私のヒーロー。
私の名前はアルラ。精霊王の娘であり、精霊王の墓を守る精霊でもあるの。
私はいつものように神樹に水を与えるために聖水を汲みに行っていました。
すると……
「こんな、低位精霊なんかいらねんだよ!!」
森の奥から男の声がしてきた。 なんでしょう?
「ち、まともなのが一つもいねーな。」
「ガリアス様。そんなことをしてますと、精霊と契約ができませんぞ?」
「ち、わかってるよ。」
声からして2人はいる。それにしても悪そうな人たちね。
私はそんなんじゃ、一生見つからないよと思いその場から立ち去ろうとした。
すると……
「へ、なら精霊達を殺すか?そうすれば多少はいいのが出てくるかもな。」
「ガリアス様!!それはおやめになった方が……」
「うるせえ!!この俺様がわざわざこんな遠い田舎の辺境に来てやったんだ!!これは罰だ!!」
!? 今なんて言った?精霊を殺す!?
「へへ、どれがいいかな……あ、あいつにしよう!!」
男は木の枝にいる。蛇型精霊を引きづりおろした。
シャー!!シャー!!
抵抗しようにも頭をおさえられ、蛇特有の毒攻撃ができない。
「へへ、お前らが悪いんだ!!俺様にこんな屈辱を味わせやがって!!」
男は剣を取り出し大きく上げた。その剣が蛇精霊の喉元へと迫る。
そして、喉元に剣が触れたその時……
「やめて!!精霊になんてことすんのよ!!」
見ていられなかった私は飛び出してしまった。
これが、失敗だった。
「なんだ?平民の分際で俺様にたてつく気か?」
シャー!!シャー!!
精霊語「姫様!!私のことは構いません!!
お逃げに!!」
精霊語「いやです!!ここで逃げたらあなた
が……」
精霊語「幸いあなたの事を精霊と気づいてい
気づいていません!!早く!!」
だが……
「ガリアス様!!」
「なんだ?俺は今忙しいんだが?」
「あれは、平民ではありません。精霊です!しかも高位の人形精霊です!」
「なんだって!?」
ついに正体がばれてしまった。逃げようにも、彼女を置いていく事なんて出来ない。姫として、何としても助けださなければならない。
逃げたい気持ちを必死に抑え、地面に食い込むぐらいの力が足に働き、その場にとどまる。
「へへ、なら話しが早い。おい女、俺と契約しな!!さもないと……」
キランッ!
「この精霊がどうなって知らないぜ?」
「!? 貴様!!」
精霊として契約するのは運命だと感じ、覚悟はしていた。しかしこれは……
「し……ます……」
「あ!?」
男の手にさらに力が加わり、蛇精霊の首元を潰している。さらに、剣が近づいていく。
シャー!!シャー!!
苦しいはずなのに、それでも姫を説得しようとする蛇精霊。
だけど、このままだと……
「します!!契約します!!」
私の事で他の人が苦労するくらいなら……
「へへ、そうかそうか。」
男は蛇を離し、解放したかに思えたが……
「ふん!!」
バシュ!!
シャー!!シャー!!
男はその精霊を斬った。傷口からは血が噴水のように出ている。そして、精霊を近くの木に投げつけた。
予想外の裏切りに腹が切れる思いだった。
「どうして!!契約すると言ったじゃない!!」
「殺さないとは言ったが……斬らないとは一言も言ってないぜ?」
「!? この外道!!」
今まで生きてきた中でこんな外道は見たことがなかった。今からでも、この外道を殺してやりたい。だけど、私にはそんな力がない。
「へへ、というわけで今から契約の儀式をするぜ!!」
「いや、やめて!!」
逃げようとするが……
「おっと。そうはいきませんよ。」
いつの間にか足元を植物が私の足に絡みついていた。
「さ、ガリアス様。ご存分にお楽しみくださいませ。」
「へへ、ありがとよ。今度執事長にお前を推薦させるぜ。」
「ありがとうございます。」
ツタを切ろうにも硬くて切れない。さらに、だんだんと体力が吸い取られていくのがわかる。
運動神経がないに等しい私は、すぐに力尽き、足が地についてしまう。
「へへ、これで俺も……」
「いや、助けて!!」
抵抗する体力はもう残ってない。
わたしは恐怖で絶望した。わたしの運命はこれで終わりだと思った。
だが、その時……
「ふん!」
ドゴッ!
「ぶべら!?」
「ガリアス様!!」
突然男は吹っ飛ばされた。
私は何が起こったかわからずキョトンとしていると……
「大丈夫か?」
私にとって初めての騎士が現れた。