アマゾネスの村
私は知らずにこの村に入ってしまったのです。
そう、アマゾネスが住んでいる村とは。
村人と目が合ったらいきなり弓矢を出されて、私の足元に矢を射ってきました。
『動くな、打つぞ!』と弓を構えながら睨まれました。
もう、打ってるんですけど・・・。
その騒ぎに気づいた村人が集まってきて次々と弓を構えられました。
殺されてしまうと思い凄く怖かったですが、
1人の女性が近づいてきて変な質問をしてきた。
『お前は男性か、女性か?』
当然私は女性ですので、はい、女性ですと答えました。
『では、確認をする』
なにをするんだろう思えば突然胸を触られたのです、
私はあまりにも突然の出来事で驚き、変な声を出してしまいました。
確認が終わった所彼女の顔から警戒心がなくなり、表情が柔らかくなりました。
『失礼した、女性だったら打たないよ』
と彼女が仲間に弓をしまえと、警戒心を解いた所でやっと解放されました。
いや、胸を触んないでも分かるでしょうに。
安心した所で彼女は私を歓迎してくれました。
『ようこそ、アマゾネスの村へ!』
その後に私は彼女に質問をしました。
『男性だったらどうなってたんですか?』
彼女は笑顔で答えました、弓矢で射つと。
その後に、お互いに自己紹介をしてから、村を案内してくれました。
彼女の名前はバジール、この村のボスみたい。
先程とはまるで別人のようで、とても親しみやすい女性でした。
それに、アマゾネスはもっと原始的な村に住んでると思ってましたが、
レンガで建てられた家やちゃんとしたお店もあるので驚きました。
アマゾネス達のほとんどは手作りをして、それをお店に出すみたいです。
衣類屋に入ると、動物の毛皮で作ったバックや服などが有りました、
おーこれは原始的ですね。
せっかくなので、アマゾネスみたいな服を選んで試着をしました。
ちなみに選んだのは、狼の毛皮で作られたコートです。
フードには可愛く耳も付いています。
着心地はモコモコしていて、とても暖かいので最高です。
『おー、似合ってるねー』
『このコート可愛いわね』
『それは私が記念に買ってやるよ』
『いいの?ありがとう!』
私はそのままの格好で衣類屋を出ました。
服が違うだけでアマゾネスになれた気分です。
いやー実に楽しい。
その後に、アマゾネスに人気がある果物をお勧めされ、
置いてあるお店に向かいました。
『これは葡萄ですか?』
『普通の葡萄じゃないんだよなー、
この辺にしか取れない貴重な物さ、食べてみな』
一粒がとても大きく、鮮やかな紫色をしています。
試食をしてみると、とても甘くて美味しかったです。
これは何個食べても飽きない葡萄ですね。
お店から出ると、外は少しだけ薄暗くなっていました。
楽しい時間はあっと言う間です。
まだこの村に居たかったのですが、そろそろ出なければなりませんね。
次の町に辿り着くのが遅くなってしまいますから。
『すいません、そろそろこの村を出ないと、
目指している町に行くのが大変になりますので、帰ります』
バジールさんは少しだけ寂しそうな顔をして、私を引き止めました。
『もう帰ってしまうのかい?急ぎの旅じゃないなら、
うちの家に泊まってもいいのだが?』
『えっ?よろしいのですか?』
バジールさんがうちで泊まっていけよというので、
お邪魔することにしました。
晩御飯も作ってくれてご馳走をしてくれました。
テーブルにはサラダとシチューが置かれ、
二人で向かい合って座り、頂きました。
シチューをスプーンですくって口の中にいれると、
色んな香りと味がして、物凄く美味しいです。
サラダも新鮮で歯応えがあります。
バジールさんはお料理も出来るなんて、凄いなーと感心しました。
夜ご飯を食べ終え、私はバジールさんにお礼を言いました。
『凄く美味しかったです、ありがとうございます!』
『喜んでくれて良かったよ。じゃあ、私は食器を片付けるわ』
バジールさんが立ち上がったので
『私が片付けますので良いですよ!』と言いました。
これぐらいはしないとだめですよね。
『良いのかい?助かるよ』
『いえいえ、これぐらいはしないとバチが当たってしまいますからね!』
その後は、眠くなるまでずっとお話をしていました。
『さて、そろそろ寝るか』
バジールさんがあくびをして、目を擦っていました。
『そうですね、寝ましょうか』
ベッドが1つしかないので、私が床で寝ようとした時に、
バジールさんが風邪を引いたら困るだろ!と言って、
1つのベッドで仲良く寝る事になりました。
○
翌朝になり、目が覚めたのでベッドから起き上がると、
バジールさんが台所に立って朝食を作ってました。
『おはよう、丁度朝ごはんが出来たよ、2人で食べよう!』
『おはようございます、いいのですか?頂きます!』
服を着替えてから椅子に座り、手羽先を食べました。
朝から手羽先は胃がもたれそうかも?と思って食べましたが、
甘いタレで味付けをしており、
油が少ない鶏肉の部分を使っているみたいなので、
朝食でも食べやすくしているみたいです。
食べ終わったら旅の準備をして、バジールさんの家を出ました。
家を出てからも、村に出るまでバジールさんは最後まで付いて来てくれた。
『ここでお別れだね、またいつでも来てくれ』
『はい、近くに寄ったらまた来ます!』
バジールさんは私を抱きしめてお別れをしてくれました。
アマゾネスはこんなに優しい女性なんだと知って得した気分です。
勘違いしている方が多いかもしれないですね、
これは私の思い出だけに取って置きましょう。
またこの村に来た時はバジールさんに逢いたいと思いました。
その時は何かお土産を買って行きましょう。