第71毒 猛毒姫、配る
※※※注意※※※
猛毒姫名物!
グロ回です!
リョナ方面です!
作者であるNiOさん本人が書いててグッタリしました!
そんな回が、後3話くらい続きます!
やべえ!
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前回までのあらすじ
ボツリヌス様、何着目かの濡れ衣。
正直ドレスより、似合ってます。
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「おい、ボツリヌス・トキシン。
お前がさっき言ったことだぞ。
『覆水、盆に返らず』。
最後のチャンスだ、本当のことを言え。
……お前がやったんじゃ、ないんだろう?」
「私がやりました」
武王が、何やら必死で私の説得を試みておるが、知ったことか。
こちとら、ぶち切れておるのじゃ。
私は高みの見物を決め込んでいる、……この中で、最も腹に据えかねている人物に声を掛ける。
「さて、フヨウ皇女猊下。
こうして犯人も見つかったことです。
罰をお与え頂けますでしょうか」
「え? ……え?」
フヨウ皇女はおろおろしておる。
私を早々に切り捨てた皇女。
此奴は、絶対に許すつもりは無い。
成るべく精神的に追い詰めてやろう。
「何しろ皇女猊下に対する暗殺です。
本人の処刑と、関係する貴族を根絶やしにするのが妥当でしょう。
……ああ、ストリー国王陛下にも、なんらかの処罰をするべきでしょうね」
ここで振られると思わなかったストリー国王も、目を見開いて口をぱくぱくさせておる。
当たり前じゃろう、お前の所の貴族の娘が仕出かしたことじゃぞ。
濡れ衣だけど。
「そして当然、そんな私を招き入れたセッカイ帝王閣下にも、同程度の罰則が科せられて当然でしょう」
セッカイ帝王も、急激な話の流れについていけて無い様じゃ。
浅黒い肌を青くして、死人みたいじゃよ?
全員が、青い顔をして私を見ておる。
あれ程、私の20日間絶飲食の話を聞いていた癖に。
此奴等は、私をただの小娘だと。
まさか、まだそんな事を、考えておったのかのう。
「こ……今回の処置は……犯人が、幼い少女でもあることから……。
私は、罰を、与えません……」
皇女が、いろいろ一生懸命考えたのじゃろうか、そんな言葉をやっと絞り出した。
そこで、諌める声が飛び出す。
「皇女猊下!
それはなりません。
幼いとはいえこれは大罪。
一族郎党皆殺しはやり過ぎだとしても。
これはもはや、血を流さなくては、収集のつかない案件です!!」
その声に、皇女は『ぐっ』と唇を噛む。
ちなみに、諌める声を放ったのは。
……他の誰でもない、この私じゃ。
「皇女猊下。
これは他の3国にも関わる事。
暗殺者であるボツリヌスは、他の3国に罪をなすりつけようとしたのです!
何と言う不敬!
どう考えても、死刑以外認められません!!」
私は何だか楽しくなってきて、皇女を問い詰める。
皇女も、まさかこんな事になるとは思ってなかったのじゃろう。
皇女を救ってくれた英雄を貶めて事態の安静を図る。
確かに気分は良くないが、それで全て丸く収まるのであれば。
……国を治める者として、苦渋の決断と、覚悟だったのかもしれぬ。
だが、私から言わせれば、此処まで事態が発展する事も、予想するべきじゃったのう。
そしてそうなった時に、ちゃんと私を切り捨てる覚悟まで持っておくべきじゃった。
「そ、それでも、ボツリヌス・トキシンの命を奪う事は、絶対絶対ダメです、許しません!」
……やはり、此奴にそこまでの考えは無かった様じゃのう。
私は、ショーバイ武王に話し掛ける。
……多分この中で、唯一今の事態についていけておる人間に。
「……皇女様は、こうおっしゃられております。
『犯人はボツリヌス・トキシンである。
しかし、彼女の一族郎党の抹殺は認めない。
他の王についても、これを処罰しない。
ボツリヌス・トキシンの命を奪う事も、認めない』」
武王は吹き出した。
「ククク……なんとも、ワガママな話ですなあ、皇女猊下。
……さて、ボツリヌス・トキシン。
この案件、貴様なら、どう収める?」
「まあ、当然、『けじめ』じゃろうな。
と言う訳で武国王よ、貴様は、何が欲しい?」
「……ほう、そこまでの覚悟か。
ならば……指を1本、頂こう」
私は迷うことなく右手で左手の親指を握りしめると。
まるで鶏肉の骨を関節から外す様に、上手にぽきりと折った。
以前、親指だけ折れなかったからのう、“いめーじとれーにんぐ”してたのじゃが、こんな所で役立つとは。
くるくると親指を捻って、徐に引き千切ると、根元から血が噴き出した。
私は手首の動脈を押さえながら、自分の左手親指を武国王に放り投げる。
「……ボツリヌス……何故、親指を折った」
「武国王は、小指よりも、親指が似合うと思ったからのう」
「……それだけか?」
「それだけじゃ」
武国王は「ガハハハ」と大声を上げて笑うと。
「貴様からのケジメは受け取った!
武国から言う事は、もう何もない!」
そう言って、踏ん反り返った。
……此奴の目は、なんだか、さっきから、『英雄伝説の絵本をわくわく読んでいる子供の目』をしておるんじゃが、……気のせいじゃろうか。
「ぼ、ぼ、ボツリヌスちゃん!
指が、指が!!」
今頃になって我に返ったのじゃろうか。
後ろで見ていたマホウツカイが私に声を掛ける。
「おお、マホウツカイよ。
もしくはソウリョでもいいのじゃが。
すまぬが、傷口を回復してくれぬかのう。
血が止まらないのじゃ」
「だ、駄目だよ!
今、傷口を回復したら、もう、親指は、もう……」
「うむ、戻らないんじゃろう?
知っておる。
しかし、このままじゃ、出血多量で死んでしまうからのう」
「ほ、ほら、今ならまだ間に合うから、武王殿下に謝って……そ、そしたら……」
そしたら、なんじゃ。
親指を返して貰える、か?
……此奴も、駄目じゃ。
前から思っていた事じゃが。
ユウシャ一行は、日和っておる。
その優しさは、良い所でもあるし、これから敵と戦っていく上で、少しずつ鍛えられていく物ではあるはずなんじゃが。
今の私には、苛立ちを募らせるだけの物じゃ。
仕方なく、私は自分の熱魔法で、手の傷を焼いた。
「ぼ、ボツリヌスちゃん!?」
うぐぐ、流石に熱いが。
確認してみると、傷口はしっかり潰せており、出血は無い。
そして……これで、もはや、回復魔法でも親指の”付け直し”は不可能じゃ。
念のため暫く熱魔法を使っておると、肉の焼ける良い匂いが、部屋全体に拡がり始める。
ユウシャ一行は焼き肉の匂いに耐え切れなかったのか、全員部屋から出たかと思うと、外で『げーげー』やっておる。
フヨウ皇女も頬袋を一杯にして立ち上がったため。
「どこに行かれるのですか、皇女猊下!
これは、貴女の望んだ舞台ですよ?
先程猊下が吐いた物は、戻りません。
口の中の物はどうぞ、お飲み込み遊ばされますよう!」
私は強い口調でそう叫んだ。
皇女は涙目で首を横に振っていたが。
此方が無言で睨んでいると。
自身の『口の中の物』を、こく、こく、と、なんとか飲み下して、青い顔で着席した。
「さて……次は、セッカイ帝王閣下かのう。
何が欲しい?」
「貴様……よくも俺まで巻き込みやがったな……」
なんじゃ此奴。
凄く都合のいい被害妄想をしておる。
「いや、巻き込まれたのは私の方なんじゃが」
「フン……何が欲しい、だと?
貴様も吐いた唾を、飲み込むなよ?
左目を、貰おうか」
私は左手の人差し指と中指を眦側の眼窩へ突っ込むと、梃子の原理でずるりと眼球を取り出す。
筋肉やら神経やら血管やらが諸々付いていたので、此方もくるくると捻って引き千切ると、ぽいとセッカイ帝王に放り投げる。
この時間、わずか1秒足らず。
セッカイ帝王は、私が躊躇するとでも思ったんじゃろうか。
驚愕しながら机の上にある私の左目を見つめ続けておる。
「うわあ、ああ、あっ、ぼっ、ぼっ、ぼづりぬずぢゃんんんん」
おお、ユウシャ一行は、嘔吐から復活した様じゃ。
……と思ったら、左目の無くなった私を見て、またも何人か廊下に戻って嘔吐しておる。
しかし、意外とマホウツカイは泣きながらも頑張っておるようじゃ。
「ああ……目が……可愛いぼづりぬずぢゃんの……左目がああああ」
「すまん、マホウツカイよ。
またも、血が止まらぬ。
回復魔法を、頼みたい」
「だ、駄目、駄目ええ……。
目が……目が治らないいいいうううううう」
マホウツカイは駄々を捏ねる様に、頭を抱えて首を横に振り『いやいや』をした。
「回復が駄目となると、また熱魔法を使わねばならぬ……。
熱魔法では、多分、脳も一部焼いてしまうかもしれんから、出来れば避けたいのじゃが……。
まあ、仕方ないか……」
そんな事を呟きながら、私が熱魔法を掛けようとすると。
……マホウツカイが泣きながら其れを止めた。
「ぐ、ぐうううぅ……や、やる! やるがら!
がいぶぐまぼう、がげるがらぁあ!!」
マホウツカイは涙と鼻水で顔中をぐしゃぐしゃにしながら。
私の左の眼窩を愛おしむ様に回復魔法を掛けてくれた。
うむ。
先ほどの様な嫌な熱さでは無い、どこか温もりのある温かさで、目の中の血が止まるのが分かる。
「有難うの、マホウツカイよ。
もう少し、世話になるぞ」
マホウツカイは力なく頷くと、その場にがくりと座り込んだ。
「さて、ストリー王よ。
『けじめ』じゃ。
何が欲しい」
なんだかれいぷ目になっておるのう、ストリー王よ。
私の方が、そんな目をしたいくらいなんじゃが。
「か……」
「か……?」
「髪の毛を……」
「はぁ??」
私は呆れて爺やを睨む。
爺やも、「あちゃー」と言う様に右手で顔を覆った後。
申し訳なさそうに此方を見ておる。
けじめに髪の毛を差し出させる等、聞いた事も無い。
まさに、国の格を下げる行為じゃろう。
しかも今回は、自分の領地から出た犯罪者。
他よりも厳しい罪の追及が必要であるのに。
ストリー王よ、阿呆か。
然し私と王国側以外は、少しだけ空気が緩んだ様に感じた。
だって、髪の毛じゃし。
……まあ、それも今のうちなんじゃがのう。
「……なるほど。
流石は我らが国王陛下、大変手厳しい」
私は両手を万歳させると。
そのまま手を後頭部へ回し、項あたりの生え際に持って行って。
其処にある髪の毛を、徐に鷲掴みした。
そのまま、服を脱ぐかのようにみちみちと引き千切る。
最初は頭の皮膚も上手に剥がれていたが、途中で嫌な音とともに皮膚が千切れたため。
途中までの髪の毛が付いた皮膚をストリー王の机に投げつける。
弛緩した空気が一気に緊張するのを感じながら、私は再度、髪の毛を掴んでみちみちと皮ごと頭から剥いでいった。
うむ、左手の親指が無いと、やはりなかなかに難しいのう。