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プロローグ その1

「見ての通りわたし、魔法少女になっちゃったのよ」


 何が、「見ての通り」なのかはよくわからないけれど、お隣さんで幼なじみの音無理子おとなしりこがピンク一色の服装で慌ただしくノックもなしに僕の部屋に駆け込んできたのは、次学年(中2)への準備も控えた春期休暇ののんびりとしたお昼頃だった。入ってきた勢いそのまま目を輝かせながら話し始めたところによると、彼女はどうも自分が魔法少女になったと主張したいようだった。

 うん、確かにいわゆる魔法少女のような服を着ている。コスプレ、にしてはよくできすぎているように見える。ロリータ的なショップで買うと高いんだろうなあという感想を何となく抱く、全身くまなくレースで彩られた服である。言葉を尽くして表現するととてもヒラヒラしている。髪の毛は、ウィッグだろうか。とにかくもう全身是ピンクといった体だ。春先だしなあ。


「なので、恭ちゃん! 私が魔法をどうやって有効活用すればいいか一緒に考えてちょうだい」


 あっけにとられて眺めてる間にも目の前の魔法少女(仮)が姦しく、一人で話を進めて、何かを提案している。魔法を有効活用? イミガワカラナイヨ?


「ちょっと待って……。いきなりで意味がわからないし、前提もおかしい。魔法少女になっちゃったよーっていきなり言われても、はいそうですか! って、言えるわけないでしょ?」

「どうしてよ。魔法少女にでもならなかったら、普段はパンツルックにティーシャツで、男女って影で言われて久しい幼なじみがこんなロリロリした服を着ていきなり相談を持ちかけると思う? 頭がおかしくなったんじゃないんだから」

「いや、てっきり、僕は理子の頭がおかしくなったのかとうっ……!」


 理子が右手に持っていた棒、もっとくわしく言えば、魔法少女的な先端に飾り物が大量に付いたマジカルスティックが頭に振り下ろされる。星のとがったところが刺さるかと思った。思いの他痛い。


「わかったから、殴らないで。まずは、そうだな。痛いコスプレじゃないんなら、その証明に魔法でも使ってみせてよ。魔法少女を名乗るんだからできるんでしょ?」


 僕の台詞を聞くなりわざとらしくため息を吐きながら冷たい視線をこちらに向ける。


「魔法なんて使えるわけないじゃない!」

「ん、やっぱり頭がおかしくっ!」


 今度は横へと薙ぎ払いにきたところをすんでのところでしゃがんでかわす。ナイス僕。


「待って、魔法が使えないってんなら魔法少女じゃないでしょ」


 我ながら正論である。


「うるさいわね! 使えないって、できないんじゃないのよ! 使えるけど、使わないのよ」

「使わないってどうして?」

「もう、一から十まで説明しなきゃわからないの? ホントに仕方ないわね……」


 うんざりした顔をしているけど、理子が部屋に来てから3分程度、こっちの方が間違いなくうんざりしている自信がある。ほらいいから早く説明をしてよ。頼むから。

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