第39毒 猛毒姫、息子が出来る
※※※注意※※※
うんこ成分が含まれています。
苦手な方や食事中の方はブラバをお願いします。
はて。
突然身長2m位の魔族と思われる若者に、息子宣言をされたのじゃが。
処女懐妊かしらん。
「いやいや、お前誰じゃ」
「貴女様の息子で御座います。
どうか私めを眷属に。
それが叶わないのであれば、従者でも、奴隷でも、如何様にでも」
いけめんが格好良い事言っておる。
オーダーは何故か顔を赤くしてきゃーきゃー言って喜んでおる。
……何となくではあるが、此奴が喜んでいるのは、何かしら別の意味でだと思われる。
それがどんな意味かは、私には分からんが。
「私に解るように説明せい。
貴様は何処で生まれたというのじゃ」
「私は、貴女様の糞より生まれました」
糞、か。
確かに牢屋の中では糞を垂れて放置しておった。
そして……糞の中には蛆が涌いており、私の尻をはい回ったりしておった。
まあ、ちょっと違うが蛆虫療法などもあるからの、放って置いた訳じゃが。
……成程、そうか。
「貴様、蠅じゃな……?」
「その通りです。
私は貴女の糞より生まれ、牢屋の肉で育ち、この姿に成長した、一匹の蠅で御座います」
私に理解してもらえたためか、男の目が嬉しさで歪む。
……100年を生きた動植物が人化の術を得るという言い伝えは前世にもあったが、確かこの世界では事実な事象であったはずじゃ。
それにしても、わずか数日で人化とは。
本当かよ、熊肉、凄すぎじゃろう。
「……そうは言ってものう、熊肉の効果は、一時的なものじゃろう?」
「いえ、私には生まれつき、特殊なスキルがあったのです。
スキル名、『一時永続』……一時的な効果を、永続的な効果に変える能力です」
「熊肉は知力低下の能力もあったはずじゃが……」
「一時的か永続的かは自身で取捨選択できます」
なんじゃそりゃ。
滅茶苦茶な能力じゃな。
「えーっと……。
成程、生んだのはある意味私かも知れんが、お前を育てたのは熊肉じゃろ」
「その通りです。
しかし、その熊肉を準備してくださったのは、お母様ではないですか。
肉からは、お母様の魔力を感じておりました!
即ち、お母様の愛を!!」
男は恍惚の笑顔で私を見ている。
……やばい、反論が出来ない。
このままでは5歳にして此奴の親に成り兼ねん……。
「ボツリヌス様……良いんじゃないですか?
私より全然強いですし、従順ですし、護衛としてはうってつけですよ」
「オーダーよ……お主、下心はないじゃろうな」
「ギクゥウッ!!」
「『ギクゥウッ!!』って……確かにいけめんじゃが……
私は嫌じゃよ、普通に」
私は少し呆れた後、男に尋ねる。
「ところで貴様よ、私の眷属になったとして、何を食べていくつもりじゃ?」
「……え?
勿論お母様の糞ですが……」
ほら、こんな奴じゃよ?
……オーダーよ、何を今頃どん引きしておる……。
「よし。
母が許す。
貴様は自由じゃ!
何処にでも行くが良い!!」
「お母様!!」
ええい、大の男がしょぼくれた顔で此方を見るでない!
「お母様と歩んでいくことが出来ないのであれば。
私はこの世界を破壊し尽くします!」
なんじゃ此奴、駄々っ子か。
しかも、下手したらそれが出来る程の技術持ちじゃから困る。
「……よし、分かった」
男はほっと、安堵の溜息をついた。
「それでは……」
「んじゃ、お主、魔王になれ」
「……は?」




