第65毒 猛毒姫、パーティーに出る
ブレーメンの屠殺場、終わりましたよー。
相変わらずの大団円。
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前回までのあらすじ
ボツリヌス様がとっても楽しそうでした。
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帝王からは結局、拷問したことへの謝罪はなさそうじゃ。
なんじゃ、此奴。
なに様のつもりじゃ!
……あ、帝王様か。
普通に偉かったわ。
「このことをユウシャ達に告げ口したら、どうなるじゃろう」
私がぽつりと疑問を零すと。
「……奴らは、場合によっては怒って私に刃を向けるだろうな。
まあ、いいさ、代わりの奴らはまだいる」
こ、此奴、まさかユウシャ達すら使い捨てにするつもりか。
私がじろじろ見ていると、帝王はばつが悪そうに声を掛けてきた。
「お前がこのことを話さない限りは、そのつもりはない」
……言うな、ということか。
まあ良い、最初から言う気はないしのう。
「ああ、それと今日の夜、わが国で人間界各国のトップを呼んだパーティーを企画している。
ついでだ、その時にでもストリー王と直接話をするがよかろう。
私からも斡旋してやる」
なんと、そんな話があったのか!
なるほど、セッカイ帝王は、最初から私をそのぱーてぃーに参加させるつもりだったのかもしれん。
……確かに、私は、どこの馬の骨とも解らぬやつじゃ。
そんな奴を”びっぷぱーてぃー”に参加させれば、あの程度の拷問くらいはしてからでないと安心できないというのは理解できるのう。
「分りました。
ストリー王に会わせて頂けると言うのでしたら、今回のことは胸の内にしまっておきましょう」
「そうか。
一応お前は『疲れがたまったので、3日3晩、寝続けていた』という設定になっている。
くれぐれも、トチるなよ」
「はい」
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「ボツリヌスちゃん、そのお洋服、とっても可愛い!
そして、それを着るボツリヌスちゃんもとっても可愛い! ぎゅー!」
「あざ可愛い」
「やめろ、服が皺になるぞ、マホウツカイよ。
あざ可愛いってなんじゃ、ソウリョよ」
なんだかんだで勇者一行と合流したのじゃが。
今私が何をしているかと言うと。
夜のぱーてぃーのためのどれすをマホウツカイとソウリョに選んでもらっておる。
私のさいずのどれすなんてあるのかと思ったが、城の倉庫を漁ればいくらでもあるみたいじゃ。
「しかし、この城のどれすには、水玉や縞々模様のどれすがないのじゃな」
非常に不本意じゃ。
「水玉のドレス……」
「縞々のドレス……」
「ん? なんじゃ?可愛いんじゃぞ」
「ボツリヌスちゃんって趣味が……」
「しっ! 私たちで、矯正しましょう!!」
2人がぼつぼつと何かを確認していた。
「まあ、それでも、たまにはそういった柄から離れるのも悪くないのう」
私は呵々大笑しながら、どれすをひらひらさせてみた。
「おい、いい加減にしろ……パーティーはそろそろ始まるぞ……」
ユウシャとセンシがしびれを切らして迎えに来た。
「おお、ユウシャにセンシよ。
タキシードか、かっくいーのう!」
「ぼ、ボツリヌス……」
「ユウシャよ、どうじゃ、この服は?
マホウツカイとソウリョの趣味満載なのじゃが、似合っておるのか正直解らぬ」
今私が来ておるのは白に近い黄色のどれすじゃ。
清楚だ可憐だとマホウツカイとソウリョは褒めてくれるが、此奴らはなんというか、『親の欲目』的な物が入っておる感じがして信用ならぬ。
せっかくなので、野郎の意見も聞こうかのうなどと思いながら、くるりと一回転する。
「あ、ああ……とっても似合ってる……」
勇者は顔を赤らめて、見惚れておる。
……あ、駄目じゃ。
此奴もなんというか、『惚れた欲目』が入っておる。
「ほらほら、ユウシャくんー、ボツリヌスちゃんを、しっかりパーティーにエスコートしなさいよー!」
「え、う、うん、分ってる!」
マホウツカイがにやにやしながらユウシャを焚き付けておる。
「さ、行こうか、ボツリヌス」
「お手柔らかに、頼むぞ」
「子ども2人のカップルって、なんでこんなにあざといんでしょうか」
ソウリョがぼそりと呟いておる。
……そんなん、私が知るわけなかろう。
そして
『Never Opening Story 〜ある意味果てしない物語〜』
http://ncode.syosetu.com/n7887cu/
始めましたー。
こっちは息抜きがてら月1くらいでだらだら更新予定。
お暇でしたら是非。




