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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
拉致編
73/205

第72毒 猛毒姫、嘲笑う

※※※注意※※※


グロいよ〜。

******************


 前回までのあらすじ


 もぅマヂ無理。

 濡れ衣、着せらレタ。。。

 ぃま手首灼いた。

 身が焦げ、燻っている。

 一死を以って大悪を誅す。

 破動の96 「一刃火葬」


******************


 帝国の部屋の一室。

 中は、血の臭いで充満しておる。


 ストリー王の目の前にうずたかく積まれた、私の髪の毛と、皮膚。

 国王は顔色を青から白に代えて、小刻みに震えておった。

 自分の仕出かした事の恐ろしさに、今頃気づいたようじゃ。

 貴様は、国王じゃ。

 子供だということでは、許されはしない。


 私の後ろではマホウツカイが、「ぐぐうっ……うぐぐふうぐうっ、ぼ、ぼづり、ぐうう、ぢゃんの、が、がみのげがああ」とか何とか、呻きながら回復魔法を掛けてくれておる。

 ……残念ながら、毛根からいったからのう、髪の毛ももう、生えてこない部分の方が多いじゃろう。


「さて」


 私は視線を移して話しかける。


「皇女猊下。

 『けじめ』についての御所望はありますでしょうか。

 もちろん、1番被害を被った猊下にこそ、1番大きな『けじめ』を付けて頂くのが当然でしょう。

 それこそ、脳でも、心臓でも」


「わ、私は……こ、こんな事になるとは……」


「思いもしなかったのでしょうね。

 ですが、そんな事は、関係ありません。

 さあ、ご決断を」


「い、嫌です! 私には、けじめなど、いりません!」


 余りにも往生際が悪い女じゃ。



「おい……皇女よ。


 吐いた唾は(・・・・・・)飲み込めないのじゃ(・・・・・・・・・)……。

 諦めて、一生十字架を背負え(・・・・・・・・・)




「うう……ぐぐぐううう……」




フヨウ(・・・)!!」




「ぐ、ぐうう……こ、こ、この者の!

 右腕を!

 は、刎ねなさい!!」



 命の恩人の利き腕を失わせると言う、目も眩むような悪行。

 皇女はその言葉を口にした後。

 地面に這い蹲って、耐え切れずに、吐いた。



「ふむ。

 流石に、右腕は自分では無理じゃからのう。

 お、そうじゃ、ハヤサよ。

 お前が美しいと称賛したその日本刀(マンドラゴラ)の刀身、見てみたいんじゃが」



 武王の隣に侍っていたハヤサは、あからさまに顔を歪めながら此方に話しかけた。


「俺に振るかよ、それをよぉ。


……ボッさん……アンタも、女だてらに武士だったんだなぁ。


 いや、武士でもこんなことは出来ないなぁ。

 オッチャンにも、ちょっと真似できないよ……多分、ウチのオヤッサンも、感動してると思うわ」


「黙れ、ハヤサよ。

 ボツリヌス殿が、御待ちだ。

 早く切って差し上げろ……成るべく、痛くないようにな」


 ハヤサの軽口を、武王が(たしな)めた。

 おやっさんって、多分、武王の事じゃな。

 武王は他の3人が顔色を青くする中、唯一私の行動と決意に敬意を表しておった様じゃからのう。

 感動しているかどうか分からぬが、先程よりも言葉遣いが丁寧になっておる。

 認めてくれはした様じゃな。



「りょーかいです。

 それじゃボッさん、一瞬だから、良ーく見といてなー」


 などと、とろ臭く喋っているかと思うと、「みといてなー」の「て」の辺りで「ヒョウ」と音がして、私の右腕が落ちた。


 おお、流石は『速度のハヤサ』。

 全然、見えんかったわ。


「どう?

 可愛いやろ、ウチのマンドラゴラちゃん(むすめ)

 鳴き声を聞いて死なんかったのは、ボッさんが初めてかもなー」


 私は脇の下の動脈を押さえながら、笑顔を作る。


「うむ、有難うの、ハヤサよ。

 そっちの引っ込み思案で(・・・・・・・)可愛い娘っ子(・・・・・・)にも、後でお礼を言っておいておくれ」


 私は最後に右腕の切り口をマホウツカイに回復してもらうと。

 4人に向かって挨拶(かてーしー)をする。

 右腕も、左親指も無いので、殆ど只の礼なんじゃが。


「皇女猊下、武王殿下、国王陛下、帝王閣下。

 大変拙い語り部で御座いましたが、お楽しみ遊ばされましたでしょうか。


 それではまた、お互い(・・・)生き延びる事が(・・・・・・・)出来ましたら(・・・・・・)お会いしましょう(・・・・・・・・)




「……おい、ちょっと待て、ボツリヌス」


 私の挨拶を、セッカイ帝王が邪魔した。


「お互い、生き延びることが出来たら?

 いや、お前は、……その、分かるが。

 どういう意味だ?」


「おや、分かってなかったのかのう?

 私の復讐が、これからだという事を(・・・・・・・・・・)



 セッカイ帝王は、何が何だか分からぬ顔をしておる。

 ああ、面白い。

 すっかり安心しきっている顔が、これから歪むことを(・・・・・・・・・)考えると(・・・・)のう(・・)



「ところで。

 『王様と貴族令嬢』の上演は、これ以上は続けられないじゃろう。

 何しろ主人公が、犯罪者なのじゃから。

 国ごとに規制に持っていかんとのう」


 4人は阿呆面して頷いておる。

 うむ、これは決定事項じゃろう。


「民衆は思うじゃろう。

 『何故、突然?』と。

 そして、誰かが辿り着くはずじゃ。

 密室で、4人の国の頂点(とっぷ)に蹂躙された5歳児の話に。

 指を落とされ、目をくり抜かれ、髪を引き千切られ、腕を落とされた、哀れな聖女の話に、のう」


「……それは、貴様が自分で犯罪者だと自白して、自分でやったことだろう!」


「そうじゃな。

 では、民衆にそう説明するが良い。

 5歳児が皇女殺害を企んだので、4人で『けじめ』を付けてやったと。

 これは、『正しい行為』であったと。


 ……果たして、何人が信じてくれるかのう?」


 そこまで話をすると、ショーバイ武王が「ガハハハ」と高笑いをした。


「なんと!

 ボツリヌス殿は、そこまで考えておったのですか!

 今までの行為、そして、その体の代償は……我々4人の首と、4つの国、と言う訳ですな!!」


「えっ? えっ?」


 ストリー王が?マークを浮かべて、まだ理解できていない様なので、改めて説明する。


「事実がどうであるかは別として。

 普通に考えたら。

 『聖女とすら謳われた5歳の少女に、無実の罪を押し付けて瀕死の重傷を負わせた王達』じゃろう。

 勿論、私も頑張って、その様に喧伝させて頂く。

 こんな体じゃし、同情票はいくらでも貰えるはずじゃ。

 旗印くらいには、ならせてもらおうかのう。


 恐らく、良くて首のすげ替え。

 悪ければ、国家転覆も有り得るじゃろうなあ」


 そして、必ず4つの国家、その全てを転覆(・・・・・・・)させて見せよう(・・・・・・・)

 私と弁舌で戦うなぞ、B29 と竹槍の戦い(・・・・・・・・・)であることを思い知らせてやる。


 私が呵呵大笑していると。






 青白い顔をした皇女と、国王と、帝王が。



 ……雁首揃えて、土下座した(・・・・・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 地を這う虫と侮ったらとんだ毒虫だったわけですね! 惚れ惚れしました! ボツリヌスちゃん最高! それにしても、自分とこの勇者を助けてもらって拷問したあげくこんか体たらくのセッカイ帝王。 命…
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