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プロローグ その5

「ところで、理子を魔法少女に勧誘したってのはホントなの?」

「そうグルミ」

「何故、よりによって理子なんだい? ロクでもないよ?」

「わかってるグルミ……。でも、魔法少女は魔法少女を信じている人間にしかなれないし、信じている人間にしかボクの声も届かないんグルミ」


 ん、どういうこと? あと、ぬいぐるみにまでディスられてる。理子。


「魔法少女になってよって言われて簡単に信じられるくらい無邪気な女の子は大抵年齢が低すぎて魔法少女としての能力を完全には引き出せないグルミ。でも、この世界だと、魔法少女の力を引き出せる年齢の女の子で魔法少女がホントにいるなんて信じてる女の子はリコぐらいしかいなかったグルミ。科学万能で神秘の力が潜む場所のないせちがらい世の中グルミ……」

「確かに、理子は昔から未確認なモノだったり、超常的なモノだったり、埒外のモノにやたら興味を持っていたからね。魔法少女も本当にいるのならなってみたいと考えていてもおかしくないのかも」


 ただ、意味のわからないぬいぐるみに選ばれるレベルで信じていたとは、お隣さんの幼なじみとしてちょっと心配になるところだよね。


「魔法少女に理子を選んだ理由はわかった。でも、どうして魔法少女に誰かを選ぶ必要があるの? 何か目的が? 理子言っている通り、魔法少女の力を餌に酷い目に合わせたり、利用して使い捨てようとしていたり?」

「そんなことないグルミ! ボクが魔法の国に帰るのに力を貸してほしいだけグルミ!」

「魔法の国に帰る?」

「ボクは今は、こんなぬいぐるみみたいな姿だけれど、ホントは幻獣の一種なのグルミ。ドラゴンとか、ペガサスとかそういった生き物グルミね。でも、こちらの世界に来たときにはたくさんいた神秘を信じる人間が減ってしまったせいで力を失って、とうとうぬいぐるみの姿を保つのが精一杯になってしまったグルミ。ボクの住んでる世界の住人は神秘を信じる人間が少なくなると力を失ってしまうグルミ」

「なるほど。つまり、ぬいぐるみから幻獣の姿に戻って、無事元いた世界に帰ることができるようにするために、魔法少女のサポートが必要。ということかな?」

「そうグルミ! 理解が早くて助かるグルミ!」

「ん、やっぱりそれって理子を利用しようとしてるんじゃ」

「違うグルミ! リコは力を使うことで何もリスクを背負わないグルミよ。ボクのなけなしの力を魔法少女の力として分け与えるからリコには、こちらの世界の人間が神秘の力を再び信じられるような出来事を起こしてほしいんグルミ。リコは力を使って自分の好きなことができるし、グルミはリコが力を使って魔法少女の超常の力を認めた人達から力を得ることができるグルミ。ウィンウィンの関係グルミ!」


 どんどん熱っぽく語るのはいいのだけど、かわいらしいぬいぐるみのまま表情一つ変えずに持ちかけられてくる取引がむしろ不気味で怖いんだけど。よく何も考えずに契約できたなとマンガを読んで何も考えずに笑っている幼なじみを眺め、ついため息が漏れる。魔法少女ってクーリングオフできるのかな……。

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