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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
拉致編
50/205

第49毒 猛毒姫、縄張りを持つ

僅かな時間を見つけて更新

今日も今日とて魔法の練習をするわーきゃー兄妹。

 『天使の触手(バッカルコーン)』もすっかり物にしたようで、二人で波乗りの様な事も始めておる。

 弱点としてはあまりの魔力量のために、遠距離での使用が困難なことか。

 ……実は致命傷とも言える弱点じゃがの。




 私はといえば、二人の魔法を見つつ、暇を見つけてはいつか決めた様に魔法学の発展に寄与しておる。

今やっているのは魔法発動距離と必要魔力量の関係についての調査じゃ。

オーダーが魔法を唱えて、消費した魔力量を申告する。

 私は魔法の発動した場所とオーダーとの距離を測定し、紙に記載していく。


「ねーねー聖女様!」

「二人で何してるの?」


「……おや、二人とも来たのか。

これは、ちょっとした学問じゃよ。

 しかしこの結果は……成程、ふむふむ」


 結果は分かり易い物じゃった。

 ある程度の距離までは魔法消費量は一定である―――私はこの範囲を『縄張り(テリトリー)』と定義した―――が、その距離を超えると指数関数的に増えていく。


「ボツリヌス様!

前回の詠唱分解も凄かったですが、今回のは全ての魔法使いに関係する、本当に凄い発見ですよ!

 私も疑問には思っていましたが、自分で調べる気は無かったですし……」

 

 オーダーにもこの発見の凄さを理解して貰えた様じゃ。

 自分の『縄張り(テリトリー)』の範囲を理解し、その中で魔法を使うことで魔力効率を格段に上げる事が出来るからの。


 測定の結果、オーダーの『縄張り(テリトリー)』はおよそ52mであることが分かった。

 さて次は、人によってどの程度『縄張り(テリトリー)』に偏りがあるのか調べることにするかのう。


「と言う訳で、これじゃ!」


「わぁっ!」

「きゃぁっ!」


「……相変わらず、心臓に悪いですねぇ」


 私はめいどに持って来てもらった屑魔石をじゃらりと取り出す。


「私の『縄張り(テリトリー)』も測定して欲しくてのう。

 オーダーよ、頼んだ!」


「承りました。

魔石もありますし、とりあえず50m位からやっていきましょうか」


こうして私の『縄張り(テリトリー)』の測定が始まった。


50m……『土玉(アースボール)(劣化版)』……消費魔力1

100m……『土玉(アースボール)(劣化版)』……消費魔力1

200m……『土玉(アースボール)(劣化版)』……消費魔力1

300m……『土玉(アースボール)(劣化版)』……消費魔力1

400m……『土玉(アースボール)(劣化版)』……消費魔力1


「あれ、400mの距離でもまだ消費魔力1じゃぞ。

 もしかして、私の『縄張り(テリトリー)』って物凄く広いんじゃろうか?」


 いや、もはや疑うまでも無い。

 やっとまともな魔法の才能があったようで、ちょっとだけ気分(てんしょん)が上がる。

 私の『縄張り(テリトリー)』は一体どのくらいなんじゃろうか!?


「ところでボツリヌス様、お話があるのですが……」


 500m先でも消費魔力1で魔法を唱えられた私に向かって、オーダーが言い難そうに呟く。


「なんじゃオーダーよ。

 もしかして、『縄張り(テリトリー)』の広い私に嫉妬しておるのか?

確かに、オーダーの『縄張り(テリトリー)』が52mなのに対して、私のそれは500mを超えても未だ限界が見えておらぬ。

皮肉にも、『縄張り(テリトリー)』には著しく個人差があることが分かったがの!」


私が満面の笑みで得意げにオーダーに話しをすると。


「えーっと。

まあ。

気づいたんですが。

魔力量は指数関数的に増えていくんですよね」


「うむ、さっきの結果からはそれが導き出されるのう!」


「1の指数関数って」


「……あ」




 ―――1は、何乗しても1じゃった―――




 ……ま、まあ、魔力量1の魔法は『縄張り(テリトリー)』に関係なく使用出来るとの発見は十分評価に値するものじゃしの!


 ちなみに改めて通常の『土玉(アースボール)』、消費魔力2で同じ調査をした結果。

私の『縄張り(テリトリー)』は85㎝ということが分かり。

 そして、皮肉にも『縄張り(テリトリー)』には著しく個人差があることが分かった。

半径85cmはボツリヌス様の距離。

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