表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
拉致編
72/205

第71毒 猛毒姫、配る

※※※注意※※※

猛毒姫名物!


グロ回です!


リョナ方面です!


作者であるNiOさん本人が書いててグッタリしました!


そんな回が、後3話くらい続きます!


やべえ!

******************


 前回までのあらすじ


 ボツリヌス様、何着目かの濡れ衣。

 正直ドレスより、似合ってます。


******************


「おい、ボツリヌス・トキシン。

 お前がさっき言ったことだぞ。

 『覆水、盆に返らず』。


 最後のチャンスだ、本当のことを言え。

 ……お前がやったんじゃ、ないんだろう?」


「私がやりました」



 武王が、何やら必死で私の説得を試みておるが、知ったことか。

 こちとら、ぶち切れておるのじゃ。


 私は高みの見物を決め込んでいる、……この中で、最も腹に据えかねている人物に声を掛ける。



「さて、フヨウ皇女猊下(・・・・・・・)


 こうして犯人(てろりすと)も見つかったことです。

 罰をお与え頂けますでしょうか」


「え? ……え?」


 フヨウ皇女はおろおろしておる。

 私を早々に切り捨てた皇女。

 此奴は、絶対に許すつもりは無い。

 成るべく精神的に追い詰めてやろう。


「何しろ皇女猊下に対する暗殺です。

 本人の処刑と、関係する貴族を根絶やしにするのが妥当でしょう。

 ……ああ、ストリー国王陛下にも、なんらかの処罰をするべきでしょうね」


 ここで振られると思わなかったストリー国王も、目を見開いて口をぱくぱくさせておる。

 当たり前じゃろう、お前の所の貴族の娘が仕出かしたことじゃぞ。

 濡れ衣だけど。


「そして当然、そんな私を招き入れたセッカイ帝王閣下にも、同程度の罰則が科せられて当然でしょう」


 セッカイ帝王も、急激な話の流れについていけて無い様じゃ。

 浅黒い肌を青くして、死人みたいじゃよ?



 全員が、青い顔をして私を見ておる。

 あれ程、私の20日間絶飲食の話を聞いていた癖に。


 此奴等は、私をただの小娘だと。

 まさか、まだそんな事を(・・・・・・・)考えておったのかのう(・・・・・・・・・・)



「こ……今回の処置は……犯人が、幼い少女でもあることから……。

 私は、罰を、与えません……」



 皇女が、いろいろ一生懸命考えたのじゃろうか、そんな言葉をやっと絞り出した。

 そこで、諌める声が飛び出す。



「皇女猊下!

 それはなりません。

 幼いとはいえこれは大罪。

 一族郎党皆殺しはやり過ぎだとしても。

 これはもはや、血を流さなくては、収集のつかない案件です!!」


 その声に、皇女は『ぐっ』と唇を噛む。



 ちなみに、諌める声を放ったのは。



 ……他の誰でもない、この私じゃ。



「皇女猊下。

 これは他の3国にも関わる事。

 暗殺者(てろりすと)であるボツリヌス(わたし)は、他の3国に罪をなすりつけようとしたのです!

 何と言う不敬!

 どう考えても、死刑以外認められません!!」


 私は何だか楽しくなってきて、皇女を問い詰める。


 皇女も、まさかこんな事になるとは思ってなかったのじゃろう。

 皇女(じぶん)を救ってくれた英雄を貶めて事態の安静を図る。

 確かに気分は良くないが、それで全て丸く収まるのであれば。

 ……国を治める者として、苦渋の決断と、覚悟だったのかもしれぬ。


 だが、私から言わせれば、此処まで事態が発展する事も、予想するべきじゃったのう。

 そしてそうなった時に、ちゃんと私を切り捨てる覚悟まで持っておくべきじゃった。



「そ、それでも、ボツリヌス・トキシンの命を奪う事は、絶対絶対ダメです、許しません!」



 ……やはり、此奴にそこまでの考えは無かった様じゃのう。


 私は、ショーバイ武王に話し掛ける。

 ……多分この中で、唯一今の事態についていけておる人間に。


「……皇女様は、こうおっしゃられております。

 『犯人はボツリヌス・トキシンである。

 しかし、彼女の一族郎党の抹殺は認めない。

 他の王についても、これを処罰しない。

 ボツリヌス・トキシンの命を奪う事も、認めない』」


 武王は吹き出した。


「ククク……なんとも、ワガママな話ですなあ、皇女猊下。


 ……さて、ボツリヌス・トキシン。

 この案件、貴様なら、どう収める?」


「まあ、当然、『けじめ』じゃろうな。

 と言う訳で武国王よ、貴様は、何が欲しい(・・・・・)?」


「……ほう、そこまでの覚悟か。

 ならば……指を1本(・・・・)頂こう(・・・)



 私は迷うことなく右手で左手の親指を握りしめると。


 まるで鶏肉(ちきん)の骨を関節から外す様に、上手にぽきりと折った。

 以前、親指だけ折れなかったからのう、“いめーじとれーにんぐ”してたのじゃが、こんな所で役立つとは。

 くるくると親指を(ねじ)って、(おもむろ)に引き千切ると、根元から血が噴き出した。

 私は手首の動脈を押さえながら、自分の左手親指を武国王に放り投げる。


「……ボツリヌス……何故、親指を折った」

 

「武国王は、小指よりも、親指が似合うと思ったからのう」


「……それだけか?」


「それだけじゃ」


 武国王は「ガハハハ」と大声を上げて笑うと。


「貴様からのケジメは受け取った!

 武国から言う事は、もう何もない!」


 そう言って、踏ん反り返った。

 ……此奴の目は、なんだか、さっきから、『英雄伝説の絵本をわくわく読んでいる子供の目』をしておるんじゃが、……気のせいじゃろうか。



「ぼ、ぼ、ボツリヌスちゃん!

 指が、指が!!」



 今頃になって我に返ったのじゃろうか。

 後ろで見ていたマホウツカイが私に声を掛ける。



「おお、マホウツカイよ。

 もしくはソウリョでもいいのじゃが。

 すまぬが、傷口を回復してくれぬかのう。

 血が止まらないのじゃ」


「だ、駄目だよ!

 今、傷口を回復したら、もう、親指は、もう……」


「うむ、戻らないんじゃろう?

 知っておる。

 しかし、このままじゃ、出血多量で死んでしまうからのう」


「ほ、ほら、今ならまだ間に合うから、武王殿下に謝って……そ、そしたら……」



 そしたら、なんじゃ。

 親指を返して貰える、か?

 ……此奴も、駄目じゃ。


 前から思っていた事じゃが。

 ユウシャ一行(ぱーてぃー)は、日和っておる。


 その優しさは、良い所でもあるし、これから敵と戦っていく上で、少しずつ鍛えられていく物ではあるはずなんじゃが。

 今の私には、苛立ちを募らせるだけの物じゃ。

 仕方なく、私は自分の熱魔法で、手の傷を焼いた。


「ぼ、ボツリヌスちゃん!?」


 うぐぐ、流石に熱いが。

 確認してみると、傷口はしっかり潰せており、出血は無い。

 そして……これで、もはや、回復魔法でも親指の”付け直し”は不可能じゃ。

 念のため暫く熱魔法を使っておると、肉の焼ける良い匂いが、部屋全体に拡がり始める。


 ユウシャ一行(ぱーてぃー)は焼き肉の匂いに耐え切れなかったのか、全員部屋から出たかと思うと、外で『げーげー』やっておる。

 フヨウ皇女も頬袋を一杯(ぱんぱん)にして立ち上がったため。



「どこに行かれるのですか、皇女猊下!

 これは、貴女の望んだ舞台(しょー)ですよ?


 先程猊下が吐いた物は(・・・・・・・・・・)戻りません(・・・・・)

 口の中の物はどうぞ(・・・・・・・・・)お飲み込み遊ば(・・・・・・・)されますよう(・・・・・・)!」


 私は強い口調でそう叫んだ。


 皇女は涙目で首を横に振っていたが。

 此方が無言で睨んでいると。

 自身の『口の中の物』を、こく、こく、と、なんとか飲み下して、青い顔で着席した。



「さて……次は、セッカイ帝王閣下かのう。

 何が欲しい?」


「貴様……よくも俺まで巻き込みやがったな……」


 なんじゃ此奴。

 凄く都合のいい被害妄想をしておる。


「いや、巻き込まれたのは私の方なんじゃが」


「フン……何が欲しい、だと?

 貴様も吐いた唾を、飲み込むなよ?



 左目を、貰おうか」



 私は左手の人差し指と中指を(まなじり)側の眼窩へ突っ込むと、梃子の原理でずるりと眼球を取り出す。

 筋肉やら神経やら血管やらが諸々付いていたので、此方もくるくると捻って引き千切ると、ぽいとセッカイ帝王に放り投げる。

 この時間、わずか1秒足らず。

 セッカイ帝王は、私が躊躇するとでも思ったんじゃろうか。

 驚愕しながら机の上にある私の左目を見つめ続けておる。


「うわあ、ああ、あっ、ぼっ、ぼっ、ぼづりぬずぢゃんんんん」


 おお、ユウシャ一行(ぱーてぃー)は、嘔吐から復活した様じゃ。

 ……と思ったら、左目の無くなった私を見て、またも何人か廊下に戻って嘔吐しておる。

 しかし、意外とマホウツカイは泣きながらも頑張っておるようじゃ。


「ああ……目が……可愛いぼづりぬずぢゃんの……左目がああああ」


「すまん、マホウツカイよ。

 またも、血が止まらぬ。

 回復魔法を、頼みたい」


「だ、駄目、駄目ええ……。

 目が……目が治らないいいいうううううう」


 マホウツカイは駄々を捏ねる様に、頭を抱えて首を横に振り『いやいや』をした。


「回復が駄目となると、また熱魔法を使わねばならぬ……。

 熱魔法では、多分、脳も一部焼いてしまうかもしれんから、出来れば避けたいのじゃが……。

 まあ、仕方ないか……」


 そんな事を呟きながら、私が熱魔法を掛けようとすると。



 ……マホウツカイが泣きながら其れを止めた。


「ぐ、ぐうううぅ……や、やる! やるがら!

 がいぶぐまぼう、がげるがらぁあ!!」



 マホウツカイは涙と鼻水で顔中をぐしゃぐしゃにしながら。

 私の左の眼窩を愛おしむ様に回復魔法を掛けてくれた。

 うむ。

 先ほどの様な嫌な熱さでは無い、どこか温もりのある温かさで、目の中の血が止まるのが分かる。


「有難うの、マホウツカイよ。

 もう少し、世話になるぞ」


 マホウツカイは力なく頷くと、その場にがくりと座り込んだ。


「さて、ストリー王よ。

 『けじめ』じゃ。

 何が欲しい」


 なんだかれいぷ目になっておるのう、ストリー王よ。

 私の方が、そんな目をしたいくらいなんじゃが。


「か……」


「か……?」


「髪の毛を……」


「はぁ??」


 私は呆れて爺やを睨む。

 爺やも、「あちゃー」と言う様に右手で顔を覆った後。

 申し訳なさそうに此方を見ておる。

 けじめに髪の毛を差し出させる等、聞いた事も無い。

 まさに、国の格を下げる行為じゃろう。

 しかも今回は、自分の領地から出た犯罪者。

 他よりも厳しい罪の追及が必要であるのに。

 ストリー王よ、阿呆か。


 然し私と王国側以外は、少しだけ空気が緩んだ様に感じた。

 だって、髪の毛じゃし。

 ……まあ、それも今のうちなんじゃがのう。


「……なるほど。

 流石は我らが国王陛下(・・・・・・・・・・)大変手厳しい(・・・・・・)


 私は両手を万歳させると。

 そのまま手を後頭部へ回し、(うなじ)あたりの生え際に持って行って。

 其処にある髪の毛を、(おもむろ)に鷲掴みした。

 そのまま、服を脱ぐかのようにみちみちと引き千切る。

 最初は頭の皮膚も上手に剥がれていたが、途中で嫌な音とともに皮膚が千切れたため。

 途中までの髪の毛が付いた皮膚をストリー王の机に投げつける。

 弛緩した空気が一気に緊張するのを感じながら、私は再度、髪の毛を掴んでみちみちと皮ごと頭から剥いでいった。

 うむ、左手の親指が無いと、やはりなかなかに難しいのう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] ~何着目かの濡れ衣 悔しい…でも…草生えちゃうぅぅwwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ