舞踏会
私達はなんてタイミングがいいのでしょうか!
明日はこの町で最大のイベント、舞踏会を開催するみたいなんです!
誰でも参加する事が出来るみたいなので、
私達は明日に備えて準備をしています。
『良し、準備が終わったね、あとは寝るだけだわ』
『楽しみだよな、本当にタイミングが良かったよ』
『私、今日は眠れるかしら?楽しみで興奮しているわ』
『フワリを見習って私達もそろそろ寝るよ、リリー』
そう、フワリは既にぐっすりと寝ています。
フワリは直ぐに寝れるタイプだから羨ましいな、
舞踏会が楽しみで眠れないのは子供っぽいかしら?
眠気が無いものの、スフィアと一緒にベッドに入りました。
『おやすみ、リリー』
『おやすみ、スフィア』
・・・・・・やはり、眠れないわね。
こういう時はスフィアの寝顔でも見ようかしら?
私は起き上がり、スフィアの寝顔を覗くように見ました。
『普段はかっこいいのに寝ている時は可愛いな、
まつ毛も長いし綺麗・・・』
ずっと見ていても飽きません。
しかしこれ以上眠れないと、
明日に支障が出てしまうので頑張って寝てみましょう。
私は布団を被り横になりました。
『おやすみなさい・・・』
○
あの後なんとか寝れた私は、気持ち良く起き上がりました。
『んー・・・寝れて良かったわ』
背伸びをした後にふと隣を見てみると、
フワリは起きていましたがスフィアはまだ寝ていました。
『おはよう、リリー!』
フワリは寝起きとは思えないほどに、眩しい笑顔で挨拶をしてくれた。
『おはよう、フワリ!今日も一番早く起きていたのね』
『うん!リリーは今日も二番目に起きたの!』
『そうね、そしてスフィアはいつも通り三番目ね』
私達はスフィアが起きるまで二人で話し合いをしました。
数十分後にようやくスフィアが起きてきました。
『おはよー・・・二人とも・・・』
目を擦すっていてまだ眠たそうにしていいます。
『おはようなのー!』
『おはよー、スフィア!直ぐにお出掛けをするから、顔を洗って着替えてね』
『えっ、どこに行くの?』
『特に決まってないけど、舞踏会までの暇潰しだよ』
『ああ・・・直ぐに準備をするから待っててね』
待つこと数分・・・。
スフィアの準備が終わり、みんなで宿屋を出ました。
『んー、夜は舞踏会で豪華な食事が出ると思うから、
昼はサンドイッチあたりで良いかな?』
『そうね、そうしよう!
けど・・・夜まで何をしようかな?何もやる事がないよね』
スフィアが何かを閃いたようで、口を開きました。
『そういえば昨日、エステが出来るお店があった気がするな』
『えっ!何処にあったの?』
スフィアは考え込むように首を傾げた。
『んー、確か舞踏会で着るドレスをレンタルしたお店の
近くだったような気がするな・・・』
『サンドイッチを食べたら探してみよう!』
『そうだな、そうするか』
昼ご飯を食べ終わり、ドレスをレンタルしたお店の近くまで来て、
エステ店を探してみると本当にありました。
早速入ってみましょう。
店内に入ると、受付カウンターに小柄な女性が立っていました。
エステをして貰えるか確認をしてみましょうか。
『すいません、エステをして貰いたいのですが今空いていますか?』
『はい、丁度三人分は空いていますが・・・
妖精の方は羽が邪魔になってエステが出来ないかも?』
『そうなの!?』
フワリは落ち込んでいました、
確かに背中に羽があるとやり辛そうですよね。
私とスフィアはエステをする事が出来ましたが、
フワリは出来ないという事で私達を羨ましそうに観ていた。
スタッフは申し訳ないという事で、
フワリに足つぼマッサージをしてくれました。
『どうかしら?妖精ちゃん』
『とても気持ちがいいのー』
フワリが喜んでいたので、良かったです。
エステが終わった後も私達は時間を潰すために、
喫茶店に入ってお話をしたり、雑貨屋や衣類屋に行きました。
気がつくと意外といい時間になっていたので、
宿屋に戻りドレスに着替えて舞踏会に急いで向かいました。
開演時間を少し過ぎてから到着しました。そう、遅れました。
舞踏会をする建物はお城みたいに立派な所でした。
『ちょっと、のんびりとしすぎたね』
『まぁ時間を有効に使えたな』
『この扉を開けば舞踏会が待っているの!』
待ちに待った舞踏会が開催している、
建物の扉を開くと大きな会場の中に沢山の人がいました。
みんな貴公子や姫みたいな格好をしています。
さすが舞踏会ですね!!!
彼方此方に白くて丸いテーブルがあり、
その上には沢山の料理が置かれていて、
天井を見ると高そうなシャンデリアが沢山ぶら下がっていた。
フワリは興奮して私の周りを飛び回っていた。
『凄いのーこれが舞踏会なのー!!!』
『フワリ、ちょっと落ち着いて』
『そんなに飛び回るとぶつかるぞ』
と、言っている間に、
白い髭を生やしたおじいさんにぶつかっていました。
『ご、ごめんなさいの!』
『いや、痛くないから平気じゃぞ。
それよりも妖精なんて初めて見たよ、可愛いのー、ホホホ』
優しいおじいさんで良かったです、
フワリがゆっくりと私達の元に戻って来ました。
『こら、だから言ったでしょう?気をつけてね』
『はーい、ごめんなさいのー』
『まぁ、注意はそのくらいにしてお腹も減ったから何か食べよう』
確かにせっかくの舞踏会なので怒るのもダメですよね。
私達は沢山の料理が置かれている、テーブルに向かいました。
テーブルには色んな種類のパンや、果物、手羽先、
ワインボトルなどが置かれています。
まずはパンを頂き、ワインを飲みましょうか。
パンを一口食べるとまだ温かくて、とても香ばしかったです。
さてと、次はグラスにワインを入れましょうか、
ワインを注ぐとフワリが羨ましいそうに見ていました。
『私も飲んでみたいのー・・・』
『だーめ、フワリがまだ子供だからね』
フワリは頬を膨らまして、ふてくされていました。
『あと8年も待てないのー・・・』
『フワリはこっちね、はい、葡萄ジュースだよ』
スフィアが葡萄ジュースをグラスに注いで、フワリにあげていた。
『ちぇー、頂きます・・・あっ、凄く美味しいの』
ご機嫌が戻ったみたいなので良かったです。
葡萄ジュースのラベルを見ると、果実100パーセントと描かれていた。
あ、これは美味しそうですね、後で私も飲んでみようかな。
豪華な料理をしばらく堪能した後に、
ダンスをするみたいのなので、テーブルは端っこの方に移動されました。
ダンスをするのは自由なので、
ダンスを見ながら飲み食いをしても良いとの事です。
私達はダンスをした事はありませんが、
せっかくの機会なのでやってみようと思います。
フワリはテーブルに座って、観るようです。
私達は中央でダンスをするのは恥ずかしいので、
端っこで踊ることにしました。
優雅な演奏が流れる中、
私達は手を繋ぎ音楽に合わせてダンスをしました。
『これ・・・ちょっと恥ずかしいわね・・・』
『だな・・・』
スフィアとの距離も近いし、
雰囲気が良くて少し緊張してしまいます。
ダンスもやった事ないので、非常にぎこちなかったです。
すると、私がステップを間違えてしまい、
スフィアの足に引っ掛けてしまいました。
『きゃあ!』
『わっ!』
スフィアと一緒に倒れてしまい、上に乗っかってしまいました。
『二人とも大丈夫!?』
フワリが飛んできて心配をしてくれました、
『私は大丈夫だけど・・・ごめんなさいスフィア。
大丈夫?怪我はしていない?』
『いてて・・・ああ、なんとか大丈夫だよ、
リリーが軽いから怪我はしなかったよ』
『本当にごめんなさい・・・』
私は床に座り込んだまま落ち込みました。
下を俯いていると、スフィアが手を差し伸べてくれました。
『さぁ、ダンスの続きをしよう』
『えっ・・・スフィア?』
もう辞めようと言われるのがオチだと思っていたら、
ダンスを続けようと言われて驚きました。
『大丈夫だよ。もしまた失敗したとしても、
次はちゃんと支えるから安心して』
スフィアは本当に優しいな・・・。
『うん、ありがとう、スフィア』
『私もやっぱり近くにいるの!1人だと暇なの!』
『じゃあ、私の肩に乗るかい?』
『そうするの!』
私達は再びダンスの続きをしました。
それにしても、先程倒れた時にスフィアの胸が顔に当たってしまったから、
なんだがとても恥ずかしかったな・・・。
ダンスの披露時間が終わると、舞踏会もお開きです。
最後はみんなで拍手をして締めくくりました。
まだ余韻を楽しんで会場にいる人も沢山いますが
そろそろ時間も時間なので、私達は泊まっている宿屋に帰る事にしました。
『いやー、舞踏会楽しかったな!』
『凄く充実したの!』
『うん!でも、ちょっとやらかしてしまったわ・・・』
スフィア、本当に怪我はない?大丈夫?』
『本当に大丈夫だよ、リリーは心配性だなー。それよりも・・・』
それよりも?一体何でしょうか?
スフィアが顔を赤くして話を続けました。
『リリーの顔が私の胸に当たった時は・・・少し恥ずかしかったな』
私も照れてしまい、頬が赤くなりました。
『あっ、ごめんね、その・・・不可抗力というか・・・』
『私もリリーの胸に当たりたい!』
突然スフィアは私の背中に腕を回して、顔を私の胸に押し付けてきた。
『んー柔らかくて気持ちがいい・・・』
『ちょっ、ちょっと、スフィア!?まさか酔っているの!?』
フワリがそれをニヤニヤとにやけて見ていました。
『戯れているのー』
『フワリー見てないで助けてー!!』
かなり恥ずかしかったです。
部屋に戻って来ると、
スフィアは真っ先にベッドの上に倒れ込むように横になっていました。
『スフィアー、そのまま寝たら駄目よー?シャワーでも入ってきなさい』
『うー・・・ん』
『リリー、何だかお母さんみたいなのー』
私はスフィアの元に寄り、起こしてあげようとすると何かを言っていました。
『リリ~・・・』
『なぁに?』
顔を覗くようにするとスフィアが私の頭を両手で抑え、
ぐいっと引き寄せられました。
『ちゅ~~~・・・』
『!!??』
私はスフィアに唇を口付けされました。
突然の出来事に顔が真っ赤になって焦りました。
『ス、スフィア!?酔っ払いすぎよ!!』
口元を手で抑えて恥ずかしがっていると、
フワリがニヤニヤと微笑んでいました。
『スフィアって意外と大胆なのー』
私はスフィアを全力で起きさせてシャワーを浴びさせました。
うーまだドキドキしているよー・・・。
ベッドの上で枕を抱きながらゴロゴロと転がって恥ずかしがっていました。
『うースフィアのばかー』
『リリー大丈夫ー?』
『大丈夫じゃないよー!!』
スフィアがシャワーを浴びて宿屋に戻り、
酔いが醒めてから飲んだワインの度数を聴いてみると、
20パーセントのワインでした。
私と乾杯して飲んだ時のワインの度数は5パーセントだったのに・・・。
いつの間にそんなに度数が高いワインを飲んだのでしょう?
翌日になり、スフィアが私にキスをしてきた事を覚えているかが気になり、
昨日部屋に帰って来てから私にした事を覚えているかを尋ねると、
覚えていないと言ってました。
ふー、覚えていないようね。セーフです。
しかし、フワリが横から入って来て余計な事を言いそうになりました。
『覚えてないのー?スフィアがリリーにキー・・・』
急いでフワリの口を手で塞ぎました。
『わっー!!フワリ、駄目よ!!』
スフィアは首を傾げて頭にクエッションマークが出そうな程、
不思議そうに見ていました。




