第61毒 猛毒姫、命乞いをする
ブックマークが40を突破しました!
皆様、誠に有難う御座います。
「Sehen Sie mich! Sehen Sie mich!
Das Lesezeichen in meinem Selbst ist So gross geworden!
(僕を見て!僕を見て!僕のブックマークがこんなに多くなったよ!)」
「・・・・・・NiOは・・・・・・、彼は楽しんでいる・・・・・・?」
( 相変わらず死亡フラグを自ら立てていくスタイル)
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前回のあらすじ
アメリカでは、ドラゴンが幼女をかみ殺す。
一方ソビエトロシアでは、幼女がドラゴンを噛み殺す!!
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龍の巣を訪れて1か月。
“おーい、馬鹿龍よー、食事を分けておくれ―”
“誰が馬鹿龍だ、ふざけるな噛み殺すぞ!”
“この前命を助けてやったではないか”
“ぐぬぬ……ほら、肉だ”
“わーい! もきゅもきゅ……”
なんだか馴染んだ。
特に前回私に負けた龍は、命を助けられたことで私が何を言っても言い返せぬらしい。
食事係になってくれており、とっても嬉しいです。もきゅもきゅ。
私に良い様に扱われている彼ではあるが、もちろんこの龍、実際は滅茶苦茶強い。
ちょっと鑑定してみると。
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ワカリュウ 1999歳
二つ名:若龍
体力:123456789123456789/123456789123456789
魔力:123456789123456789/123456789123456789
スキル:アクセスLV MAX
熱量散破LV6
亜光速移動LV MAX
精神汚染耐性LV1 NEW !!
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魔力量、体力量が18桁。
10京じゃ。
もちろん、老龍はこれより更に強いのじゃろう。
ここまで来ると私の魔力量だろうがトキシン侯爵の魔力量だろうが、等しく“矮小なる人間”でまとめちゃえるのじゃろう。
……流石に魔王より強いと言うことは無かろうな。
魔王の魔力量が少なくとも兆の単位は、本当に“少なくとも”なのじゃろう。
……お、精神汚染耐性が付いておるじゃないか。
やったのう。
“それにしても、私はどうやって人間の町へ戻れば良いんじゃろうか”
“諦めろ、龍が人間族の里へ行くことは無いし、人間族が龍の巣へ来ることも無い。
つまり、お前が帰れることはないのだ……”
そんな事を話しながら馬鹿……若龍は、ピクンと鼻を鳴らす。
“……と思ったが、お前は運が良いな。
もしかしたら帰れるかも知れんぞ……ついてこい”
なんじゃろ……と思いながらも、帰れるのかもしれぬと言うのでついて行くことにした。
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「世界樹に巣食う悪しき龍達め! 今こそ成敗してくれる!」
『ははは、やって見るが良い。
我が名は老龍!
遥か太古より存在し、進化の波にも普遍を貫きし、即ち生命の完成体!
愚かなる人間族よ、自身の矮小さを思い知るが良い!!』
老龍が、普通の龍の姿で人間たちに対峙しておった。
何だかのりのりである。
お爺ちゃん、あんなきゃらもいけるのか。
そして老龍の目の前には4人の人間族が。
うーむ、人間にしては信じられない身体能力で老龍と戦闘をしているが、残念ながら老龍の足元にも及ばない。
4人全員とも、軽くいなされておる。
まあそれでも、龍の覇気を克服してここに到達するとは、なかなかに凄い奴らじゃがのう。
“あの人間達、何しに来たのじゃ?”
“恐らく、世界樹の枝を取りに来たのだろう”
“世界樹の枝……のう……。
そんなもの、何に使うんじゃ”
“あれは聖剣の材料となるからな”
“成程、聖剣の材料のう……。
……いま、聖剣の材料と言ったか?”
“む? 確かに言ったが?”
“聖剣って勇者が持つ物じゃよな?”
“ああ。
……あの人間族、勇者だぞ”
私がもう一度戦闘の場を眺めると。
散々打ちのめされて横たわる4人の人間族を、今まさに老龍が食わんとしている所じゃった。
「ああ、老龍、止めたげて! そいつら、人間族の希望達じゃから!!」
あんまり関係ない奴らじゃが、私は思わず命乞いをしてしまった。
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「いてて……有難う、助かったよ。
僕の名はユウシャ、一応勇者をしているけど、まだ半人前でね」
いけめんが私に微笑みかける。
細まっちょの彼は仲間から回復魔法を受けた後、私に近寄って頭をなでなでした。
なんとなくごろごろと喉を鳴らしたくなるところを、いかんいかんと首を振る。
「うむ、一応人類の希望であるしの。
っていうか、実力を考えてから来い」
強い言葉で彼らをたしなめると、後ろにいるむきむきまっちょが声を荒げた。
「なんだと糞餓鬼!
お前に言われる筋合いなど……!」
「せ……センシさん!
あ、あの子、龍殺しの称号がありますよ!!」
「な、なにぃ!? ホントか ソウリョ!?」
私好みのむきむきまっちょはセンシというらしい。
ああ、例のヒトケタの化け物か。
『貴様たちより、この人間族の少女の方が遥かに強かったぞ』
“老龍よ、何を煽っておる”
“彼らは、自分たちの命が自分達だけの物でないことを分かっていないようですからね。
少し懲らしめた方が良いでしょう”
“成程、そうかもしれんのう”
龍族には関係ないと言うのに、人間達の為に心配りをしてくれておる。
老龍は、本当にできた奴じゃ。
「全くじゃ。
貴様らなぞ、私に比べると、屁ぇぷぅじゃのう!」
私も老龍の思惑に乗って呵呵大笑していると、後ろでソウリョの「あれ、でもステータスが……なにこれ、ゴミ?」という声が聞こえた。
速攻でばれた様じゃ。
「老龍さん、この通り、お願いです!!」
勇者が老龍に向かい、土下座をする。
「人間界に平和を取り戻すため、どうか世界樹の枝を、分けて頂けないでしょうか?」
他の3人も後に続くように土下座をする。
「私達からもお願いします。
老龍様、どうか!!」
ふむ。私は彼らが正義とは全く思わないが、彼らが魔界にちょっかいを掛けていることで、人間界との均衡が保てている所はある。
可能であれば、世界樹の枝を渡してあげて欲しいが……というか、あっちこっちに捨ててあるじゃろう、世界樹の枝。
そんな事を思っていると、老龍は条件を出してその提案を受け入れた。
① 龍族に二度と剣を向けない事
② 人間族の少女(というか私)を人間の町へ送り届ける事
……ちょっと老龍がいけめん過ぎてやばいぞ。
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「老龍さん、そしてみなさん、お世話になりました!」
勇者が世界樹の枝を片手に持ちながら龍達に一礼をし、他の者もそれに続く。
「じゃあ、私は行くからの、皆も健勝での」
『最弱ステータスの分際で、偉そうに』
馬鹿龍が鼻を鳴らす。
なんという大人げない奴じゃ。
いや、大人というか、どらごんじゃったな。
なんというどらげない奴じゃ。
~♪~♪~♪~♪~♪
謎のBGMが流れだし、僕たちは友達の様に笑った。
「お弁当は持ちましたか?
何かあったらすぐに私に言うんですよ」
「大丈夫じゃよ」
老龍が初めて学校に行く孫に向かって話をする好々爺の様におろおろしておる。
「どうしてこんなに龍と打ち解けているの……」
「信じられない……」
後ろで話しかける人間族達の常識を無視して、龍達に手を振って別れを告げた。
トキシン家から拉致されて、大体2ヶ月くらいか……私はやっと森を抜け、人間の住む町へと目指すこととなったのじゃった。