯
翌日になり、約束の時間に集合しました。
『おはようございます、今日はお願いします!』
『おはよう、任せておけ!』
『あの、これはお礼です、良ければ受け取ってください!』
手に持っていた紙袋を渡しました。
中身は昨日買った青いブレスレットです。
好きかは分かりませんが、
邪魔にはならないからいいかなと思いましたがどうでしょうか。
スフィアさんが紙袋を開けると、少しだけ驚いてる表情をしてました。
『どうして青色が好きってわかったの?』
『鎧と髪が青色だから好きなのかなと』
スフィアさんはくすくすと笑っていました。
『君は面白い子だね、ありがとう』
受け取ってくれたブレスレットを、腕に付けてくれました。
『どう?似合うかな』
『はい、とっても!』
スフィアさんが喜んでくれて良かったです。
そして、私達はモンスターが生息しているという道を歩きました。
やっぱり護衛がいると安心します。
それに、今まで1人で旅をしていましたのでなんだか嬉しいです。
歩きながら雑談をして私の故郷や旅の話、
スフィアさんの冒険の話で共感できる物があり、
意気投合してとても盛り上がりました。
しかも年齢を聞いたら私と同い年なのでさらに親近感が湧きました。
その時、スフィアさんが何かを警戒し槍を構えました。
『離れないで、ウルフだ』
三匹のウルフが私達に向かって獲物を狩る目をして走ってきたので、
とても怖かったです。
次々と襲ってきたウルフに対してスフィアさんは槍を降り、
突いたり、攻撃をして、私を守ってくれました。
その戦い方はとても美しく、凛々しかったです。
ウルフが次々と殺られ怪我なく討伐しました、
スフィアさんが私に優しく声を掛けてくれました。
『怖かっただろ、怪我はないかい?』
『はい、大丈夫です』
あー、彼女は女性ですが惚れそうです。
それにしても、この辺りは本当にモンスターがいるみたいなので、
これは護衛をして貰わないと危険ですね。
私は怖くなってしまい、無意識にスフィアさんの腕を掴んでいました。
怯えている私にスフィアさんは優しく囁いてくれます。
『大丈夫だよ、私が守るから』
至近距離で言われたのでなんだかドキドキしました。この人絶対に女性から告白されそうなタイプですね。
素でやっているので恐ろしいです。
二人で危険な道を数時間歩き、昼過ぎにようやく目的地に着きました。
『ありがとうございました!』
『いいよ、私もこの町に用事があってな』
『そういえば、スフィアの用事って何ですか?』
私が尋ねると、目を輝かせながら教えてくれました。
この町には温泉というものがあり、疲れを癒すことが出来る場所があると。
温泉?聴いたことないですね?気になります。
私も温泉に行ってみたいというと、同行することになりました。
どんな場所なんだろうと思いながら付いて行くと、衝撃な所で驚いたのです。
なんと裸になり、みんなで一つのお湯に浸かるのです。
私の国にはそんな物はなく、とても戸惑いました。
『うー、恥ずかしい・・・』
スフィアさんに女性しか居ないから大丈夫、
恥ずかしがることもないよと励ましてくれました。
責めてタオルを巻きたいのですが、どうやら禁止みたいです。
恥ずかしいので手で隠しながら温泉というものに入りました。
すると、これはまた驚いたのです。
凄く気持ちが良いのです、温まります。
疲れが一気に吹き飛びそうです。
こんなに素晴らしいものがあるなんて感動しました。
『スフィアさんは温泉に何回も入ったことあるんですか?』
『冒険してからは3回目かな?私の住んでいた所は温泉があってね、
冒険をしてる途中に温泉がある町があれば、そこに寄って入りたくなるんだ』
しばらく浸かっていますと、
顔が真っ赤になって来ました、のぼせそうです。
もう少し浸かりたかったのですが先に出ました。
着替えを済ますとスフィアさんも出てきました。
『温泉はやっぱりいいねー!』
『私も好きになりました、連れて行ってくれてありがとう!』
『温泉が好きになったかい?それは良かった』
それからも自然とスフィアさんと行動を共にしました。
お食事をしたり、町を観光したり、宿屋も一緒の部屋に予約しました。
スフィアさんといると凄く楽しくてお別れをすることが出来なく、宿の部屋を一緒に借りてそれぞれのベッドで寝ました。
○
翌朝になり、私が先に目が覚めてスフィアさんに声を掛けると、
とても眠たそうにしながら起きてきました。
朝が苦手な人なのかな?
『おはよー、リリー・・・』
そう言ってスフィアさんはまた寝ました。
仕方がなく私一人で、近くに美味しそうなお店があるか探すことにしました。
『あっ、ここが美味しそうですね』
女性に大人気のパンケーキと看板に大きく
書かれてますので、良さそうです。
宿屋に戻ってスフィアさんと相談しよう。
部屋に戻ると、スフィアさんはまだベッドから出てきてませんでした。
『スフィアさん、もう、10時ですよ!!』
また眠たそうに起きました。
『おはよー、リリー、早起きだね』
『おはようございます!さっき美味しそうなお店が
近くにありましたので、食べに行きませんか!?』
『おっ、それは気になるねー、行こうか』
彼女はそのままの格好で部屋を出ようとしてました。
全力で止めました。
『スフィアさん!スリップのままです!』
そして着替え終え、荷物の準備し宿を出て、先ほどのお店に案内しました。
スフィアさんも気に入ってくれて、そのお店に入りました。
ワクワクしながら入りましたが、寂しさもあります。
なぜなら、この楽しい時間はもうすぐ終わってしまうでしょう。
きっとパンケーキを食べ終わったら、もうすぐお別れをしないといけません。
お互いの目的や行きたい場所も違うからです。
スフィアさんとまだ一緒にいたいのですが・・・
しかし、それは仕方がないこと。
看板に書いてあったパンケーキが届き、
食べながらそのことを考えてしまうと涙が溢れてしまいました。
それに気が付いたソフィアさんに心配されました。
『えっ、どうしたんだ!?体調が悪いのか?』
『スフィアさん・・・』
私の思ってることを正直に話したら彼女もなんと、
私と同じ気持ちだったと言いました。
『良かったら、しばらく一緒に旅をしないかい?旅人と冒険者は
少し目的は違うけど、もう少しだけリリーと一緒に居たい』
告白をされるくらい恥ずかしかったですが、とても嬉しかったです。
『改めて宜しくお願いします、スフィアさん!』
『そんなに畏まらないで、それにスフィアで良いよ』
『よろしくね、スフィア!』
『ああ、こちらこそよろしくな!』
こうして、旅をして初めての仲間が出来ました。
旅に仲間が増えました!
次回から二人で楽しく旅をします。