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家出少女の帰る場所  作者: Dream Meter.inc「優」
9/16

肌寒い夜

-肌寒い夜-



秋。

転機となる季節。

良いニュースと悪いニュースがある。


まずは良いニュースから。


…。

…。

…。


雛「お父さん!」


男「ん?」


最近、雛は俺の事を「お父さん」と呼ぶようになった。

まだまだぴょんぴょんしていて可愛い年頃の女の子が、だ。

一番疲れる育児の過程をすっとばして、一番可愛い時期の女の子。

それがお父さんと呼ぶのは、いささか嬉しい反面ちょっと複雑である。


雛「あのね…?」


男「どうした?」


雛「~~~~~///」


男「…え?何?何?」


男(…うわ、まさか…?)


男(お赤飯焚くような事か…?)


男(…まさか、俺がそう言う用品とかも買うのか…?)


雛「あ、あのね…?」


男「…うん」


雛「…が、学校でね?」


男「おう」


雛「…皆…」


雛「…///」


男「な、なんだよ…」


男「言い出し辛いなら、言わなくても…」


雛「…」


雛「み、皆…」


雛「お、お父さんと…」


雛「…お風呂入るの嫌なんだって…」


男「…」


男「…?」


まて。

俺は雛と一緒に風呂に入った事なんざねーよ。

なんだよ、急に俺が性犯罪者っぽい事を言うなよ…。


男「へ、へー」


雛「…でね…?」


男「ん」


雛「…わ、私…」


雛「…」


雛「お、お父さんと…」


雛「お、お風呂入った事…なくて…」


男「…ほー」


雛「…ど、どんな?なのかな?皆…」


男「…いや、知らんなぁ…それは流石に」


雛「わ、分からないよね!」


男「おう…」


雛「…でね…?」


雛「わ、私…そう言うの…」


雛「じ、実は、ちょっと憧れてたりー…して…?」


男「ふーん」


雛「…ね?お父さん?」


男「ん」


雛「一緒にお風呂入ろ…///?」


男「…」


男「~~~~~~~~!?!?!?!?」


れれれれれれれ冷静になれ。

今すぐパードゥン?って聞き返したいが、ちょっと待て!?

…おぅ!?

…んんんん!?


雛「わ!ご、ごめんなさい!」


男「…!?!?!?」


雛「と、突然…びっくりするよね?」


男「心臓が止まったわ…」


男「…」


男「え?聞き間違いじゃねーよな…?」


雛「う、うん…///」


男「…」


ああ、神様。

貴方はなんと無慈悲なのだろう。

この時ばかりはグッジョブ半分、畜生半分をくれてやる。


男「…で」


雛「…だ、ダメ…かな?」


男「…」


男「い、いや…逆に聞きたい…」


男「ひ、雛は…え?」


男「こ、こんな知らないお兄さんと一緒…でも良いの?」


雛「…」


男「じ、実際会って二ヶ月くらい…だぞ?」


雛「うん…」


男「が、ガオーって…襲っちゃうかもよ?」


雛「それは大丈夫!」


おい、何が大丈夫なんだ。

やめろ、その満面の笑みやめろ。


雛「雛は!おにい…お父さんの事!信頼してるから!」


やめろ。

本当に、その笑顔やめろ。

心を抉るような清々しい笑顔だよ。やめろや。


男「( ゜д゜)…」


雛「ね?ダメ?」


男「…」


考えてみろよ。

雛は、そう言う「普通の家庭」ってのを望んでるんだ。

つまり、ここで一緒に入ってやるのが男だろ?

それこそ、お父さんの役割だろ?

待て待て、考えてみろよ。

雛は小学五年生。

おまけにドストライクな可愛さだぞ?

完全に、クジラックス世界線に突入する事は間違い無しだ。

良いのか?お前襲っても?

こんなに可哀想で可愛い雛を襲って良いのか?


と、心の中の天使と悪魔が喧嘩しだす。


男「…あー…」


雛「ね!ね!」


男「あー…」


雛「ねー…」


男「うーん…」


雛「…おとーさん…」


ヤバイ。

何がヤバイって、雛が俺の扱い方を分かってきてる点だ。

そんなさ、「ねー?」とか言われてみろよ?

断れる訳ねーじゃんか?

しかも、若干潤んだ瞳で見てくるのもえげつない。


そして、俺の心の弱さも半端ない。


男「…は」


雛「…?」


男「入りたい…のか?」


雛「…うん」


男「…」


男「…はぁ」


男「分かった」


雛「~~~!!!」


雛「やったー!!」


雛「おとうさ~ん!ありがとー!」


男(ああ…なんて微笑ましい)


男(そして俺の理性よ、持ってくれ…)


…。

…。

…。


カポーン…


男「…なぁ、一つ良いか?」


雛「は、はい…」


男「…この浴槽に二人はダメだろ」


雛「だ、大丈夫です!なんとかなりますよ!」


男(この自信はどっから湧いてくるのか)


雛「じゃ、じゃあ…!失礼します!」


男「…お、おう」


勿論、雛にはバスタオルを巻かせている。

これならば、少なからずあんし…見えてる見えてる見えてる見えてる!!!

チラッチラ見えてる!!タオルの隙間!少しは気にしてくれ!!

ナチュラルに目逸らすと、余計意識してるってバレるわ!

…安心できない。

…後ろから抱きかかえる形になろう。

で、目をどこかに逸らす…と。


ちゃぽん…


雛「ふぃ~…」


男「…」


雛「あったかいね…お父さん…」


男「おう…そうだな…」


男(平常心平常心…)


男「…あ」


雛「?」


男「えーっと…アレだ」


男「…お父さんと風呂入って…どうだ?」


男「…な、なんか嫌な感じ…するか?」


雛「あー…」


雛「…」


雛「全然!」


マジかぁ…。

俺も嫌な感じじゃないけど涙が出てくるよ。


雛「楽しいよ!」


マジかぁ…。

俺も楽しいけど、血涙が出てくるよ。


雛「すごく…幸せだし」


幸せかぁ…。

…良かった。


雛「いっつも一人だけだったし…それに、家のお風呂は暗くてイヤ…」


男「…」


雛「…本当に、すっごく幸せだな~…」


男「…」


雛「ね!」


男「…そっか」


男「良かった」


雛「えへへ…!」


男「…そーいや、最近はアレだな?随分と俺ん家を出る時間が遅いな~…」


雛「…!」


男「お家の人も心配するし、やっぱり7時頃には帰った方が…」


雛「お、お父さん!」


ザバッ!


男「!?」


雛は、あろうことか体勢を変えてきた。

俺に覆いかぶさる形…とでも言おうか。

顔と顔が向かい合う。

近い近い近い!

それに…!

なんか、「当ててんのよ」的な感じになってる!!


男「ななな…!」


雛「お、お父さんさ…」


男「お、おう」


雛「あんまり、お部屋の掃除してないよね?」


男「…あー…」


男「大体、休みの日にまとめて…」


雛「休みの日、いっつも雛と居るじゃん」


男「…あ」


雛「…掃除、してないよね?」


男「あー…確かに」


雛「…でね?」


男「んー」


雛「こ、この間…」


男「んー?」


雛「か、勝手だとは思ったんだけど…」


雛「…そ、掃除。しちゃいました…」


男「おー!それはありがたい!」


男「サンキュー」


雛「あ…うん」


男「…ん?」


雛「で、でね…?」


男「んー」


雛「く、クローゼットの中も…ちょっとだけ…」


男「あー…あそこ、魔窟だからなー」


雛「うん…」


男「なんか適当な物が大量にあったべ?」


男「正直、あそこは片付ける気になれん…」


雛「…そっか」


男「…?」


男「どうした?さっきから」


雛「…じ、実は…ね?」


雛「く、クローゼット掃除した時…」


雛「…///」


男「?」


雛「え、えっちな本…出てきて…」


男「…!」


~~回想~~

まぁ…それよりも肝心な事がある。

きっと彼女には見られていないだろうけど…。

ロリ物のエロ本を隠さなければ!!!

何がやばいって、色々やばい!!

クジラックスだろ?岡田コウだろ?ねんどだろ?

…見られたら、本当に死ぬ。

特にクジラックスはヤバイ。

このシチュエーションに似た奴が、いくつあっただろうか!?

はやく!早く隠せ!


なんとか魔窟に押し込んだ俺。

後で隠し場所を忘れなければ良いが…。

~~回想ここまで~~


コ ミ ッ ク L O

『COMICエルオー』(コミックエルオー、COMIC LO)は、茜新社から発行されている成人向け漫画雑誌。

2002年9月創刊。毎月21日発売。判型はB5判・平綴じ(無線綴じ)。

略称はLO。「ロリ漫画の灯を消すな」の考えから創刊された。

「ロリータオンリーコミックス」というコンセプト通り、幼い少女の性描写がメイン。

創刊号のキャッチコピーは「子供ですが、何か?」だった。

(Wikipediaより引用)


男「うおおおおおおおおおおおおお!!!!????」


雛「ご、ごめんなさい!!」


男「うっっっわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…↓」


雛「ご、ごめんね!ほ、本当に!ごめんなさい!」


雛「そ、掃除しようと入って…!」


男「いや…!いや!雛は悪くない…!」


男「うわぁぁぁぁ…それは辛い…!」


男「…//////////!!!」


男「…本当にごめん…」


雛「ち、違うよ!雛が勝手に…!」


男「いやいやいや…!俺が片付け忘れてた…って言うか…」


男「あぁ…多分、買った事自体がアウツ…」


雛「…」


男「…それは本当に申し訳無い…」


男「いや…本当にヤバイ…」


雛「…ううん」


男「…いや、正直…うん」


雛「…あ、で、でね?」


男「…うん」


雛「…そ、その本でね?」


男「…うん…」


雛「…お、お兄さん達は…きっと、こう言う事、喜ぶ…かな?…って」


男「…ぅん」


雛「…こ、こうやって…一緒にお風呂入ったり…とか…」


男「…」


男「はぁ…」


雛「わー!ごめんなさい!ごめんなさい!」


雛「…ひ、雛…こ、これぐらいしか…恩返し出来ない…から」


男「…!」


アレか。

突然一緒にお風呂入ろう!と言い出したかと思ったら…。

「エロ本に描かれてる事すれば、俺が喜ぶ」とでも思ってるのか…。

いや、喜ばしいよ。

嬉しいよ。

だけど…あれ?なんでかな?

涙が止まらないや。


男「…う、嬉しいけども…」


雛「うん…!」


男「…あ、あの本に描かれてること、もう、真似しないで…」


雛「で、でも!」


男「いや…!お願いします!」


雛「…」


男「十分恩返し…と言うか、幸せは貰ってるから…」


男「…ほんと、十二分に貰ってる」


雛「…う~…」


男「…あ」


男「いや、雛が「まだまだ恩返しし足りない」…って思っても…さ?」


男「お、俺的には本当~~~~~!に!満足してるから!」


雛「…ほ、本当?」


男「ほんと、ほんと」


雛「…絶対?」


男「絶対」


雛「…」


男「…」


雛「分かった」


男「…ほっ」


雛「じゃあ!」


男「…?」


雛「…今度、大きくなったら!」


雛「…雛にも、あの本の事教えてね…?」


教えられるか!!

どうすんだよ!?お前大きくなってから、俺がロリコンだって分かったらどうすんだよ!?

普通に考えて教えられねーよ!!


男「アー…エー…」


男「…あっ!」


男「そ、そうだ!そ、そう言う事はね?大きくなって、雛が結婚した相手から教わると良いよ!」


俺、GJ。

多分、見事な切り返し。

つか、見事な話題逸らし!

これなら、雛ちゃんも諦め…


雛「あ…!」


男「…ん?」


雛「じゃ、じゃあ…!」


雛「いつか!教えてね…///?」


男「…んん?」


雛「絶対!絶対!?」


男「…いや、着地点が見えない」


雛「…う~…」


男「…?」


雛「…にぶちん」


男「ガーン…」


雛「…つまり?だよ?」


雛「…///」


男「?」


雛「お、大きくなったら!」


雛「大きくなったら…!お、お兄さんのお嫁さんに…なりたいな…?」ボソッ…


雛「…///」


雛「…とか…!」


男「…」


男「…!」


雛「…優しくて、本当のお父さんみたいで…」


雛「…」


雛「…えへへ///」


男「…」


なんと言う事だろうか。

この感覚を、どう表現して良いのだろうか。

心の奥に、ずっしりと来る言葉だった。

今までに感じた事のある、「好き」と言う事葉とは、

まったく違うものを感じてしまった。

…つまりだ。

俺は、お兄さんであり、お父さんであり…。

お父さん…?に、なるのだろうか…。


…。

それから、お風呂を上がるまで。

俺達二人は、言葉少なげに過ごした…とさ。


…。

…。

…。


これが、良いニュース?である。

…では、悪いニュースも語らなければならないだろう。


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