暖かい……
「で、お前は誰なんだ?」
助けたのはいいが肝心な名前を聞くのを忘れていた。
「そうですね。少女少女って書かれるのも嫌ですからね。」
「作者は知ってると思うが…俺は知らないからな。」
蛇「なら、この私が紹介いたしましょう。」
お、突然やる気を出したな蛇。
「蛇って言うのはおやめください。私にはガイアという名があります。」
心を読んだか。蛇
「心を読んだか。蛇って思ったでしょうが、私にはそんな能力はありません。」
あるじゃねーか。
「おほん!!では、失礼して……」
ボン!!
突然煙があたりを充満した。もう少し、優しくできないのか?息が苦しくてしょうがない。おれは、ハンカチで口をふさぐ。
「この姿になるのは久しぶりですね。」
そこには、執事服を着た女が立っていた。
「では、改めて……私の名前はガイア。精霊王の遺言により、姫の護衛と世話係を担当しております。」
ほぉ、まさか人化できる精霊とはな。しかし気になるのは……
「なんで、その執事の服を着てんだ?しかも、女かよ!?」
「む、失礼な。これは精霊王から直接与えられた名誉ある服装なんですぞ?」
「そ、そうか。」
ま、似合うからいいか。多分、貴族の娘や御婦人方からすごくモテそうだ。
「それより……さっきから姫って言ってるが……そいつのことか?」
「そいつとは失礼な!この方をどなたと心得る!」
なんだ?時代劇みたいになってきたぞ?おれの頭にとある曲が流れる。
「六代精霊王の1人、風の精霊王の娘であるアルラ姫であらせられるぞ!頭が高い!控えろ!!」
ははっ!!
「……ってやるか!!」
危ない危ない。ノリツッコミするとこだった。
それより……
「精霊王の娘ねぇ〜。」
軽い反応にガイアは少しイラついて……
「なんだその反応は!?まさか信じてないのか!?」
「確かに人型で高位の精霊なのはわかるが……精霊王に娘がいたなんて聞いたことがないしな。」
「そ、それは……」
「第一に、精霊王が男か女なのかわからないし、姿も人間で描かれているが……あれは俺たち人間の想像であって精霊王がどんな姿なのかは誰もわからない。」
「……」
「ましてや、その娘なんて誰も信じるわけがないだろ。」
その手の詐欺師は何人出会ったことか。そのたんびにご利益があるものを買わせようとしてきたし、中には、90代のババアもいた。
「……姫、どうやらこの若者はあなたの事を詐欺師と考えてるようです。」
「しょうがないわ。私の存在を知るのは人間だと六人しかいないもの。」
「ですが……」
「ま、どっちにしろ助けてくれたのですからお礼を言うのが先だと思います。」
「……そうですね。」
何やらコソコソ話しているようだが全部聞こえてるぞ?俺は、地獄耳だから内緒話はかなりの離れたところでやるのをお勧めする。
「この度は、危ない所を助けて頂いてありがとうございました。」
「姫を救ってくださりありがとうございます。」
態度を一変させてお礼を言ってきた。執事?な事もあり、礼儀動作は完璧だ。
「よろしければ、何かお礼をしたいのですが……」
お礼か………
「それなら、寝床を貸してくれないか?寝る所がなくて困ってるんだが……」
「それなら私の家にお泊まりください。部屋が余ってるので……」
言いかけてたその時……
「お待ちください!」
蛇が割り込んできた。先ほどからやたらと絡むな。
「どうしたんですか、ガイア?」
「姫の家にこんな野蛮人を泊める訳にはまいりません。姫の身にもしものことがあれば……」
「大丈夫です。この人はそんな事はしません。」
「なぜそう言い切れるのですか!?もしかしたら姫を助けたのも下心があってのことかもしれません!」
「わかるんです。この人は安全だって。この方は私だけでなく、貴方も救ったんですよ?」
「そ、それは……」
「それとも貴方は私を信じないというのですか?」
「い、いえ!そんな事は……」
「なら問題ありませんね。」
色々あったぽいがどうやら泊めてくれるみたいだ。
それよりアルラっていったかな。めちゃくちゃピュアな子だな〜。女神として崇めたいくらいだ。
「そう言えば貴方の名前は……」
あ、言うの忘れてた。
「俺の名は鬼神カズトだ。よろしく。」
「鬼神とはこれまた恐ろしい名前ですね。」
「それは付けた作者に言ってくれ……」
好きで名乗ってるわけじゃないからな。
「それでは、私の家に行きましょう。」
「あ、おい!あんまり急ぐと……」
注意した挙句。
「きゃ!!」
アルラはこけてしまった。
「たく、しょうがないな。ほら、手を貸すから。」
おこしてあげようと手を差し伸べたら……
「あ、ありがとうございます……」
少々照れくさい様子で手を握ってきた。
「ほら、これで大丈夫と。」
起こしたはいいものの足が誇りまみれになっていたので少し叩いた。
その間気づかなかった。
「######」
これでもかってくらいアルラが真っ赤になっているのを。
「あ、あの!」
「ん、どうした?」
アルラ「あわわわわ……」となりながら何かを言いたそうだった。
その様子を見た俺は……
成る程、転んだ時に足を痛めたのか。しょうがないな。
「ほら、乗りな。」
「え!?」
「足を痛めたんまろ?俺がおぶってやるから安心しろ。」
「は、はい####」
少々恥ずかしながらも俺の背中にがっしりと乗ってきた。
「んじゃ。案内頼むぞ。」
「は、はい!」
アルラは落ちないようにギュッと腕に力を込めた。
なんだろう……こんな暖かい気持ちは初めて……それに安心できる。これがお兄ちゃんっていうのかな……
その背中はとても暖かく、母の様な温もりを感じた。
「zzzzzzz」
その暖かさに私は気持ちよくなって寝てしまった。
「ありゃりゃ、寝ちゃったよ。」
案内の途中だったが、どうや寝てしまった様だ。
無理もないか。あんな思いをした挙句、あんなに泣いたんだからな。そっとしておこう。
代わりに……
「なあ、ガイアだっけ?代わりに道案内を……」
ガイアに道案内を頼もうとしたら……
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!」
狂乱して殺気丸出しのガイアがいた。その怖さときたらどう表現したらいいかわからない。ヤンデレ……ヤンギレか新たの言葉が誕生した瞬間だった。
俺がその恐怖に耐えてる中……
「むにゃ〜……お母さん……」
アルラは寝言言っていた。