第28毒 猛毒姫、食べる
※※※注意※※※
この作品ではゲテモノ料理が出てきます。
苦手な方は見ないようお願いします。
前回のあらすじ。
投獄させられたので脱獄した。
「んーーー……っ!」
私は牢屋の扉を開けると、外の空気を大きく吸って背伸びをした。
鉄格子の内と外で空気が違うはずもないが、何とも言えない解放感のせいか此方の方が美味しく感じる。
……偽薬効果とか言うでないぞ。
確かに私は『ロマネコンティ500年物です』とか言われて馬の小便を出されたら、大喜びで飲み干す性格ではあるがの。
さて、牢屋の外に出たといっても、別に逃げる気はない。
私は部屋の隅にある土の剥き出しになった場所に手をつき、地面に向かって『魔石流量感知』を使用した。
この世界は魔力に覆われておる。
つまり、この大地も、大きな意味では『魔石』と言えるはずじゃ!!
『魔石流量感知』!!
……何も起こらんかった。
やはり大地は『魔石』ではなかったようじゃ。
何が「つまり、この大地も、大きな意味では『魔石』と言えるはずじゃ!!」じゃ。
かっこよく言い切った自分が恥ずかしいわ。
♪テレッテッテッテー♪
《おめでとう! 魔石流量感知 は 魔力流量感知 に 進化した!》
……おお、久しぶりの例の音!!
『魔力流量感知』か……。
恐らく魔石以外でも魔力の流れを感じることが出来る様になったのじゃろう。
改めて地面に手を置き『魔力流量感知』を使用する。
……おお!
地面の下にいる大量の動物が魔力として確認出来るぞ!
私は確認出来るそのうちの一匹に狙いを絞った。
『土操』を使用し気配をこちらにおびき寄せると、地表近くで『水玉』を使って溺死させることに成功した。
土を掘ると、中からは土竜が出てきた。
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モグラ
毒性なし。感染症なし。黒焼きなどとして食べることが出来る。
ボツリヌス・トキシンによって無残にもその命を奪われた。
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よし、此奴は食べられそうじゃな。
食べられるかどうかまで判るとは、『鑑定』様様じゃのう。
しかし、解説の最後の行は、いらんじゃろ。
ついでにその辺におる鼠、飛蝗、蚯蚓なども数匹捕まえ、意気揚々と牢屋の中に引き上げた。
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「ほう、鼠も意外といけるのう」
獲物達は『水操』で水抜きを行い、『熱玉』で加熱して干肉の様にして食べることにした。
前世ではその辺の虫の卵から熊の生き胆まで色々食べた私ではあるが、鼠に関しては感染症があったので真っ黒に焼いてしか食べなかった。
『鑑定』のおかげで安全な食べ物かどうかが判ることもあり、十分に加熱を行えてないのじゃが特に抵抗なく食べる事が出来ておる。
しかし、干肉にすると、肉が少なくなっていかん。
……これは、ほぼ生の方がうまいかもしれんのう。
さらに食物繊維としてその辺の雑草を熱して食べる。
ビタミン補給のため、筵に張り付いた蛆虫達は生でぷちぷち潰して食べる。
もちろん水分は、『水玉』を使用して補給する。
オーダーの『私も死ぬ』発言が無ければ断食を楽しもうと思っておったが、様々な命を頂きながら生き残ろうと頑張る事も、これはこれで修行として成り立っておるやもしれぬ。
……こうして私の絶飲食拷問生活第1日目が終了した。
「ふー、食った食った、満腹じゃ。しばらく食事は見たくもないぞー」
私は膨れた腹を撫でながら、盛大に噫気をして眠りについた。