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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
監禁編
44/205

第44毒 猛毒姫、出会う

 と言う訳で、本日は一連の騒動の演劇である『王様と貴族令嬢』が離れの屋敷で行われる日じゃ。

 トキシン侯爵が不在の時期を見計らって行われる今回の芝居であるが。

 トキシン侯爵の屋敷内でトキシン侯爵が悪役である演劇をするとは、なんとも豪胆である。

 見つかったら、本当(まじ)で劇団員達の首が飛ぶじゃろう。


 ちなみに劇団員達はそんな修羅場はいくつも潜っているようで、むしろ演劇の箔が付くと喜んで受けてくれたらしい。


#############################################


 そして、劇であるが。

 私は序盤から不機嫌になっておった。


 水玉のどれすに赤い(かつら)を被って登場する貴族令嬢。

 私の演者が美しすぎる……が、それに文句は無い。

 更に年齢設定もおかしい。

 14歳である。

 まあ、これも許そう。


 私が許せないのは。


「お父様、彼を責めないで!!

 その花瓶を割ったのは……私で御座います!!」 


 台詞が、全然違う。

 もう本当に、気持ちが悪くなるくらい違うのじゃ。 


「壺を割ったのは☆わったしっじゃよー♪」


 さっきの台詞も、正解はこれなのに。

 馬鹿丸出しなのに。

 改変すると、まるで本当に聖女ではないか。


 そばにいたマー坊にこそこそと


「おい、あの貴族令嬢は誰じゃ。

 私の知らない誰かじゃぞ、あれは」


 と声をかけてみるも。


「あわわ?

 あれは大聖女(ボツリヌス)様ですよ。

 美しさもそっくりですねー。

 台詞もほぼ合ってますし」


 マー坊はぽーっと見惚れながら「クオリティが高い」と(しき)りに評価している。


 ……これは、あれじゃな。

 完全に、ふぃるたーが掛かっておる。


 ……まあ良いか、他の皆からは何の文句も出てこないでいるしの。

 私は諦めて、ぽっぷこーんを口の中に放り込んだ。


##############################################


 演劇は順調に進んでおった。

 他の皆もはらはらしながら展開を見ておったが。

 いよいよ演劇の盛り上がりの部分であるストリー王が登場する場面になると、全員から野次が飛んだ。


「嘘つけ!

 あんたが出てくるのは、ずうっと後じゃねえか!!」


 別にストリー王に恨みがあるわけではない。

 なんとこの演劇、私の絶飲食拷問生活が短くされて演じられておったのじゃ。


 その期間は……なんと、5日間。


 いや、私としては文句は無い。

 魔法やイタコの断食技術を使わなかったら、耐えられるのは正直その位じゃろうしのう。


 しかし、私以外のめいど達の逆鱗に触れたらしい。

 劇団員達は一体何が悪かったのか分からずおろおろしておる。

 

 屋敷を代表してハンドが劇団員に事情を説明すると。


「はああ?

 20日ィ!?」


 予想通りの反応であった。


##############################################


 劇団員達は観客からの野次(ぶーいんぐ)の只中、『侯爵と貴族令嬢(絶飲食20日間(ばーじょん))』を演じさせられた。

 物語の最後は、演劇員たち扮するめいど達の「「「ストリー王!ストリー王!」」」で締められるはずなのに、客席からの「「「大聖女様!大聖女様!」」」の声に完全に掻き消されておった。

 劇団員たちに悪い事をしたの……などと思っておったが、後から聞いたらこう言うことも良くあるとのことで、むしろ良い思い出になったと彼らも笑顔で帰って行ったという。

 何とも、逞しいものじゃ。

 ちなみに私は、何人かの団員達から握手や名前記載(さいん)攻撃にあって、存外気分も悪くなかった。


 総括すると、なかなか面白いものじゃったのう。

 ……さて、帰って本でも読むかの。


「20日間も食事を食べないなんてすごいなあ!

 僕なら1日ももたないよ!」


「あの大きな人はお父様の役ね!

 そっくりだったけど、嫌な人の役だったわ!」



 ……何やら後ろの茂みから、声が聞こえる。

 どうやら、演劇を隠れて見ておったのじゃろうが、大分興奮しているようである。

 声が全然隠れておらん。


「……」


 茂みに向かってずんずん近づいて、がさりと開く。


「うわ!びっくりした!」


「わあ!

 綺麗な赤い髪!

 それに、素敵な水玉のお洋服!

 貴女があの劇の聖女様なのね!!」


 隠れていたのは二人の子供。


 青色の髪の毛をすぽーつ刈りにした少年と。

 茶色の髪をついんてーるにした少女であった。


 私は青い顔でオーダーを見る。

 オーダーも笑顔を引き攣らせておった。





「オーダーよ……もしかして、此奴ら……私の兄と姉か?」





 最悪の予想を否定して欲しくてオーダーにそう尋ねると。

 オーダーは残念ながら、頷いた。


「はい……シガテラ・トキシン様と、ダイオキシン・トキシン様で御座います」




 ……三男(シガテラ)次女(ダイオキシン)

 離れの屋敷での演劇を見られるとある意味一番厄介な奴らに見られてしまったのじゃった。

キャラクター人気投票の結果が出ましたので、お知らせします。


【総投票数は】 第一回『豚公爵と猛毒姫』キャラクター人気投票結果発表!! 【勿論0票!】


http://ncode.syosetu.com/n1731cr/


(……あれ?人気投票したっけ?)

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