第38毒 猛毒姫、金玉を作る
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有難う御座います。
なんでか知らんが、私は発展魔法『金』を手に入れた。
「発展魔法って、基礎魔法の一源特化を極めに極めた魔術師が1万人に1人でなれると本で読んだんじゃが……」
「……ボツリヌス様は一源特化どころか『風』やら『水』やら浮気しまくってますもんね。
しかも使える土魔法はLV1とLV2の2種類のみですし」
と、ここで私は疑問を持った。
「オーダーは氷魔法を手に入れる時はどの程度の魔法が使えたんじゃ?」
「私は……、あれ?
私が氷魔法を使える様になった時も、水魔法はほとんど使えませんでしたね」
なんと、オーダーも水魔法を極めた訳では無かった様じゃ。
「……これ、多分教科書が間違っておるぞ。
『魔法学』みたいな学問はないのか?」
「いえ、無いと思います。
この教科書も、数百年前から変わって無いと思いますし」
「本気でか。
じゃあ、教科書の内容が全部間違っている可能性すらあるのか。
……だいたい、私は今まで魔法を使う時に精霊に感謝したことなど一回もないしのう」
「……え!?」
オーダーが何だか驚いておるが無視した。
しかし、魔道書の内容が間違っているとすると。
下手したら私が雷魔法が使えたりするかもしれん。
勇者(魔力10)の誕生である!
……馬鹿な考えは置いておいて。
「と言うことは、そうか……
牢屋の中で大量に作った金属の塊も、実は『金玉』を作っておったのじゃの」
「ぼ、ボツリヌス様、ルビ、ルビ!!」
「……。
『金玉』、『金玉』! 『金玉』、びろろーん!! うぇーい」
……オーダーに殴られた。
ぐすん。
「……牢屋で『金玉』を知らんうちに作っていた様じゃ」
「そうですか」
ありがちな言葉遊びじゃないか、何も叩く事は無いじゃろうに……。
うう。
「それで、4つ突っ込みたい所があるそうじゃの。
最後の1つはなんじゃ?」
「あー……。
えーっと、ボツリヌス様が地下で倒したコグマですが。
多分、メトトゥシ・カムイと言って、ペンギン皇国に生息する、神獣の1種ですよ」
うぇ……し……しんじゅう?
「あ……別に神獣と言っても、1頭しかいないとか言う訳でも無いですし。
むしろその肉の味や、効果が素晴らしいので保護すると言う名目で神獣として扱われているだけなので。
ボツリヌス様の様に一応位が高い人であれば、殺してしまってもそこまで大きな問題は無いのですが」
「そ……そうか、良かった。
確かにあの肉は特殊効果が凄かったからのう。
処理してあるから後半年は持つはずであるし……牢屋から回収するかの」
「私も、ぜひ1口食べてみたいです!!」
筋骨隆々になったオーダーを想像する。
黒光りしながら笑顔を見せるむきむきのオーダーか……。
……悪くないのう。
「では、人に見つからぬ様暗いうちに……
と言うか、今、取りに行くか」
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『開護摩』を使用して地下室の扉を開ける。
「『開護摩』ですか……こんな魔法も作ったんですね……」
「他にもいくつかあるんじゃよ、まあ、それは置いといて。
さっそく熊肉の回収を……って、おや?」
熊肉を隠した牢屋を見ると……熊肉が、無くなっておった。
「ふむ。
誰かに見つかって回収されたかのう」
「いえ、そんな話はメイドの誰からも聞いていませんが……」
……ひた……ひた……。
む……地下室の奥から音がする。
『魔力流量感知』を使用すると、生き物の気配を感じた。
……というか、なんじゃこのべらぼうな魔力量は!!
オーダーも青い顔をしながら、私の前に立ち、警戒態勢を取る。
地下室の奥からは……
身長が2m位の、細まっちょのいけめんが現れた。
暗闇で良く分からぬが、青色の皮膚に銀色の長い髪をしており、何よりも、全裸であった。
あ、オーダーがいろんな意味でどきどきしておる。
私はもっとこう、筋肉むきむきなのが趣味じゃの。
そんな阿呆な事を考えていると、男の歩みが止まる。
距離にして3m程度。
……魔族、なのじゃろうか。
オーダーも魔力による威圧を行っているが、この男の魔力には遥かに及ばないじゃろう。
男が私達を殺そうと思えば殺せる距離じゃ。
ならば。
「……ふむ。
男よ、何の様じゃ」
まずは対話を取れるか、試してみる。
男は鋭い眼光のまま、私に向かって前傾姿勢を取り。
……そのまま片膝をついた姿勢をした。
……前世では、これは敗北や服従を意味する姿勢じゃったが……。
男は恭しく顔を上げると、うっとりした顔で私を見つめ、そして語りかけた。
「お初にお目に掛かります……お母様!!」
うん。
誰じゃお前。




