第22毒 猛毒姫、スキルを得る
妖怪・首置いてけ……じゃなかった、オーダーに首ちょんぱされてから9か月が経過した。
魔法習得は順調で、8つの魔法は全て語詠唱までは出来るようになり、一部は無詠唱も可能になった。
あれだけ貯まって辟易していた屑魔石も、今ではむしろ足りなくなって追加注文を出しておる。
8つの魔法を無詠唱にする計画は、当初は1年と半年位の予定であったが、1年で何とかなりそうじゃ。
そして魔法だけではなく、練習の経過で『鑑定』以外の新しい技術を2つも得ることが出来た。
それでは私がこの9か月で手に入れた2つの技術を要約でお届けしよう。
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①『魔法並列 LV1』
複数の魔法を同時、もしくは時間差で使用することができる。
「オーダーよ、これは良い魔法を手に入れたぞ。
『魔法並列』じゃ!」
「『魔法並列』ですか。
四源魔法を交互に使用していたから得られたんでしょうかね。
これはまた微妙な物を……」
「ぬな!?
複数の魔法を同時、もしくは時間差で使用できるのじゃぞ?
風魔法と熱魔法で『風炎』とか、水魔法と土魔法で『土石流』とかの浪漫魔法が使えるのじゃぞ!?」
「あ……暑苦しい!
なんですか、浪漫魔法って。
それに、魔術師の魔法の使用方法を思い出してください」
「……!!
ああ……。
そうか……。
一源特化……じゃな……」
「そう、今の流行りは一源特化。
2種類以上の異なる魔法を使える魔術師はほとんどいません。
『魔法並列』は、全く使い道のないスキルなんですよ。
……ああ、いや、でも、ほら、ボツリヌス様は四源全てマスターするんですから、使えるかもしれませんよ! 浪漫魔法!」
あからさまにがっかりする私をオーダーは必死に補論するが、時既に遅し、じゃ。
一応『魔法並列』を使って魔法の合成を試みることにした。
『風玉(劣化版)』と『熱玉(劣化版)』で『吹風機』。
『水玉(劣化版)』と『土玉(劣化版)』で『濡れた土』が出来た。
『濡れた土』……。
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②『魔石流量感知 LV1』
魔石に宿る魔力の流れを感じることが出来る。
「『魔石流量感知』という技術を手に入れたのじゃが、どんな物なんじゃろう」
「聞いたことありませんね……。
おそらく大量の魔石を使ったことで得られたスキルでしょう。
もしかしたらオリジナルかもしれませんよ」
「原初とな?」
「初めて見つかったスキルのことです。
発見者の名前がスキルに付くこともあるんですよ。
ちなみに具体的にはどんなことが出来るスキルなんですか?」
「うむ、魔石からの魔力の流れが解るようになったからのう。
以前は魔石を手で握らないと使用出来なかったが。
今では足で踏んだり背中で押した状態でも使える様になった」
「……それは、……凄いスキルですね」
「気休めは止せ」
「……凄いスキルですね、『魔石流量感知』……」
「私の名前を付けるな!!」
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そんなこんなで自分の技術の使えなさに嘆きつつ。
いつの間にか気が付けば。
私は5歳になろうとしていた。
閑話を挟んで第2部予定です。
第2部まで少し間が空くかもしれません