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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
恐怖大王編
197/205

第197毒 猛毒姫、絶望する

*******************


前回までのあらすじ 


豚公爵「いいだろう!!!こんどこそこっぱみじんにしてやる。あの地球人のように!!!!」


イチコロさん「ストリーのことか───────っ!!!!!」


ぼつりん「あれ、どっちが敵じゃっけ」


*******************


 ストリー1世は、特に見せ場もなく死んだ。


 何故じゃ。


 坊やだからかしら。


「フン……まさか、たかだか『真空(ゼロヘクトパスカル)』で終わりとはな……」


 綺麗なセルライトは舌打ちをしながら、こちらへ向かってくる。


 歩くたびに地面から草が異常な勢いで成長したかと思うと、そのまま枯れていく。


 多分、セルライト・クラッシュの影響なんじゃろうけど、その容姿のせいで、とっても神々しく見える。


 なんか私、映画で見たことある。


 シシ○ミ様かな?

 

「……やあ、流石に負けるかも、とは思ってたけど……まさか、全敗とは想定外ですわ~」


 私と楽しく会話をしていたいちころさんが、綺麗なセルライトへ声をかける。


 ふむ。


 綺麗なセルライトの奴、私に近づいてきていると思っておったが、いちころさんに近づいていただけじゃったか。


 そりゃあそうじゃな。


 ちょっとしょんぼり。


「ぶひょひょ……、まだ全敗と決まったわけではないが……おっと、たった今、全敗が決まったようだな」


 綺麗なセルライトの視線を追うと、いちころさん陣営で唯一残っていたオンヲオン・デカエース公爵が、バイタビッチ・ダブルピース公爵とサイコパス・コロスキー公爵に切り刻まれておった。


 如何に優れた後衛とあっても、守り無しで前衛2人相手では抗う術もあるまい。


 南無南無。


 いちころさんは立ち上がり、歩き出すと。


「……セルライトはん、私も大抵ですけど、あなた……」


 セルライトの前で立ち止まり、呟いた。


やなやつ(・・・・)、ですねぃ」


 綺麗なセルライトは、ぶひょぶひょ笑うと、それに応えた。


「おいおい、やなやつ(・・・・)、だと?


 失礼な売僧め(・・・・・・)我輩は極悪人だぞ(・・・・・・・・)


 同じくいちころさんも、ひひひと笑って、続ける。


「おやおや、そちらこそ売僧(・・)とは失礼な。


 私は生臭坊主ですよ(・・・・・・・・・)極悪人はん(・・・・・)


 いやはや、2人とも、楽しそうにお話をしておる。

 そして、大分顔が近い。

 二人ともないすみどるじゃから、この絵面だけを切り取ったら、素敵な薄い本とかが出来るに違いない。


 ……まあ、これで、終わるとは思わぬ、が。


「それで生臭よ、カードは(・・・・)切り終わったのか(・・・・・・・・)


 もしも終わりならば(・・・・・・・・・)……次は楽しい楽しい(・・・・・・・・)吾輩との(・・・・)懺悔の時間だぞ(・・・・・・・)


 なあに、怖がることはない。


 ちゃあんと(・・・・)貴様の敬愛する(・・・・・・・)アンゴルモア大権現様(・・・・・・・・・・)の御前で(・・・・)ブチ込んで(・・・・・)やるからなぁ(・・・・・・)


 まさか、ロシュツ教の最高神を前にして、その坊主と合体する予定だとは。


 流石はセルライト、人の嫌がることによく気が付き、そう言ったことを進んで行う事が出来る男じゃ。


 聞きようによっては誉め言葉に聞こえるが、当然、全く誉めておらぬ。


「うわぁ、この極悪人、正しく人間のクズ(・・・・・・・・)ですねぃ(・・・・)


 いやあ……本当に……。



 ちゃあんと(・・・・・)切り札を残しておいて(・・・・・・・・・・)良かったわぁ(・・・・・・)


 いちころさんが、笑顔を見せて。


「……まぁ(・・)だろうな(・・・・)


 

 予想の範疇だ(・・・・・・)



 綺麗なセルライトも、答えて嗤った。






 ……そして(・・・)







『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



 


「……え……?」




 ……後ろの方で、どこかで聞いたような哭き声が響き渡った。



 う、うそじゃよな?



 この声って……もしかして……。





 ……しかも(・・・)







『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



 ……哭き声は(・・・・)四方八方から(・・・・・・)木霊している(・・・・・・)






 ま……まじか。


 周囲を確認し、改めて、絶望する。


 

 その昔、魔王に最も近いと言われた邪龍にして。


 剛力と、うんこ好きのちーむで辛うじて撃退した、通称『空を這う蜥蜴』。


 ……画竜点睛ガリョーアイズ・ブルードラゴンが……ひの、ふの、みい……。


 少なく見積もって、10はおるぞ!


 そして、上にあげていた視界を元に戻すと。


 人族の英雄が。


 12(だーす)の単位で(・・・・)うじゃうじゃして(・・・・・・・・)おった(・・・)




 ピカピカ光って分かりやすいストリーⅠ世だけを調べてみたが……30を数えたところで、諦めた。


 なんじゃこれ。


 いやもう、勝つの、無理じゃろ、常識的にに考えて。



 単純に先ほどの数十倍の戦闘力になったいちころ軍を背景にしながら。


 いちころさんは、すまなそうな顔を浮かべて頭を下げておる。


「う~ん、勘違いしていたならごめんに~。


 倒した後(・・・・)蘇らないなんて(・・・・・・・)ボク言いました(・・・・・)


 蘇らせるのが(・・・・・・)一体だけなんて(・・・・・・・)ボク言いました(・・・・・)





 はてさて(・・・・)ピッグテヰル侯爵はん(・・・・・・・・・・)




 ……予想の範疇(・・・・・)でしたかねぃ(・・・・・・)?」



 いちころさんの言葉に、綺麗なセルライトは、一拍置いて、答えた。



予想の範疇を(・・・・・・)往々に超えられると(・・・・・・・・・)言う事も(・・・・)



 予想の(・・・)範疇だ(・・・)




 ……やばいのぅ。


 私にだけ、辛うじて解る程度の変化ではあるが。



 ……セルライトの声から余裕が消えておる……というかこれ、大分焦っておるぞ。

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