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『人のいない戦争』  作者: 電子
第2章『殺しの実践』
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第十四話『急襲』

 比較的高階な建物がずらりと並んでいるせいか、地面には一帯に日陰がかかっており、この路地は、とても涼しそうだった。


 ただ、この鋼鉄の電子回路の塊では、その涼しさを感じることはできない。


結局大見たちは、この部屋のパソコンやらの放熱でこもりきった謎の蒸し暑さを感じながらZEROを動かさなければならなかった。



 しばらく通路を駆けていると、みな、あまりの静けさに、疑問に思い始めた。


壁越しには怒号や銃声がひっきりなしに聞こえてはいるが、この辺り一帯は不気味にも人影が見えない。


「ここ、迂回通路なのに、なんで誰もいないの? さっきから人影が見えない」


栗尾が神妙な表情で言った。


「やっぱ罠なんじゃないですかー? 班長。 あと少ししたら地雷源とか」


神崎が冗談を言うように言った。


冗談ならいいんだが。


それを聞いた天野が、ふふっとせせら嗤う。


「さすがにこんな街中になんか仕掛けないだろ。やつらだってこの国の住民だ。そんなことはしない」


天野が言った。


「わかんないですよ。なんせクーデターですし、勝つためには手段を選んでられないでしょう。彼等も」


神崎はそう言うと、気がついたようにスクリーンを注視した。


そこには、遠目に映る人影がある。


茶色の軍服と機関銃と土嚢が積まれた陣地は、こちらを発見したのかえらく騒々しく人が動いていた。


「っと。よかった。彼らのお出ましだぜ」


神崎の掛け声に一斉に班員たちはモニターを見る。


「……あの数を見ると二個小隊ってところか。門番ってところだな。まぁめんどくせえが、余裕……」


神崎がマシンガンを構えたその刹那、右斜め上のビルの三階から、とても速い何かが、飛び込んできた。


とても鋭い刃が腕に装着された人型の何か。


生身の人間ではない。飛び込んできたそれは、すぐさま腕を神崎の頭上めがけて振り下ろした。


「なん……っ!?」


とっさの反応で神崎は、それから距離をとる。遅延のせいか半歩遅れたが、どうにか敵の攻撃は交わした。頭部は茶色にまみれた二つ目のモノアイ、右腕と左腕は胴体とのパーツがかみ合っていないのか、やや強引に何かのチェーンで繋がれていた。


「んだこいつは! みたことないぞ! 総員散開しろ!」


班長の天野が叫ぶ。


つぎはぎのそのボロそうな機体は、見かけによらず素早い。


神崎のマシンガンを難なく交わすと、すぐさま班員たちに襲いかかった。


「全員距離取れ! おい佐伯! データ照合!」


天野が指示を出す。即座に佐伯が応答した。


「データありません! unknown!」


天野や班員たちにとっては初めての出来事だった。


従来ならば、古い機体などを使いまわしてる場合などが多いため、照合にかからないはずはなかった。


かからないということは新作のまだ未公開の機体か、自分で製造したか……だがこのオンボロさを見る限り後者だろう。


 すぐさまそのオンボロは、一番先頭にいた神崎に襲いかかる。


「クッソ遅延が……思うように動かねえ!」


神崎が、後退しながらマシンガンを撃つが、射線が追いつかない。


すぐさま距離を縮められる。


約5メートル。


スクリーンからの敵異常接近の警告音がけたたましくピーピーピーと部屋を鳴らしている。


「くっそおおお!」


神崎はとっさにマシンガンを捨て、腰からサーベルを取り出す。


「やめろ神崎! 距離を取れ! この遅延速度だぞ!」


天野の忠告も遅く、敵はサーベルを難なく交わすと、腕を振り下ろす。


「は、はええ!」


神崎がそういうのと同時に、首を切り裂かれ、神崎のモニター画面にno signalの文字が現れた。


「ちっ! 総員一斉射撃!」


天野が即座に命令すると、班員たちが240度ほどのレンジで囲み、一斉にオンボロに向かって撃つ。


さすがの弾数に押されたのか、すでに亡き神崎のZEROの残骸を盾にしながら、壁際に引っ込んでしまった。


その隙をつき、天野がすぐさま隊長の保住につなぐ。


「こちら天野。unknown一機と遭遇。被害1

。映像は送ります。見た目はボロいのですが、性能が今までの比じゃありません。脅威になる可能性があります」


内線が繋がり、保住がいる一班の部屋からも凄まじい銃声が聞こえた。


しかし、保住の声はそれとは対照的にとても穏やかで、冷静な口調だった。


"unknown……。了解した。こちらも手が離せない。申し訳ないが、6班で排除しろ。四機以上やられたら再度報告しろ"


保住が言った。


「……了解」


天野は内線を切ると続ける。


「おい神崎。お前はすぐに佐伯とZERO交代しろ。佐伯は全面バックアップしてくれ。隊長との通信も頼む」


「了解です」


佐伯はそう言うと、ZEROの権限を神崎に移す。


「神崎。さっきみたいな無茶はするな。奴もこの数の弾は交わすので精一杯のようだ」


天野はコントローラーを操作しながら言った。


「すいません……! つい……」


神崎は伏せ目がちに答えた。


天野は続けて隣にいる大見に命令する。


「大見! さっきは人間相手で戸惑ったろうが、ロボ相手なら躊躇なくできるだろ! あいつやれるか」


天野が大見に尋ねた。


すぐさま大見は返答したいところだったが、左上の遅延秒数をみると1秒近く遅延が発生していた。


腕云々ではなく物理的にかなり厳しい。


1秒、何もかも遅れるのだ。


 だが、やらざるをえない。


やつはすんなりと倒せる相手ではないことは誰もが承知していた。


切り抜けるにしても、もしたとえ大見たちがここを突破したとして、後続の殿を務めている六味寺たちがおそらくやつの餌食になるだろう。


 大見は短い時間に様々なことを頭に巡らせ、そして口を開いた。


「……わかりませんが、やってみます!」


大見は、少しばかり力強く答える。


大見はすぐさま装備を確認する。


遅延が大きい地域での接近戦は遠隔兵器戦のセオリーに反するが、おそらく銃弾とて、当たる相手ではない。


ならば、あえて近づき、あわよくばもろとも倒そう。


大見の勘が大見にそう指示したのだった。


 決意した大見は装備を整えながら、天野に先ほどから気になっていたことを質問した。


「……あいつラグがほとんどないですよね。どっから動かしてるんでしょう?」


大見が言った。


天野はマシンガンで壁に隠れた敵のオンボロを牽制しながら答える。


「現地だろうな。そもそも違法遠隔兵器は衛星を通せない。基地局立てるわけにもいかないからほとんど無線、おそらく通信距離的に半径1kmってところか」


「周囲の操縦者を探しましょう。もしかしたら近くに操縦者がいるかもしれません」


「可能性は低いが……。わかった。よし撃ち方やめ!」


天野の命令とともに、班員たちはひっきりなしに撃ち続けていた銃を降ろす。


 銃声が止むと、先ほどのオンボロは壁からひょっこり顔を出した。


「よし! いけ! 大見!」


天野が合図を出し、大見が飛び込んでいった。


敵は警戒するのかと思いきや、銃弾がやんだのを好機と見たのか、すぐさま物陰から飛び出し、大見の方に向かって行った。


まるで一騎打ちの格好で、大見のZEROと敵がぶつかった。


天野は大見とオンボロが戦っているスクリーンを見ながら言った。


 「森口と俺が残る! 他の奴らは周りに操縦者がいないか探せ。見つけ次第……排除!」


天野がそういうと、すぐさま班員のZEROは散開した。


 天野の排除という言葉は、隣にいた大見の心拍数をさらに上昇させた。


 敵も、大見の興奮に合わせるかのように凄まじい攻撃の手を休めない。


大見は遅延がでかく、ほとんど防戦一方だった。


なんせ敵の攻撃を予測し、防御する。やばくなったら少し距離をとる。


 しかし、そんな生半可なことが通用するわけもなく、大見のZEROは次第に敵のオンボロの腕の刃で、ところどころ切り刻まれて言った。


「く……っきつい! 速いし、この遅延……映像も少し遅れてる……!」


大見はとっさにこぼした言葉。


大見は久々に、無意識にそんな言葉を吐いた。


「くそ。大見でもさすがにきついか。仕方ない! ダメ元で俺らも突っ込むぞ森口! 俺らが止めないと、この通路で俺らも、後続の六味寺達も挟み討ちで押しつぶされるからな!」


天野はそう言うと、コントローラーのスティックを前に倒す。


ZEROが一気に加速し、大見とオンボロが戦っているところで飛び込んで行った。


「ったく! こんな遅延じゃ勝ち目ないですぜ班長!」


森口もそれに続き突っ込んだ。


 敵を見るに、飛び道具のようなものは装備してなさそうだった。


彼を見るに拠り所は、腕についたやや細めの脇差のような形をした刃。


そしてあとは、ひたすら手足の打撃によって、大見を追い詰めている。


 天野が腰からサーベルを取り出すと、すぐさま切り込んだ。


天野のサーベルが、敵の腕に当たる。


腕の刃で敵のオンボロは攻撃を受ける。


出力ではZEROのほうが優っているのか、斬撃を受け止めた瞬間、オンボロは膝をついた。

 

「おらぁ!」


その隙をつき、森口が後ろから切り掛かる。だが、敵はまるでそれがわかっていたように、すぐさま受けていた天野の刃を受け流すと、切り掛かってきた森口の方へ方向転換をして腕の刃を横に一閃した。


「ぐっ!」


森口のZEROのサーベルにそれが当たり、金属音がした。腕の勢いは止まらずサーベルごと右腕に刃がめり込んだ。


森口の画面から右腕が使えないことを示す警告が鳴る。


「くそっ! 森口伏せろ!」


天野、そして大見が切り掛かる。


ごちゃごちゃした中で、数で押し倒すように敵に迫る。


 敵も必死にその攻撃を交わすと、地面をゴロゴロと転がった。


 敵はやられた神崎のZEROの腰から手榴弾を取り出し、天野、大見、森口の方へ投げた。


「なっ!」


天野は驚いた様子で回避する。天野は爆煙にまみれて彼の足取りを追う。


「伏せて!あいつ、神崎さんのマシンガンを!」


大見が叫ぶ。


「っ!」


とっさに天野たちが伏せる。


マシンガンが飛んできた。


ZEROの装備する対遠隔兵器用のマシンガンの銃弾が、深く地面を削る。


大見は、うまくかわしたが、森口、そして天野は真正面にいたため、操作が間に合わず銃弾をまともにくらい、体のあちこちからアラームがなっていた。


「クソがあ!」


森口が叫ぶと、敵の近くに転がり込む。


敵はとっさにマシンガンを打つと、森口のZEROをいくつも弾が貫いた。


その瞬間森口のZEROがまばゆく光った。


「くらえや!」


すぐさま爆音が響く。凄まじい爆発音と爆風で大見と天野のZEROは吹き飛ばされた。


「くらったか一機2000万円の爆弾!」


森口は言った。


 だが、それをものともしないかのように、オンボロはその土けむりの中から飛び出し、天野のZEROに襲いかかる。


まるでその姿はゾンビのようであった。


「なんで……あいつ……」


 超至近距離爆風を浴びた天野のZEROはほぼ再起不能になっていた。


すでに攻撃をかわせるほど動くことはできない。


敵が黙々と倒れる天野のZEROに向かう。


「くそ! 間に合え!」


天野はそう叫ぶと、またまばゆい閃光が走る。


だが、同じ轍を踏む相手ではない。


既に読んでいたのか、残念なことに、すでに敵は空中に飛び上がるように退避していた。


強靭な跳躍力は、単純に言えばZEROよりも凌駕していたと言ってもよく、爆風も味方したのかまるで8メートルか9メートルほど飛び上がった。


先ほどの森口の爆発で多少のダメージは負ってはいたが、全く操作には支障がないようであった。


敵は、残る一機、大見のZEROを空中でキョロキョロと探していた。


爆煙が晴れてゆく。


「…遅延1.279……落下速度……ここだ!」


大見は天野の爆発に紛れて、すでにスナイパーの射撃体勢に入っていた。


遅延を考慮しながら、必死に頭で計算していた。


敵が空中でマシンガンを向けようとした刹那。大見のライフルからは一秒遅れの弾丸がすでに銃口の外に飛び出していた。


弾は敵のモノアイがある頭部を貫通すると、その命中の衝撃で頭が吹き飛び、体も壁に叩きつけられた。


「よしっ!」


大見は思わず立ち上がりガッツポーズをした。


「ったく! てこずらせやがって!」


天野も思わず口調が荒くなった。


班員たちが歓声をあげて喜ぶ中、佐伯が叫ぶ。


「大見さん!」


とっさに大見が自分の画面で敵が崩れ落ちた方を見る。


すると、敵の腕は大見のZEROの方向に向いていた。


「な……!」


大見が急いでコントローラーを手にして、すぐさまスティックを倒す。


しかし、間に合わない。


銃弾は大見のZEROを貫き、今度は大見のZEROを壁に叩きつけた。


「まさか……頭なしで稼働するなんて……レーダーが別に……」


大見がno signalが表示された画面に変わり、前にいた座繰の画面を見ながら、無様に倒れ伏す自分のZEROを呆然としながら見た。


 敵がゆっくり立ち上がる。風が吹き荒れ、爆煙の残りが敵を包み込んだ。


「……佐伯。隊長に連絡を。かなりまずいことになった」


4機やられたこの危機的状況を報告するため、天野が佐伯に言った。


 その瞬間、大見が何かに気づいたように、立ち上がる。


「天野さん! ちょっと待ってください」


大見が大急ぎで座繰の席に駆け寄る。


「えっと……座繰さん。ZEROを貸して!」


大見はほとんど座繰から奪い取るような形で

コントローラーを取り上げると、間髪入れずにトリガーを引いた。


「ちょっと! 大見君!」


座繰がさけぶ。


ダラララララと薬莢が飛び散り、大見のZEROがやられた場所の民家の壁が吹き飛んだ。


「どこうってんだ!」


神崎が叫ぶ。


そんな神崎の声を聞き入れないかのように、ZEROを民家の元に走らせた。


それに気づいたかのように、敵のオンボロは慌てて動き出し、横から飛び出してきた大見が操る座繰のZEROの方向にマシンガンを構えた。


「動くな!」


大見はいきなりZEROのマイクにスイッチを入れると叫んだ。


そこには何か機械のようなものを手にしていた一人の少年がいた。


少年がその声に驚いたのか、一瞬コントローラーの手を止める。


それを見てすぐさまZEROの体を翻すと、マシンガンを放った。


後ろにいた首無しのオンボロが、その玉によって貫かれ、胴体にはいくつもの穴が空いた。


「おかしいと思ってたんだよ……。最初の僕たち全員のマシンガンの弾だって視界外からの射撃も交わして、三人全員の攻撃も無駄なく受けきるなんて。あの土煙の中、頭のカメラをやられたのにピンポイントで僕のZEROも倒すなんて。でも、きみが撃ったマシンガンで崩れた壁の隙間から君が見えたんだ」


大見がそう言うと、ZEROから翻訳された音声が流れた。


敵は少し手が震えながら、こちらを睨みつけている。


「投降しなよ」


大見は静かに言った。それを翻訳した音声がZEROから流れる。


 おんぼろを操作していた少年は震えた声で返答した。


翻訳された至極丁寧な翻訳音声が、部屋に響いた。


"私は、投降しない"


震えながら言った声。


「……君はよく戦ったよ。こんな距離で操作を……」


"殺してください"


大見を遮るようにその少年は言った。


その震えた言葉からは、大見たち安全な場所で戦っている人間と現場で戦っている彼との覚悟の違いのようなものを感じた。


「き、君みたいな小さい子がそんな危険なところで……」


大見がそう言った瞬間、天野が大見に命令する。


「大見、捕らえろ。そいつには聞きたいことが俺もある。なんでお前ZEROの手榴弾がある位置を知ってたんだ。あれはコントローラーのコマンド以外じゃ特別な開け方しかできない。それを知るためには、そいつを捉えて尋問する必要がある」


天野はそう言うと早くやれとでも催促するように顎で大見に指示した。


「了解……」


大見はなんとも言えない思いで、自分より歳が下の少年に銃を突きつけながら、腰から鉄のワイヤーを取り出した。


"離せ!麻生!悪魔め!デジタライズの……"


子供がそう話した瞬間、すぐさま画面が途切れた。


「なんだ?!」


天野が声を上げる。


その瞬間、室内アナウンスが鳴った。


"保住だ。作戦失敗。北門と東を突破され、たった今大統領以下は殺害された模様。救出できたのはなんとか米軍基地に保護することができた外交省の職員16名のみ。戦車と交戦中の二班隊も未だ輸送機の着陸路を確保できていないため、やむをえないがこれ以上の作戦は無理だ"


保住は静かに言った。


「しかしまだ南門ではまだ米兵が……!」


天野がやや張り詰めた雰囲気で保住に問う。


"……彼らもすでにヘリで残りは脱出した。残ってる奴らがいるとも限らないが、もしそうだとしても北門の軍勢が合流して今はヘリも着陸できない"


保住が冷淡に言った。


天野は目頭に指を当てると、小さくため息をつき、心を落ち着かせて返答した。


「……了解。十五時四十三分任務終了」


天野がそう言った横で大見はすでに何かを抑えることができずに、いきなり天野のマイクを奪い取ると、叫んだ。


「残りは脱出したって……できるわけないでしょ!! 200人以上いたんだぞ!」


「バカ! これは総合回線だぞ!作戦行動中の班全部に放送される!」


天野がすぐに大見を止めようとする。


"……誰だね。君は"


保住はいつもと変わらず冷静に答えた。


「大見……景です!」


天野、それに森口にもみくちゃにされながら意地でもマイクを離さず大見は言った。


"見殺ししたくなくともせざるをえない。ヘリもそして我々もそこには入り込めない。北門東門の軍勢が合流している救出に向かうために何千の兵が死ぬことになる"


保住が言う。


その言葉に、大見はイラつきながら答える。


「僕たちが行けばいいでしょう。そのためのZEROだ……!」


その瞬間、何か大きな衝撃が大見の頬に飛んできた。


その瞬間大見は吹き飛ばされ、床に倒れ伏した。


「班長!」


大見を殴った天野がすぐさまマイクを取り返すと、静かに言った。


「失礼しました。まだ子供なもんで。何もわからないガキの戯言だと思い、お許しください」


天野は冷淡に、だがどこか悔しさが残るような顔で、ゆっくりと保住に言った。


"……報告会は十七時から始める。第3会議室に集合"


保住はそう言うと、回線を切った。





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