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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
99/205

第98毒 猛毒姫、譲渡する

ブックマーク600突破しました!


ポイント、ブックマーク、誠に誠にありがとうございます!


いろいろ思うところがありまして。

話の内容を胸糞から大幅変更中です。



******************


 前回までのあらすじ


 SMTェ……。


******************


 部屋に戻ってくると、先程とは打って変わって皆が忙しそうにぱたぱたやっておる。


 どうしたんじゃろうか。


 部屋の中で1人だけ、動きを止めている人物に詳細を聞いてみることにした。


「どうしたんじゃ、次男(ニコチン)よ」


 なんだか眉間を押さえて難しい顔をしていたニコチンは、私の物言いに突っ込む気力もないのか、自分自身で事実確認するかのように呟いた。


「トキシン侯爵と、長男(アルコール)兄様が、逃げ出した、らしい」


 うむ、知っておる。


「良いじゃないか、あんな無能達、いない方が」


「そういうわけにもいかん。

 侯爵の権力が無いと、この屋敷を回すことだって無理だ。

 もちろん、それ以上のこともだ」


 うむ、知っておる。 


「そうじゃな。

 ニコチンも大変じゃのう。

 あんまり独りで抱え込んでは駄目じゃぞ。

 ほれ、これをやろう」



「お前に心配されるとはな……。


 ん? なんだこれは」



「侯爵代行権利書」



「…………は?」



「侯爵代行権利書」



「……」




 こうして。



 ボツリヌス・トキシン侯爵代行は。


 速攻でボツリヌス・トキシン侯爵令嬢へ逆戻りしたのじゃった。



 短い春じゃった‼︎



#############################################


長女(セレン)を助けに、行かぬのか!?」


「ああ……残念ながら、無理だ。


 いや、無理ではないが……。

 そんなことをしたら、トキシン侯爵領は確実に滅びる。


 セレンの命と、比べるべくもない」


 ……さもありなん。

 これは、仕方のないことじゃ。


 逃げることが出来るのに戦かうことを選択した者がいて。

 その者を助けるために、大量に犠牲を出すなど、愚の骨頂じゃ。

 その者もきっと望んではおらぬ。


 分かっておる。

 分かっておっても。


 この体からは、涙が出るんじゃなあ。

 ただ、5歳児になって涙もろくなった自分が、そんなに嫌いじゃあないが。


「……お前がセレンに会ったのは、ついこの間が初めてじゃないか」


 私がぽろぽろ涙を零しておると、ニコチンが苦笑いしてそんな事を言った。

 此奴なりの、慰めなのじゃろう。


「私もそう思っておったが、どうやら感情と言うのはそう言う物じゃないらしい」


 じゃから私も、泣きながら笑ってそう返す。

 ニコチンめ、「これだからお子様は」とでも言う様な顔をしおって。

 お主もさっき、奥歯ばきばきやってたじゃあないか。


「所で、気になっていたんだが」


「うん?」


「お前……なんで前歯が全部折れてるんだ?」


「……えっと、乳歯が抜けて……」


「嘘を吐け!」



 何だかやいやい言われたが、無視した。


「さて、ニコチンよ。

 これからやる事を教えておくれ」


「……」


 ニコチンは少し迷っておる。


 まあ、幼女相手に今後の予定を話すなんて、壁に向かって話をするのと何も変わらぬ。

 しかしニコチンは、壁に向かって話すよりはましだと考えたのじゃろう。


「実は、今後やっていくことは、それほど多くは無い」


「え?

 隣の領に、兵を貸して貰う様打診をしたり。

借金して傭兵を雇う算段を算段をつけたり。

農民から有志を募ったりはせぬのか?」


「実は、もう既にやってある」


 有能過ぎる。


「侯爵代行権利書いらなかったんじゃあないか」


「最終決定はトキシン侯爵にお願いするつもりであったし。

 なかったら、これからある最終交渉もまとまらず瓦解していたさ。

 感謝している」


「……ならば、良いのじゃが」


「……魔族軍(あちらさん)が来るのは4日以上は後だろう。

 それまでにはこちらの軍もある程度形になるはずだ」


「勝てるじゃろうか?」


「絶対勝てない」


「ぬな!?」


「勝つには、どうしても必要な物がある」


 ニコチンは再度眉間を押さえて、難しい事の様に呟いた。


「5公の協力だ」


 ……?


「む?

 5公って、そもそもその成り立ちからして、魔族退治を請け負っておるのじゃろう?

 協力要請などせずとも、やっつけてくれそうじゃが……」


「ああ、やっつけてくれるだろうな。


 ……ただ、彼らにとって、トキシン侯爵領なんて蹂躙されようが滅ぼされようが、どうでも良いはずだ」



 ……ああ、成程。

 魔族を退治するには退治するが。

 もう1つくらい貴族領と戦って貰って。

 弱ったところを4人で叩けば良いと。

 5公達はそう考えておると言う事じゃな。


「実際はどうか分からないが、俺ならそうするだろう」


 言われてみれば、確かに私でもそうするじゃろう。

 自分のところの被害を最低限にするため、どこかの良く分からぬ貴族に滅びてもらう事など、全く心が痛まぬ。


「しかし、残念ながら、交渉する時間も無い。


 5公……今は4公か。

 彼らが、我らを手助けしてくれることを願いつつ、人事を尽くして天命を待つだけさ」



「そうか……





 ところで。


 ……私が5公に協力要請に行っても、良いかの?」


 ニコチンは呆れた様な顔をしておる。



「……お前は人の話を聞いていたのか?

 彼らと交渉する時間は無い。


 そもそも5公の公爵領まで、一体どれだけ離れていると思っているんだ。

 馬を使ったとして、片道でも3日近く掛かる距離なんだぞ?


 どうやってそこまで行くつもりだ」


 どうやってって。

 そりゃあ、もう。


「うむ。


 魔石を1つ、貰えれば。



 文字通り(・・・・)飛んで(・・・)



##############################################


 私の空魔法をみて、驚愕の表情を浮かべていたニコチンであったが。

 すぐに気持ちを切り替えたのか、かなり立派な魔石を探し出して、私に預けてくれた。


「後は、侯爵代行権利書も持って行け。

 でないと話も聞いてもらえんぞ」


「お主の方は、大丈夫なのか?」


「ああ、俺用にも1部、用意させて貰った。

 偽物だけどな」


 相変わらず仕事が早い。


「そんな物も作れるとなると。

 いよいよもって、私が手に入れた侯爵代行権利書なんか、いらなかった気がするが」


「いや、お前が持ってきてくれなければ、そもそも思いつきもしなかったさ。


 ……すまんが、交渉の方は、頼んだぞ」


「幼児にそれを、頼むかのう」


「頼むさ。


 お前は、規格外だ(・・・・)

 幼児として扱うべき(・・・・・・・・・)では無い(・・・・)



 本当に、幼児か?」


 私は呵々大笑しながら空に浮かぶと。


「……まあ確かに、そこいらのがきとは違うかのう。


 せいぜい、期待しておれよ」


 そう呟いて、一路公爵領へと向かう……。



 暫く飛んで、気付いた。



「……あれ?


 公爵領って、どっちじゃろう?」




 詳しい場所とか、聞き忘れた。


 がきの使いじゃった。


 格好良い事言って飛んで来てしまった手前、屋敷に戻るのはめっちゃ恥ずかしいのじゃが。

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