第20毒 猛毒姫、捻じ切られる
なんじゃ。
鑑定を手に入れた……とな?
改めて屑魔石を見つめ、『鑑定』とやらを試みる。
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屑魔石 総魔力量 52/3000
強大な魔力を持っていた魔石。
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おお。
出おったぞ、これが『鑑定』か。
しかし技術って、強烈な精神への負荷や肉体への負荷を契機にして覚醒するはずじゃが…。
今の生活、別に苦でもないんじゃが、4歳児にしては負荷が激しいとの判断なのかのう。
まあ良い、それより不審そうにそうにこちらを見ているオーダーにも報告しようかの。
「オーダーよ……なんか私、『鑑定』の技術を手に入れたようじゃ」
「え……!!!」
オーダーは私を『鑑定』したらしく、泣きそうな顔で飛びついてきた。
「……!!!
おめでとう御座います、ボツリヌス様!!!
間違いなく…間違いなくボツリヌス様のスキル……『鑑定』で御座います!!」
「おお、有難う、オーダーよ。
……オーダーよ?
ちょ……首……首が締まって……」
オーダーは抱き付きの状態から巧みに体移動を行い、背後からの首絞めに移行した。
「オーダーよ!!
極まっておる、これは完全に極まっておるぞ!!」
「……さて、ボツリヌス様、お話(物理)があります」
「(物理)!?」
なんじゃ!?オーダーがなんか怖いぞ!?
「『鑑定』は非常に有用なスキルです。
いつかの様に消去致しませんようお願いしとう御座います。
もし願いを聞き入れて貰えないのであればこのまま…」
「こ……このまま締め落とされ…」
「このまま頸椎を捻じ切ります」
「もっと酷かった!?」
私はすかさず降参する。
「『鑑定』が便利なのは承知じゃ!
技術は捨てぬ、約束する!」
オーダーは腕を離したが、両手を私に向けて、棒を掴むような仕草を続けておる。
たまに唐突に90度捻じるような動きが不穏過ぎじゃ。
「その動きを止めい、大丈夫じゃ、『鑑定』は捨てぬ…」
♪テレッテッテッテー♪
またも、謎の音楽が頭の中に鳴り響いた。
《おめでとう! ボツリヌス は 疲労耐性 を 手に入れた!》
おお、またも技術を手に入れたか!
どうやら技術を手に入れたときに脳内へ響く音楽と声は、『鑑定』の効果のようじゃ。
前回、『精神汚染耐性』を手に入れたときは流れなかったしの。
しかしこの程度の苦行でこんなに簡単に技術が手に入って良いのかのう。
……さてさて、しかし『鑑定』はともかく。
「『疲労耐性』か。
これはいらんのう」
「へ?」
私は自分の手を見つめる。
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ボツリヌス・トキシン 4歳
体力:10/10
魔力:10/10
スキル:鑑定LV1
疲労耐性LV1
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ふむ、これが私の状態か。
相変わらず激弱じゃのう。
まあ良い。
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ボツリヌス・トキシン 4歳
体力:10/10
魔力:10/10
スキル:鑑定LV1
疲労耐性LV1 <削除しますか ⇒はい いいえ
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これで良いはずじゃ。
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ボツリヌス・トキシン 4歳
体力:10/10
魔力:10/10
スキル:鑑定LV1
疲労耐性LV1 <本当に? ⇒はい いいえ
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本当じゃ。
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ボツリヌス・トキシン 4歳
体力:10/10
魔力:10/10
スキル:鑑定LV1
<疲労耐性LV1を削除しました ⇒はい
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ふむふむ、これで良
次の瞬間、私の視界は横に360度回転した。
オーダーはちゃんと即回復魔法をかけておりますよ。
ボツリヌス様死んでません、念のため。