第94毒 猛毒姫、気づくのが遅い
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日間ランキング80位!のNiOさんの1つ上に。
燦々と輝く大正義、”無〇転生”様がおられる。
……これはもう、嬉しさのあまり、死んでもいいかも分からんね。
そしてそして、みかん様からレビューを頂きました!
こんなバカ作品に、紹介文を書いて頂き、誠に、誠に有難う御座います!
読者の皆様、ブックマーク、ポイント、誠に有難う御座います!
NiO「俺にやらせてくれ」
NiO「ここらでお遊びはいいかげんにしろってとこを見せてやりたい」
NiO「残りの79人もこの俺一人で片付けてやるぜ」
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前回のあらすじ
こんな知恵の浅い人間は世界でも三人といないねっ!
無論ナンバーワンはこの僕さっ!
おや、どうしたんだいオーダー、そんなに遠くを見つめて。
わかっているさ、僕の比類なき令嬢オーラに目を眩ませているってことくらいわねっ!
わかっているともっ!
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何やら超巨大な熊を背負ったお爺ちゃん。
「ガハハハ、部屋を貸してもらっているからには何か礼をせんとな。
よし、コイツを馳走してやろう!」
「う、うむ」
お爺ちゃんはそういう病気なのか、ずっと、がはははと笑っておる。
なんかこう言う脳筋性格、前にも何人か見たことあるぞ。
……あ。
「お主、さては武国出身者であろう!」
「な、なんでわかった!?」
お爺ちゃんが滅茶苦茶狼狽しておる。
狼狽する程隠してないじゃろう、お爺ちゃんよ……。
「つい最近、武国出身の者と会話をしたのじゃ。
お爺ちゃんの様に、あっけらかんとして楽しい連中じゃったからのう」
私が呵々大笑すると。
「ガハハハ、笑止、笑止、ガハハハ!」
お爺ちゃんも笑っておった。
……この「笑止」は、武国冗句なんじゃろか?
お爺ちゃんは笑いながら、熊を抱えて家の扉をくぐる。
なんとも豪快な奴め。
「おい、その巨大熊、この小屋の中で捌くつもりか。
血の匂いで動物が集まってくるじゃろう」
「うむ、通常はな。
強い生き物の血には覇気が宿っているから、むしろ動物避けになる。
此奴はこの辺りのヌシだから、この小屋に近寄る動物はいなくなるぞ!」
そんな事を言いながらお爺ちゃんは、藁の中に隠してあった刀の様な包丁を取り出して、あっという間に切り分けていく。
ぶろっくの形に積み上げられていく熊肉達。
内臓まで丁寧に処理しておる。
でかい図体の割に、意外じゃ。
「ふむ、熊相手に素手で殴り合う割には、手先は器用なんじゃの。
そう言えばこの家の間取りも、非常に住みやすく計算し尽くされておる」
……気がする。
例えば私が小屋に置いて行った屑魔石。
捨てるわけにもいかず、かと言って放っておくと部屋の一部を占拠してしまう。
なんと匠はこの石を水甕の嵩増し用に使っておったのじゃ。
水甕にはいつも水がしっかりと湛えられている。
匠からの粋な計らいじゃ。
そんな事を考えておると、お爺ちゃんは嬉しそうに笑っておる。
「そりゃあそうさ。
何しろ儂の名前は、タクミだからな!
ガハハハ」
なんと。
本気でタクミさんじゃったか。
タクミは笑いながらも手を動かしており。
干し肉を作る準備を整えつつ、巨大な鍋に水を入れ沸騰させたりしつつ、内臓肉を細かく刻んでおった。
「熊肉は、貴族のお嬢ちゃんだったら腰を抜かすほどの味だぞ?」
確かに貴族の食卓に熊肉は出てこん。
普通は、の。
「残念じゃが、私は熊肉に関しては達人級じゃよ。
今まで食べた熊肉を合計すると、大体熊1頭半くらいになる。
味には少しばかり、五月蠅いぞ?」
私が自信満々で呵々大笑しておると。
「……お嬢ちゃん。
熊肉以外にも、ちゃんとご飯食べているか?」
お爺ちゃんに心配された。
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「ほら、熊肉ホルモンの田舎煮込み鍋だ。
味付けは塩っ辛くしてあるぞ」
なんと。
熊肉の達人であるこの私に。
内臓肉をだし汁で煮込んだだけの料理を出してきおった。
……こんな単純な料理で私が感動すると思っておるのか、此奴。
「お嬢ちゃんが熊肉を食べ慣れているとはな。
まあ、せっかくだし点数でもつけて楽しんでくれ。
ガハハハ……」
タクミも流石に苦笑い。
「……まあ良いさ、こう言う大味な料理もたまになら嫌いではないしのう。
では、頂きます」
ぱくり。
もぎゅもぎゅもぎゅ。
うむ。
腰が抜けた。
「うわあああああああああああ。
美味ぁ!
美味ぁ!
美味過ぎるぞおおおおおおおおおお!!」
「は? へ?」
余りの美味さに、へたり込みながら。
肉を掻き込み。
汁を啜り。
お椀までぺろぺろ舐める。
「お代わり!」
「お、おう」
もりもり食事を始めた私に、最初は驚いていたタクミであったが、次第に心配そうに声を掛けてきた。
「お嬢ちゃん……。
お前、これが美味しいって……。
今まで熊肉をどうやって料理してたんだ?」
……ふむ。
「生で食べたり、塩を振ったり、干し肉にしたりしておった」
「それは料理ではなくて。
……まだ食材の段階だな」
確かに。
散々馬鹿にしておったが、私の食べ方の方が大味じゃった。
心配そうに此方を見ていたタクミであったが。
私が一心不乱に熊汁を食べる様子を見て食欲がわいたのか、結局大量に存った放る物鍋は即日完売した。
「どうだ?
儂に小屋を貸してくれれば、熊肉食べ放題だぞ?」
ぬう。
それは確かに揺れ動くのう。
「トキシン家などに仇成すつもりは無かろうな」
「儂は単に放浪の旅の果てにこの庵を見つけただけだ。
天地神明に誓って、そのような事はしない」
武国は武人の国じゃから、まあ信用しても良かろう。
「分かった。
今まで通り小屋を使うことを許可しても良い。
が、他の者には絶対ばれるなよ。
それと、此処はもともと私の魔法練習用の小屋なんじゃ。
私が来ている間は、問答無用で明け渡すんじゃよ?」
「勿論。
心得た!!」
2人でしばらくにらみ合った後、お互い爆笑しながら帰途に就いた。
うむ。
なかなか楽しい奴じゃったのう。
まるでもう1人自分がおる様で、話が弾んだ。
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部屋に戻ると、マー坊がボツリヌス・トキシン人形に抱き着きながらすーすー寝ておった。
目元に涙の跡が残っており、ちょっと罪悪感。
とりあえずマー坊を起こして、これから定期的に外に出ることをしぶしぶではあるが了承して貰えた。
……さて、今日も疲れたのう!
私はボツリヌス・トキシン人形を解体して、眠ることにする。
それにしても、今日は面白い奴に出会えた。
これで出会った武国民は4人目か。
武国王に。
力のツヨサ。
速度のハヤサ。
そして、タクミ。
覚えておこう。
……あれ?
「あ。
彼奴、武国の3本目の矢じゃ」
今更気づいたという。
”技のタクミ”
美女にするか少年にするかで悩んで、お爺ちゃんになった。
何故じゃ。