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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
拉致編
53/205

第52毒 猛毒姫、2人でただただ喋る

またもシリアス回。

ちょっと趣を変えてみました。

「まあ、こうなる事は分かっておったが。

 仕方あるまい、オーダーの説得をするとしようか。

 とは言ってもお主は私の言う事をほとんど聞いてくれぬがのう」


「はい。

 残念ながら、何を言っても無駄ですよ。

 私の意思は鉛筆で言うと4Hくらいに硬いんです」


「ぬぬ、相当に頑固な奴め。

 ちょっと、私は誘拐されるけどオーダーは知らんぷりして愉快に過ごせと言っているだけなのに」 


「絶対却下です。

 第一、拉致された先でキチンとした生活が送れるとは限らないでしょう!!」


「いや、これだけ有名になった私を誘拐するくらいじゃから、流石に即刻殺すなどと言うことはせぬじゃろう」


「そうかもしれませんけど、奴隷にされたり、無理矢理……ゴニョゴニョ……されたりするかもしれないじゃないですか」


「え!? 何がごにょごにょじゃって!? え!?」


「う……う……と……とにかく! 変な事されるかも知れないじゃないですか!!」


「変な事、大いに結構!

 生きていれば万事丸儲けよな、奴隷もごにょごにょも受け入れるさ!!」


「呵呵大笑しないでください!

 あと、ごにょごにょって言うな!」


「……オーダーよ、分かってくれぬか。

 私はどんな所でも暮らしていける、雑草と変わらん。

 私の今までの暮らしぶりを見ていたら分かるじゃろ」


「……分かります」


「そうじゃ。

 オーダーの気持ちは嬉しいが、私にしてみれば自分の生活水準が今より少し落ちるだけに過ぎん。

 私が少し苦しむのと、お主が塗炭の苦しみを味わいながら悶え死ぬのと、どっちが良いか比べるべくもなかろう」


「……」


「……お、オーダー?」


「ボツリヌス様。

 不快に思われるかもしれませんが、私はメイドであると同時に、貴方の母親代わりで姉代わり、時には妹代わりであったと思っています。

 トキシン家が貴女を家族と認めていないのであれば。

 私は貴方の唯一の家族……のつもりです」


「う……うむ。

 私もそう思っているぞ」




「貴女の苦しみが少しでも安らぐなら、私は塗炭の苦しみを味わいながら悶え死んでも構わない」




「……」


「……」


「そうか……、有難うの、オーダーよ。」


「……」


「お主の言葉は、とても嬉しい。

 正直、そんなに私の事を考えてくれているなんて思わなかった。

 家族とは、そういう物なんじゃな」


「……そういう物なんですよ」


「……じゃが。

 ならば分かるじゃろう。

 愛する家族に塗炭の苦しみを経験させるなど、言語道断であると」


「……そうかも知れませんね」


「『私が拉致されそうになったら全力で助ける。

 ただしそれが失敗したら。

 諦めて、トキシン家での今までのめいど生活を続ける』

 ……これが私に出来る最大限の譲歩じゃ」


「譲歩って……何も譲歩してないじゃないですか。

 ……ってボツリヌス様?」


「取り出したるは、技術(すきる)カリスマLV2。

 私の地位を向上させてくれた感慨深い技術(すきる)じゃのう。

 さて、オーダーよ、答えを聞こうか」


「……え? え?

 だから、絶対却下だと……」


「削除」


「え、え??

 ……あ、ああああああああああ!?」


「続いて、技術(すきる)幸運LV2。

 分かり易い物ではなかったが、いろいろなところで役立ったと思われる技術(すきる)じゃのう。

 さて、オーダーよ、もう一度問おうか」


「ちょ、ちょ! 止めてくださいボツリヌス様! 首を捻じ切りますよ!!」


「良いぞ。

 いくらでも捻じ切るがよい。

 ……さあ、答えを聞こうか」


「お願い……止めてください……ボツリヌス様……だ……ダメです……」


「削除」


「うわあああああああああああああああっ!!」


「続いて、技術(すきる)魔法並列LV6

 私の編み出した魔法はほとんどこれに依存しておるからのう、出来れば捨てたくない技術(すきる)じゃ。

 さて、オーダーよ、答えを聞こうか」


「……こんな……こんな方法、酷い……酷いです、ボツリヌス様……」


「酷い方法か。

 ……確かに、そうじゃのう。

 本当にすまんのう……。









 ……それで、オーダーよ、答えを聞こうか」


「……ッ!!

 ……ぐ……。



 わ、分かりました……」


「何が分かったのかのう。


 『私が拉致されそうになったら全力で助ける。

 ただしそれが失敗したら。

 諦めて、トキシン家での今までのめいど生活を続ける』


 ……と言うことで、良いかの」


「……」


「削」


「わ、分かりました!

 受け入れます!!

 『ボツリヌス様が拉致されそうになったら全力で助ける。

 ただしそれが失敗したら。

 諦めて、トキシン家での今までのメイド生活を続ける』

 必ず守ります!!」


「……そか。

 有難うの、オーダーよ」


「……」


「……」


「はあ、結局ボツリヌス様の思い通りになっちゃいましたね」


「……私は我儘じゃからのう」


「仕様がありませんね、ボツリヌス様ですものね」


「う……うむ。

 すまぬが、私じゃからの! 仕様が無いからの!」


「ええ。

 ……さて。

 それじゃあ宣言通り。




 ボツリヌス様の首を、捻じ切りますね」




「うむ……え、ええええ!?

 い、いや、確かに『いくらでも捻じ切ると良い』とは言ったが……もう、終わったことじゃろ!?」



「ボツリヌス様……。

 私は塗炭の苦しみを味わいました。






 ……貴女も少し、苦しんでください」



「さっきと言っていることが違……」



ギャワー




終わり

拉致回が始まって5話が過ぎているのに、まだ拉致が始まらん。

それでなくても拉致回は糞長い予定なのに……。

多分次回か次々回こそ拉致。

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