飛べなくなった妖精
今私達はある町の市場に来ています。
この町の市場では冒険者や旅人が露店を開いており、
大変珍しい物が手に入ると言われています。
本当に珍しい物があって驚きました。
珍しい物とは・・・?はい、それは妖精です。
虫かごに入れらていて一緒に入っている林檎を仕方がなく、
もぐもぐと食べてました。
見た目は緑色のワンピースみたいなのを着て、
背中からは黄色い羽が生えて、髪は白色、とても可愛らしい妖精です。
『妖精が売り物なんですか?』
若いお兄さんが楽しそうに答えました。
『おう!珍しいだろ?森を探検していたら、
妖精が歩いていたから捕まえんたんだよ。
珍しいから売れるかなと思ったんだけど、全然売れなくてね・・・』
妖精が可哀想でしたので私は救うことにしました。
『お幾らですか?買いますよ』
若いお兄さんは凄く驚いていました。
『本当かい?金貨5枚でいいよ!』
高い・・・話を聞くとこれでも安くしたみたいです。
しかし、妖精を救ってあげたいので買いました。
『毎度ありー!!』
凄い衝動買いをしてしまった。
虫かごごと貰ったので、まずはスフィアに見せに行きました。
『スフィアー、珍しいの買ってきたよー』
『おっ、なんだい?』
『妖精よ』
『えっ・・・!?!?』
まぁ驚きますよね、私も初めは目を疑いました。
『可哀想だから救ってあげるために買ったの、今開けてあげるね』
開けた瞬間に妖精が喋り出し、涙目になり訴えていました。
『私をどうする気なの!?食べても美味しくないよ!!』
『大丈夫、妖精さんを助けるために買ったから何もしないよ、
飛んで逃げていいわよ』
妖精は暗い表情をして俯いていました。
あれ?私なんか変なこと言っちゃったかしら?
すると、妖精は小声で言いました。
『私・・・もう飛べないの、羽がボロボロになって飛べないの・・・』
良く見ると妖精の羽は所々に穴が空いていたり、傷ついていた。
『もしかして、さっきの若いお兄さんにやられたの?』
『いや、違うの・・・森の中で大きな鳥に追い掛けられて必死に逃げていたら、
木の枝に当たってそのまま地面に落ちて、羽がボロボロになったの』
『そうだったの・・・それで飛べなくなったから、
歩いている所で捕まってしまったのね』
『可哀想だな・・・治せる方法はないのかい?』
スフィアもとても心配していました。
私もこのままほっとくわけにはいきません、
治せる方法があるなら治してあげたい。
『ねぇ、治せる方法があるなら協力してあげたい!治せないの?』
妖精は涙を流しながら答えました。
『森に住む種族のエルフなら自然の力を持っていて、
回復魔法を使えると思うから羽を治せると思うけど・・・。
私の住んでいる森にはエルフはいないから、探すのは無理なの』
エルフ・・・?心当たりがあります。
『ねぇ、エルフなら誰でも自然の力を持っているの?』
『うん・・・』
妖精さんは絶望をしていましたが救ってあげれそうです、
エルフのルーナさんの所に行けば・・・。
『私達、1人だけエルフで知り合いがいるんだ。
ルーナさんと言ってとても優しいエルフだから、
妖精さんの羽を治してくれるかもしれない』
妖精は唖然としていました。
『・・・えっ?本当にエルフと知り合いなの?』
『ああ、エルフのルーナさんとはお茶会をした仲だよ』
妖精はまだ信じられない様子でした。
『そのエルフとはどんな人?』
私が説明をしてあげました。
『髪は腰辺りまで長く、とても綺麗な人ね。
耳は尖っていて、年齢は20代に見えるのに実は210歳なのよね』
すると、妖精は笑ってくれました。
『あなた達の話を聞くと、嘘はついてなさそうなの。
お願いっ、そのエルフの所まで連れて行ってくれない?
都合が良すぎるとは思うんだけど・・・』
『任せて!私達もまた遊びに行くねと約束をしているから問題ないわ!
けど、此処からはちょっとだけ遠いのよね・・・。
それまで、私達と一緒に旅をしましょう!』
『旅を、一緒に?』
『うん!1日や2日で着く所じゃないから、
時間は掛かるかもしれないけど、大丈夫かしら?』
妖精は嬉し泣きをしていていました。
『わざわざ、私の為にありがとう・・・私の名前はフワリ!貴方達は?』
『私の名前はリリーよ』
『私はスフィアだ、よろしく』
カゴから妖精を手でそっと持ち上げて私の肩に乗せました。
『飛べないなら、私の肩に乗っていいわよ』
『ありがとう、リリー!』
スフィアが羨ましいそうな顔をしていた。
『いいな・・・私の肩にも乗っていいんだぞ?』
『うん!後で乗るね、スフィア!』
『ふふっ、賑やかになりそうね』
夜は交流を深めるためにとバイキングで、
賑やかに夜ご飯を食べることにしました。
『これ全部食べていいの!?』
『ええ、好きな物を選んでいいわよ』
『やったのー!!!』
妖精さんは身体が小さいので、多くの量は食べられないということで、
フワリの料金は無料にしてくれました。
サービスがいいお店ですね。
食後は宿屋に戻り、
シャワーを浴びてからベッドで3人で仲良く横になって、
フワリは枕元でタオルを包んで寝ていました。
『フワリがいると賑やかだよね』
『ああ、元気で明るい妖精だな、早めに羽を治してあげたいな』
『うん、そうね・・・さて、私達も寝ましょうか』
『だな、おやすみリリー』
『おやすみ、スフィア』
こうして、妖精のフワリが私達の旅について行くになりました。