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異世界に住む姫はどんな旅を?  作者: 葉月 いつか
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風邪を引いたリリー

『リリー、薬買って来たよ』

『ありがとう、スフィア・・・』


リリーが風邪を引いて2日目が経ち、今日も看病をしてあげている。

旅の疲れがでたんだろう。


『はい、林檎を切ったからこれを食べて薬を飲みな』


うさぎ型に切った林檎を皿に乗せ、ベッドの上に置いた。


『うん、いただきます・・・』


私もお腹が空いたので林檎を丸かじりしている。

リリーが風邪を引いて食欲がないのに、私だけ贅沢なんて出来ない。


『ごちそうさま、薬飲むわね・・・。んっ、この薬、凄く苦い・・・』


吐きそうなほど苦い薬なのです。


『我慢だ。薬屋の店員に聞いたら、これが一番高くて

一番効く薬だからこれを飲めばすぐ治るだろう』


顔を見ると、とても苦しそうに飲んでいた。

これで治るといいんだけど。


『ふー、あ、熱下がって来たかも』

『いや、流石にまだ効果でないだろう』


つい、ツッコミを入れてしまった。


まぁ、冗談が言えるくらいなら明日には元気になってくれるだろう。

リリーが安静をしている中、私も宿から出ないで見守ってあげている。


実際の所、私も少し疲れているから宿でゆっくりと休んでいる。

窓から見える景色を見ていたらリリーに気を使わせてしまった。


『スフィア、私のことは気にしないでお出かけしてきてもいいのよ?』


しかし、私は断った。


『私がいなかったらリリーは読書ばかりして休まないだろう、

読むのも疲れるんだから』

『ばれましたか、てへ』

『てへ、じゃない!やっぱり読書する気なんだろう!?』


風邪を早く治してほしいので少しだけ厳しくしている。


その夜は、お粥に梅干しというシンプルなご飯を作った。

栄養も補給しないとだめなので、野菜ジュースも手作りした。

夜も当然私はスフィアと同じ物を食べた。


『ごちそうさま、ありがとうねスフィア』

『どういたしまして、後はちゃんと薬を飲むんだぞ?』


リリーが固まってしまった。

そう、あの苦い薬を飲まないとだめなので、リリーは嫌がっていた。


『えー、また・・・これ飲むの?』

『昨日に比べたら体調が良くなってるから、この薬が効いてる証拠だから飲みな』

『はーい・・・。うっ、やっぱり苦い・・・』


薬をなんとか飲み、夜も安静にして寝た。



次の日、朝から体調が良くなり、風邪が治ったみたいです。

すっかり元気になりました。

しかし、念のためにとスフィアは旅を一時中止にし、

この町にもう少しだけ滞在することにしました。


『スフィア、今日の夜ご飯は看病をしてくれたお礼になにか奢ってあげる!』


お礼にこれぐらいはしないとね!

スフィアは顎に手を当てながら考え、バイキングに行きたいと提案しました。

いいですね!私もお腹いっぱい食べたいので行きましょう!


夜になり、ちょっと高級なバイキングに行くことにしました。

ワインもビールも飲み放題、ピザや、パスタも食べ放題!

まずは、スフィアとワインで風邪が治ったお祝いにと乾杯をしました。

あら、程よいアルコールで美味しいわね。


その後に、3種類のピザがあるので2枚ずつ持ってきて、食べました。


『ワインと合うな、美味しい』

『あ、このチーズ乗っているの美味しいわ!あとでもう一枚食べよう!』


さて、次はステーキでも食べましょうか?

席から立ち上がり、ステーキがあったテーブルに向かいましたが、

一つもありませんでした。

全部食べられてしまった!?


と絶望しているなか、出来立てのステーキを運んで来た店員の女性が目の前に置いてくれました。

おー、この店員さんはまさに天使だ、なんてタイミングがいいんでしょう。

とても美味しそうですが、いっぱい取ってしまうと他の物が入らなくなるので少しだけ取りました。

あとは・・・そうだ、サラダでも頂きましょう。

盛り付けをして席に戻ると、スフィアはまたワインを飲んでいました。


『こっちのワインも美味しいなー、一口飲んでみる?』


このバイキングにはワインが2種類置いてあり、

どうやら、もう一つのワインを飲んでいるみたい。


『頂くね、うん・・・度数が高い!?』

『あっ、やっぱり少しきついかな?私はこれぐらいでも平気だけど』


スフィアは凄いな・・・私には飲めないな。

私は自分で持ってきたステーキにフォークを刺して、口の中に入れました。

あら、美味しいわ。

とても楽しいバイキングを過ごせました。

お会計をする時に財布にダメージはありましたが、

2日間外食をしていないので大丈夫でしょう。


外に出るとさっきよりも気温が下がり少しだけ寒かったです。

冷たい風も吹いてきました。


『クシュん!』


くしゃみをしたせいでスフィアが心配をして、上着を貸してくれました。


『これを羽織りな、また風邪を引いても困るからな』


優しい温もりを感じて、とても暖かいです。


『心配性だなースフィアは』

『リリーの方が心配性だろ?』


スフィアがいつも以上に優しいので思い、

直接言ったら怒られるかもしれないから心の中で言います。


たまに風邪を引くのもいいかもね!

そんな事を思っていると、スフィアに勘付かれました。


『いま・・・変な事を考えなかった?』


さすが女騎士、鋭いです。

正直に話すと少しだけ怒られましたが、

やっぱりスフィアは優しい女性だと改めて思いました。

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