氷細工の魔女・ブリジット
『もー! 何でこんなに寒いのよー!!』
『確かにこれは堪えるな・・・』
『うー寒いのー・・・』
夜中に雪が降る中、私達はこの町『アイスティア』に着いたばかりなので宿屋を探しているところです。
町並みの雰囲気は街灯が両端に沢山並び、
足場に雪が積もっているのを確認出来るほど明るく、大きな建物は無さそうですが観光出来そうです。
三人で宿屋を探して数分の事でした。
フワリが初めに見つけてくれました。
『あっ! 宿屋があったのー!!』
その建物の近くに寄って確認すると、看板には『宿屋のスミーへようこそ』と書かれていました。
『フワリ! ナイスだよ!』
『ああ、よく見つけれてくれた!!』
『えへへー、それ程でもー』
私達は早速、部屋が空いてるかを確認する為に入りました。
店内はロビーが広いわけではありませんが、ソファを何個か用意されていて、楽しそうに話しているお客がいました。
あら部屋が空いてないかも?と不安になりましたが、男性の店主に一部屋だけ空いていると言われましたので、この宿屋で泊まる事にしました。
それぞれ銀貨を一枚支払い、鍵を貰って部屋に入ろうとした時でした。
後ろから誰かに声を掛けられました。
『お嬢ちゃん達も旅人かい?』
後ろを振り向くと、先程ロビーで話しをしていた男性達でした。
特に悪い印象もなく、好感が持てそうな三十代前半の人達でしたので、警戒する事になく普通に話をしました。
『はい、そうですよ』
『おぉーやはりか。だと思ったよ』
『この町に来たって事はやっぱりあれだろ? 氷の魔法使いに会う為だろ?』
氷の魔法使い・・・? 全く知らなかったので首を傾けると、スフィアも口を開きました。
『氷の魔法使いとは?』
質問をすると、男性達は『おや、知らなかったのかい?』『この町に来たら絶対に会うべきだぞ?』と絶賛していたので、私達は詳しい話を聴き、手書きの地図を描いて貰って受け取りました。
お礼を言ってから泊まる部屋に入ると、私達はそのお話で盛り上がりました。
『氷の魔法使いかー・・・どんな人なんだろう?』
『明日会うのが楽しみだな』
『私、今からドキドキしているから寝れるか心配なのー』
男性達に教えて貰った氷の魔法使いはブリジットさんと言い、氷魔法が得意であらゆる氷細工を作り、溶けない氷で作るのでお土産に買う事もでき、大人気みたいなんです。
フワリの言われた通りに私も今からドキドキしています。
落ち着く為にシャワーを浴び、みんながネグリジェに着替えた所で部屋の明かりを消し、一つでベッドで寝る事にしました。
◯
翌朝になり、私達は時間を有効に使う為に露店で売っていたパンをかじりながら町を歩き、地図を何回か見て確認しました。
『ここだな』
『そうみたいね』
泊まっている宿屋から数分で着きました。意外と近かったです。目の前にある建物を見る限りでは普通のお店ですが、ドキドキしながらお店に入りました。
店内に入ると、冷気が一気に増しましたが両端にあるテーブルの上にはありとあらゆる氷細工がありました。
『凄く綺麗!!』
『だな・・・これは驚いたよ』
『凄いの凄いのー!』
氷で作られている林檎の形をした物や葡萄、そして動物のリスや猫の形をした氷細工もありました。
スフィアは氷細工で出来た物を懐かしそうに眺め、私とフワリが興奮しながら店内を歩き回っていると、お店の奥から誰かが来ました。
『客が来ていたか』
ぴょこんと姿を現したのは身長が小柄な女性でした。
水色の綺麗な髪に青いドレスを身に纏い、ダイヤモンドの絵柄が沢山散らばめられている服装でした。
おー、いかにも氷の魔法使いって感じがします。そうだ、挨拶をしないと。
『こんにちは、貴方が氷の魔法使いブリジットさん?』
そう言うと、彼女は気がだるそうに答えてました。
『そうよ』
んー見た目は可愛いのにクール系な女性かな? そう思いながらここに来た理由を話すと、本性が現れました。
『氷細工が欲しいんでしょ? 好きな物を言って、氷魔法で作るから』
めっちゃクールに返されました。
あ、こういうキャラも可愛いかも・・・。
このお店では商品に並んでいる物以外でも、リクエストがあればその場で作ってくれるらしく、それぞれの欲しい物をリクエストしました。まずは私から!
『えーと、百合の花を作ってほしいです!』
どうして花にしたのかと言いますと、氷で出来た花なんて幻想的で美しいと思うからね。
それに、一生枯れない花なんてロマンがあるでしょう? そんな呑気な事を考えていると、ブリジットさんが手を出して魔法を唱えました。
『氷よ・・・百合の花を作れよ』
そう呟くと、手のひらから雪の結晶みたいな物が現れ、一瞬にして百合の形のした氷が出来てしまいました。
余りにもその光景な驚き、飛び跳ねそうになりましたが堪えました。
『す、凄い!? 一瞬にして百合になった!?』
『凄いのー!!』
私とフワリは驚いていましたが、スフィアは先程と同じように懐かしそうにそれを眺めていました。先程からどうしたんでしょう?
まぁ、さすがに聞くのも野暮なので気にするのをやめましょう。
私はブリジットさんに銀貨を一枚支払い、次にフワリが苺の形をした氷を作って貰いました。
スフィアも何かリクエストがあるのかなと思っていましたが、『私はいいよ』と言って断りました。
遠慮しているのかな?と思っていると、スフィアがブリジットさんに声を掛けました。
『こんなに繊細な氷魔法使うから、魔力の消費が激しいだろう?』
心配するように話すと、ブリジットさんが微笑んでいました。
『だね。けど、これで生活費を稼いでいるからね。普通に働くよりは楽だよ』
スフィアはまるで、この魔法を知っているかのようでした。
何処か懐かしそうに語り、何かを思い浮かんでいました。
宿屋に帰宅すると、スフィアが自分から話をしてくれました。
『さっきの魔法・・・私の友達にも使える人がいてね・・・つい、懐かしくなったよ』
そう笑っていましたが、スフィアの瞳はその友達に逢いたいような感じがしました。




