始まり
「お待たせ、要件ってなに?」
私は問いかける。 目の前のクラスメイトに向かって。
「ごめんね、あまり大きな声で言えない話だから。」
「大きな声で言えないって? もしかして好きな人でも出来たの?」
冗談混じりに、日常会話のように。
「あっはは、そんなんじゃないって」
「じゃあなんなのっ?」
「まあ、目的地にいきましょうじゃありませんか。」
話を濁されてしまう。 口振りを見るに、目的地に向かえば話す。と言った具合らしい。
見慣れた街を、出会ってて半年の友人と歩く。
歩きながら、先生がどーなの、宿題がだるいなどと、普通の話を続ける。
そうしている内に、目的地である、児童公園が見えてくる。
児童公園の表から見えにくい場所に腰掛ける。
「要件って?」
「ああ、それね。 こういうこと」
バタンッ
いきなりの事に私は起きた事を理解できなかった。
話していた友人に押し倒され、覆い被さっている。
「な…何?」
「喋るな。静かにしろ。」
「ッ…?」
いつもの彼女からは発せられることの無いような声。 威圧感で、口を閉じてしまう。
「少し眠っていろ。。 これはコラテラルダメージと言うモノ。 必要悪だ。」
そう彼女が言った瞬間、私の左胸、脇に激痛が走った。
そこを見ると、彼女が私の脇に黒い物体を押し付けていた。そこから、血が流れていた。
それを、私から離すと、また鋭い痛みが走る。
彼女が握っていたのは、銀色の刃に血がこべりついた果物ナイフであった。
「脇は、骨に邪魔されないで、心臓を貫ける…さようなら、大丈夫、また会える。」
怖くて声なんて出るモノではなかった。
そう、耳に入った声が薄れていき、私の意識の糸は切れた。