グリフォンに乗り故郷へ
あと3話で完結になります。
私達はこの世界で唯一、
グリフォンを飼っている町に来ています。
この町に来た理由はそれぞれの故郷へ帰るためです。
そう、私達の旅は一時中止になります。
今から一週間前にある出来事がおきました。
○
宿屋の部屋で行きたい町を相談していた時でした。
スフィアが大事な話があるから真剣に聞いてほしいと言われて、
ベッドに座って話を聞きました。
『実は・・・一度旅を辞めて、故郷に帰ろうと思っているんだ・・・』
『え・・・』
余りにも突然の出来事で言葉が出て来ませんでした。
そうです、旅を辞めるという事は、
私はスフィアと一緒に居られなくなるという事です。
『なんで・・・』
『故郷にいる皆に会いたくなってな・・・一度帰りたいんだ』
『リリー、元気を出して、仕方が無いの・・・』
フワリの言う通りよね。
いずれは旅を辞めてスフィアとも別れないといけないですよね。
それでも悲しくて涙が溢れてしまいました。
『だからさ、リリーも一度旅を辞めてくれないか?
リリーが故郷に居てくれたら、何時でも逢いに行けるから』
私は下に俯いて泣いていましたが、
スフィアの言葉を聴いて顔を上げました。
『それってどういう・・・?』
スフィアの話を聞くと、私がこのまま旅を続けてしまったら
何処にいるのかが分からなくなり、
一生逢えなくなってしまうかも知れないから、
迎えに行く時まで自分の故郷に居て欲しいと言われた。
いつになるかは分からないけど、
必ず逢いに来ると約束をしてくれました。
フワリには森に帰るか私達のどちらかについて行くかを相談すると、
リリーと一緒にいたいと言ってくれて、
フワリは私と付いて来てくれることになりました。
本当に嬉しかったです。
フワリとも別れてしまったらショック死しそうです。
これで寂しさは少し紛れると思います。
それから私達はそれぞれの故郷に帰るために、
グリフォンを飼っている町、グアファーナの目指して来ました。
いえ、ついに来てしまった。
町の中央に行くと大きな柵で囲まれており、
中にはグリフォンが一匹いました。
とても大きいです、人が三人ほど乗れそうです。
グリフォンに乗る為には、受付所でお金を払ってから乗ることができます。
『お嬢ちゃん達、グリフォンに乗るかい?』
『ああ、乗るよ』
私達は金貨を10枚払って、柵の中に入りました。
中に入るとグリフォンを撫でている男性の方がいました。
どうやら、この男性の方がグリフォンに乗って、
飛行してくれるみたいです。
『やぁ、こんにちは。僕がグリフォン使いのジータだ。
君達の目的地は何処かな?』
『初めはゼリアにお願いします。そして、次は私の故郷に・・・』
『了解、じゃあ僕の後ろに乗って』
『はい。リリー、フワリ、行こうか』
これに乗ってしまうと本当に帰ってしまう・・・。
私は一歩が踏み出せなかった。
『リリー!』
『えっ?』
頭が真っ白になっていたが我に返った。
『ご、ごめんね、ぼーとしていたみたい!うん、行こうか・・・』
フワリとスフィアが心配そうに私を見ていました。
ダメね、私・・・ちゃんとけじめをつけないとね。
私はグリフォンに乗り、
男性の合図と共にグリフォンが翼を広げて高く飛び上がりました。
『わっ!!』
怖くて目をつぶってしまいました。
『リリー、見て。とても綺麗な景色だよ』
勇気を持って目を開けて見ると、本当に綺麗な景色がありました。
なんと言えばいいかな?
私達が歩いた、道、町、村が見えて、楽しい思い出が蘇ってきます。
こんなに広い世界を自分で歩いて、旅をしていたんだなと思いました。
数時間グリフォンで飛んでいると、男性が休憩する場所に来たから、
10分ほど休憩を入れると言って一度降りました。
降りた場所の近くには木造の小屋がありました。
どうやら、グリフォンの飛行で休息するため作られた小屋みたいです。
私達はその小屋の中で休憩をして、
男性の方はその間にグリフォンに餌をあげるみたいです。
確かにずっと飛んでいると大変ですからね、
こういう場所を作ったんでしょう。
小屋の中は小綺麗に片付けられていました。
家具とかは少ないがテーブルや椅子があり、
10分くらいの休憩なら問題ない所です。
何時もなら楽しくみんなで会話をしていますが、
私は悲しくて楽しく会話をする事が出来ませんでした。
もう少しでスフィアとお別れになるからこそ、
楽しく会話をした方が良いに決まっているのに・・・。
少しの時間が経ち、スフィアが私に言ってくれました。
『リリーの故郷に帰ったらさ、
一度ゼリアに入ってリリーの住んでいる場所を案内してくれないかな?
住んでいる場所も分かれば逢えやすいだろう?』
『そうね・・・うん、着いたら教えるわ』
『ありがとう、リリー』
『リリー元気がないのー・・・』
『うん、ごめんね・・・。
あっ、そうだわ。グリフォンの乗り心地良いよねー、
落ちないか心配していたけど、大丈夫だったわ』
『だな、初めて乗ったから緊張したよ』
『少しの怖い姿をしているけど、なんともなかったの!』
少しでも気を紛らわせる為に話題を出しました。
そうよね、これ以上私が暗かったら、
スフィアも帰りずらくなってしまうよね。
だから私は笑顔で話しました。
休憩時間が終わると再びグリフォンに乗りました。
それから数時間後、私の故郷ゼリアに到着しました。
私達が何日も歩いて来た、時間が嘘のように数時間で帰って来ました。
グリフォンの飛ぶ速さが余りにも速すぎて驚きました。
グリフォンから降りた私達は、
ゼリアに入るための門を抜けて町に入りました。
グリフォンと男性は外で待っていてくれるみたいです。
『ここがリリーの故郷か・・・凄い町だね』
『大きな建物がいっぱいあるのー!』
二人はとても驚いていました。
確かに城みたいな建物があったり、
町の住人も貴族みたいな格好をして歩いていたら驚きますよね。
町に入り数時間歩くと、私の家の前まで来てしまいました。
二人は目を丸くしていました。
『ここが・・・リリーの家?』
『まるでお城なのー!』
そうです、私の家はお城みたいな建物をしています。
スフィアは私の家を見て場所を覚えて確認が終わると、
私の家に入らずその場でお別れをしました。
『リリー、またね・・・。必ず逢いに行くから・・・』
『スフィア、またなのー!』
私は笑顔でスフィアを見送りをしようと思いましたが、
余りにも悲しすぎて、涙が溢れてしまいました。
『うっ・・・ぐすん・・・スフィ、ア・・・』
手で涙を拭いても止まりませんでした。
だって、お別れをしたら一緒に居られないんだもん、
必ず逢いに来てくれると言っても、
スフィアと出逢ってからずっと一緒にいたのに、
それがしばらく離れてしまうなんて・・・。
この日がいずれは来ることは分かっていた。
ずっと旅をする訳にはいかず、いずれは帰らないと行けなかった。
フワリが一緒に居てくれるから大丈夫と思っていたけど無理だった・・・。
私は泣いてしまいました。
『リリー、泣かないで・・・。
お別れをする時はリリーの笑顔が見たいから顔をあげて』
『私も泣いてしまうの・・・』
そうよね、泣いたらダメよね。
スフィアに言われて顔をあげた瞬間に、
スフィアが抱きしめてくれた。
『えっ・・・スフィ・・・ア?』
『安心してリリー。必ず逢いに来るから心配しないで』
抱きしめられたら少しだけ落ち着いて、私は答えました。
『うん・・・約束だよ?スフィア』
『ああ、約束するよ。リリー』
やっと私が落ち着いた所でちゃんとお別れをしました。
私はスフィアの背中をずっと見ていました、
そう、姿が見えなくなるまでです。
私も帰ろうかな・・・もう目の前に家があります。
敷地に入ってドアを開ければ親が待っています。
『良し、じゃあ帰ろうか、フワリ』
『うん!』
そうです、私にはフワリが居てくれます。
フワリのおかげでどれだけ心の支えになるでしょうか。
そういえば、親にフワリのことをなんて紹介すれば良いのかな?
自分の娘・・・いやいやいや、
それは話がややこしくなるので辞めて置きましょう。
母さんも父さんもいきなり私が帰って来たら、
驚くかな?反応が楽しみです。
では、ドアを開けましょうか。
『ただいま!』




