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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
監禁編
43/205

第43毒 猛毒姫、提示される

 思わず頭を抱えた私に対して、ハンドが心配そうに話しかけた。


「どうかしましたか、大聖女(ボツリヌス)様」


「どうかしておるのはお前じゃ、ハンドよ。

 『大聖女』の読み方(るび)が確実におかしいじゃろ。」


「ああ、そういえば、大聖女(ボツリヌス)様には説明がまだでしたね。

 先日、屋敷のメイド達に、大聖女(ボツリヌス)様のお考えをお伝えしました。

 『聖女と言う名は皇国の皇女であるフヨウ様の物である。

  大聖女と呼んでくれるのは有難いが、皇女を馬鹿にするとも取られない二つ名であり。

  そう呼んだ従者達が罰を受ける可能性を考えると、その名前を許容する事は出来ない。

  どうかその名前で呼ぶのは止めて頂きたい』……と」


 どうやら私は凄く凄いお考えを持っている事になっておった。

 何故じゃ。


「そこで私は提案しました。

 ボツリヌス様、とお呼びしながらも、心の中で『大聖女様』と唱えながら三跪九叩頭(さんききゅうこうとう)の礼を行えば良いのではないか……と」


 ハンドよ……貴様、今までの会話中に脳内で既に何回か三跪九叩頭(さんききゅうこうとう)の礼を行っておったのか。


「しかし、マ……一部の過激なメイド達が、『皇国に罰せられても構わない』などと言い出しまして」


 間違いなくマー坊じゃな。


「そこで、3つの妥協案を提示し、無事納得頂く事が出来ました」


「成程。

 もうどう考えてもまともな妥協案(もの)では無かろうが……聞こうか」


「まず1つ目ですが、大聖女(ボツリヌス)様の閉じ込められた日に(ちな)みまして、離れの屋敷では毎月9日を『大聖女(ボツリヌス)様の日』とし、有志は絶食でその日を過ごす事になりました。

 大聖女(ボツリヌス)様の偉業を改めて実感する日として良いのではないか、と考えております」


「いきなりぐったりさせられる妥協案が来たのう。

 ……まあ、ぷち断食みたいなもんじゃし、良いんじゃないかの」


「ちなみに、コックもノリノリでした」


「奴の場合、仕事の手間が省けるからのう」


 私はため息を吐く。

 ……こんな内容が後2つもあるのか……。


「2つ目に、希望者に大聖女(ボツリヌス)様のトレードマークである水玉や縞々のメイド服の配布を行う事になりました」


「勝手にしてくれ……。

 ……まあ、水玉も縞々も可愛いから良いんじゃないかの」


「ちなみに、コックもノリノリでした」


「彼奴の趣味嗜好(ふぇてぃしずむ)など聞いておらん」


「3つ目に、一連の騒動の演劇である『王様と貴族令嬢』を離れでもやって貰うという……」


「え、ちょっと待って、今何て言った?」


 え、演劇?


「あー……そういえばボツリヌス様ずっと寝てましたからね……

 今回の監禁騒動、演劇になっていろんな国で上演されているんですよ」


 オーダーが横から補足する。


「は?」


「ストリー王が積極的に推し進めたみたいですね。

 多分、自分の懐の深さを内外に分かり易く伝えるためでしょう。

 令嬢を庇う従者、従者を庇う令嬢、そして二人に心を打たれて罪を赦す国王。

 各国でかなり評判が良いみたいです」


 ……裸王(すとりーきんぐ)め!

 大々的な世論操作(ぷろぱがんだ)をぶちかましおってからに!!


大聖女(ボツリヌス)様の素晴らしさを再度理解するため、劇団を呼んで離れで演じてもらう事が決定しました」


「……ああ……良いんじゃないか……もう、どうでも……」


「ちなみに、コックもノリノリでした」


「……彼奴は娯楽に関して尻軽すぎるぞ」


 それにしてもあのコック、のりのりである……。


 ……まあ良いか。

 正直、私が主人公の演劇と言うのも、見てみたいしのう。

 どの程度まで現実的(りある)に再現されているのかしらん。


 ……私の排便状態、とかの。

リアルは忙しいんです。本当です。

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