表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
監禁編
37/205

第37毒 猛毒姫、一万分の一になる

 私が目覚めたとのことで、部屋で雑魚寝していためいど達も各々自分の部屋へ帰って行った。

 マー坊の奴は今日までは私の部屋で眠って私の臭いを嗅いでいたいなどと危ない事を言い出したので、即刻お引き取りを願った。

 恐らく、眠っている間の私は魅力(かりすま)技術(すきる)を発動しっ(ぱな)しで能力じゃじゃ漏れ状態だったんじゃろう。

 それも、1週間も。

 一緒に雑魚寝していためいど達や、一番長く近くにいたマー坊が狂気(おか)しくなったのも仕様が無いのかもしれん。

 その割には、オーダーにはあまり効いていない様に思うがのう。

 疑問に思いオーダーに聞いてみると。


「私はもともと、ボツリヌス様に狂信(いか)れておりますので」


 成程!

 そして勿論、いつもの人を馬鹿にしたような笑顔じゃの。


 さて。

 オーダーのお話(物理)で私は魅力(かりすま)技術(すきる)を消去しないことを約束させられたが、拷問耐性技術(すきる)は削除することに納得してもらった。


「あれだけ酷い拷問を受けてもスキルを捨てるというのですから、ボツリヌス様の覚悟は本物なんですね……」


 オーダーは溜息をついておった。

 ……酷い拷問?

 ……別に、普通、じゃったよ?


「後、『聖女』に関しては、本気(まじ)で止めて欲しいのじゃが」


「……もう手遅れと思いますが、分かりました。

 ハンドさんとも相談しておきましょう。


 ところでボツリヌス様、牢屋で何があったのか、詳しくお聞かせ願いますでしょうか」


 ふむ。

 オーダーは遠隔距離から私に回復魔法を断続的に掛けてくれておったから、牢屋での私の動向の詳細については知らぬ。

 他のめいど達から聞いた事しか知らぬから、細かい話を聞きたがるのは自然じゃろう。

 オーダーには世話になったし、地下での生活を説明する事に全く問題は無い。


「良かろ、話そうか。

私の牢獄生活は、オーダーから貰った魔石を、初日で80(ぱーせんと)程無駄に消費することから始まった」


 そんな感じでオーダーへの説明は、私の首が左回りに360度回転する事から始まった。


#####################################


「……とまあ、大体こんな感じじゃの」


「突っ込みたい所は無数にありますが……とりあえず4点に絞らせてください」


 オーダーがすっと手を挙げるので、何となく指を指す。

 はい、オーダーさん。


「……ボツリヌス様、心臓止めたり脳の活動を止めたり出来るんですか?」


「出来る。

 人間、頑張れば誰でも出来る様に成ると思うぞ」


 私が断言すると、オーダーは感心した様に頷いている。

 ただし私が今の状態でやったら、そのまま死ぬが。

 それに、頑張ると言ったが、その期間は最低でも10年以上。

 出来たとしてもほとんど使い道は無い技じゃがの。


「そうですか。

 次に、『魔力流量感知』ですが……これは結構凄い能力かもしれません。

 確か、し……じゃなくて、私の知人の一人は『生命流量感知』を持っていました。

 森の中だろうが暗闇だろうが近くにいる生命体を感知できるという非常に優れたスキルですが……

 多分そのスキルの上位互換だと思います」


 『し……』って、前も行っておったな。

 ……知人ってコックの事じゃろ。

 彼奴、そんな技術(すきる)どこで手に入れたのじゃ。

 私は何となく、前世の映画に登場した、恐怖分子(てろりすと)達をぼこぼこにする某料理人を思い出して、沈黙した。


「あと、『ガリンペイロ』、ですか?

 ちょっと見せてください」


「? うむ、良いぞ?」


 私はまず『土玉(アースボール)』を作り出し。

 続いて『金鉱採掘人(ガリンペイロ)』を使用して塩分を分離した。


「こうすれば塩分が分離できる。

 後は女性に不足しがちな鉄分や、亜鉛、銅も『金鉱採掘人(ガリンペイロ)』を使えば簡単便利に……」


 私が通信販売の様に立て板に水を流す話しぶりを披露していると、オーダーがそれを遮った。


「……金も、抽出、出来ますか?」


「? 試したことは無いが、出来るじゃろうな」


 私自身で名前も『金鉱採掘人(ガリンペイロ)』にしたくらいじゃし、行けるとの確信はある。

 やって見ると、案の(じょう)、出来た……ほとんど目には見えないくらいの量ではあるが。


「ふむ……やはり出来はするの。

 ただ、この量では金を稼ぐのは無理じゃろうがの」


「成程、出来ますか……

 では、これは『ガリンペイロ』ではありませんね」


 ぬ。

 オーダーが私の名付け能力(ねーみんぐせんす)を否定する。

 私は米噛(こめか)みに血管を浮き上がらせながらもオーダーに尋ねた。


「ほう、ではオーダーならばこの魔法を何と呼ぶつもりじゃ」


「これは、『金操(ゴールドムーブ)』ですね」


「はっ!?

金操(ゴールドムーブ)』ぅ??

 なんとも駄埼(ださ)い名前よのう!

 そんな物より『金鉱採掘人(ガリンペイロ)』の方が数段は格好良くて……」





 ……ん?

 今……なんと?




「基礎魔法『土』からの発展魔法である『金』。

 そのLV2の魔法、『金操(ゴールドムーブ)』、それの劣化版でしょう」


 オーダーが、信じられない、と頭を振った。


 ……こうして私は、知らぬ内に発展魔法『金』を手に入れておった。

『第一部 猛毒姫、唱える』 参照。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ